【体験レポート】初めての漢方薬局。原因不明の胃痛に効く漢方とは?
漢方薬局=漢方薬を専門的に扱う薬局には、漢方の専門知識を持つ頼れるスペシャリストがいる。患者との対話を通し、最適な漢方を処方するという調剤師たち。今回、生理不順を抱える女性と、原因不明の胃痛に悩む男性の2名が問診を体験した。

漢方薬局って、どんな人が来るの?
漢方薬局は、カラダの根本的なバランスを整えることを目指す場所。「西洋医学が病気そのものを治療対象とするのに対し、東洋医学では未病(病気になる前の状態)や慢性的な不調にもアプローチします」と言うのは、東京・大塚にある〈氣生薬局〉の久保田佳代さんと、駒込にある〈マルヱ薬局〉の谷川和子さん。冷えや不眠などの体調不良から精神面まで、さまざまな相談があるそうだ。
一人ひとりに寄り添うカウンセリングで症状の原因を深く掘り下げていくのも漢方薬局ならでは。ときには食事や生活習慣、人間関係にも切り込む。親身に話を聞いてくれる漢方薬局が見つけるのが、いい漢方ライフを送るコツだ。
漢方薬局を訪れる4つのメリット。
1.悩みをしっかり聞いてくれる。
いい薬局かどうかは、どれだけ親身に話を聞いてくれるかで分かる。初めて漢方薬局に行くなら、30分〜1時間くらいのカウンセリング時間を設けている薬局を見つけると、気持ちにも余裕を持って相談できそう。また、話しやすさなど人間同士の相性も大切だ。

漢方薬局には、一般的なドラッグストアでは手に入らない漢方も置いてある。
2.不調の原因を深くまで探る。
生活習慣や食事、睡眠、ストレスの要因などをじっくりと聞き取り、症状の背景を把握していくのがカウンセリングの役割。また、問診だけではなく、顔色や脈、姿勢、舌の状態など、自分では気付きにくいところまで見て、総合的に判断してくれる。
3.病名のない不調でも気軽に相談できる。
漢方薬局ではオーダーメイドの処方が一般的。漢方薬を、不調の原因や体質に合わせて細かく調整してくれる。病名が付かない慢性的な不調や、病院で原因がはっきりしなかったものにも対応できるので、何でも相談してみると力になってくれるかも。
4.自己観察によって問診がスムーズに。
薬局を訪れる前には、症状がどんな条件で悪化・緩和するのかといったことを自己観察しておくことが大切。一見無関係に思えることが体調に影響していることもあるため、直近の出来事や行動も思い出しておくと意外なところで役立つかもしれない。

カウンセリング時に取るメモも膨大。些細なことも書き留めて原因を探っていく。
レポート1.生理不順に悩む藤井さんの場合。
ここからは、カラダの悩みを抱える2人が、実際に漢方薬局で処方を受けるまでの様子をレポート形式で紹介。まずは慢性的な生理不順に悩む藤井さんから。
「去年の夏に適応障害になりかけてしまい、心療内科にかかっていました。処方された薬を飲むようになってから生理不順になってしまい、今も悩んでいます。どうしたらいいでしょうか?」(藤井由依さん/フォトグラファー)
調剤する人
久保田佳代さん/氣生薬局代表。医療一家の三女として生まれ、薬学を学ぶ中で、患者の心に寄り添った治療が行える漢方を志す。心理カウンセラーの資格も持ち、患者の話に親身に耳を傾けるカウンセリングが得意。
精神面と食生活の改善で血の巡りを促進。
処方された漢方薬|桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)・温経湯(うんけいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯は、神経の高ぶりを鎮め、不安を取り除くことで不安定な精神を落ち着かせるもの。温経湯は血行をよくしてホルモンを整える働きがある。
「血を貯蔵して血流をコントロールする肝臓に悪さをしている精神面を落ち着かせてあげることを第一に、血の巡りの改善を目指していきましょう」(久保田さん)
【ワンポイント】
漢方薬だけに頼るのではなく、食生活の改善も大きな課題。炭水化物と動物性タンパク質を摂ることで、血を作り、動けるカラダにしていきましょう。
氣生薬局
処方箋に基づく調剤ではなく、自分で見立てて処方したいと考え2001年に開局。現在では、東洋医学と心理カウンセリングを融合し、心の悩みにも向き合ってくれる。代表の久保田さんは、〈もうやんカレー〉の香辛料の監修を務めるなど、幅広く活躍している。東京都豊島区南大塚1-47-5 EDELFRAU1F WEBサイト
レポート2.原因不明の胃痛に悩む石井さんの場合。
「小学生の頃から、空腹時に胃の上側がたまに痛くなることがありました。最近再発し、消化器内科で検査もしたのですが原因は不明。まだ痛みはたまに出ます。この悩み、どうにかなりませんか?」(石井 良さん/ライター)
調剤する人
谷川和子さん/マルヱ薬局店主。父がマルヱ薬局を開業、祖父も薬品問屋を経営。1980年代にマルヱ薬局を継承。整形外科に関わるケガ以外は、家族もペットの犬や猫も漢方薬で育った生粋の漢方愛用家でもある。
胃痛と持病の両方に効くぴったりな漢方があります。
処方された漢方薬|大柴胡湯(だいさいことう)
大柴胡湯は胃腸の炎症や機能低下、高血圧などの治療に使われる漢方薬。
「柴胡桂枝湯と迷いましたが、高血圧と肥満があるのでこちらにしました。特にお腹がぽっこりしている方には、これを処方することが多いんです。効能には脇腹からみぞおちあたりにかけての苦しさや胃痛、高血圧とあるので、ぴったりかと思います」(谷川さん)。
【ワンポイント】
高血圧もあることですし、体重管理をしっかりしていくことが大切。減量することで、胃の痛みも改善され、血圧も落ち着いてくるでしょう。
マルヱ薬局
1957年に開業した漢方専門薬局の老舗。日本漢方古来の処方を受け継ぎ、さまざまなカラダの不調の相談を受けるだけでなく、風邪や急な腹痛など、急性病の漢方を求めて来店するお客も多い。その評判は海を渡り、来店客が中国人だけの日もあるのだとか。東京都北区中里2-1-2 WEBサイト