「本当に意味あるの?」7つの疑問から紐解く、脂肪燃焼サプリの真実。

最近目にするようになった、脂肪燃焼効果の高いサプリ。でも本当に効くのか、効果的な飲み方はあるのか……など、不安や疑問は尽きない。巷でよく聞く7つの「ダイエット系サプリにまつわる疑問」を、専門家に解説してもらった。

取材・文/神津文人 監修/桑原弘樹(NESTA JAPANプログラム・ディベロップメント・アドバイザー) イラストレーション/加納徳博

初出『Tarzan』No.894・2025年1月4日発売

脂肪燃焼サプリメントの真実
教えてくれた人

桑原弘樹(くわばら・ひろき)/NESTA JAPANプログラム・ディベロップメント・アドバイザー。15年以上にわたりスポーツサプリメントの企画・開発に携わり、コンディショニング情報を提供。

Q1.ダイエット系サプリって本当に意味あるの?

ダイエットサプリ

世に数多あるダイエット系サプリ。その効果を信用していいのかは誰もが気になるところ。

「成分を理解して正しく選択し活用すれば、効果は得られますよ」と語るのは、長くスポーツサプリメントの企画・開発に携わり、アスリートのカラダづくりもサポートしている桑原塾主宰の桑原弘樹さん。

「ダイエット系のサプリメントは大きく分けると脂肪燃焼系と吸収阻害系に分けられます。脂肪燃焼系はさらに、脂肪を脂肪酸に分解するのを助ける分解サポート系、脂肪酸をミトコンドリアまで運ぶのを助ける運搬サポート系、ミトコンドリアでの燃焼を助ける燃焼サポート系に分けられます。一方の吸収阻害系は、入ってくるものをブロックするものですが、糖質に効くもの、脂質に効くもの、糖質と脂質の両方に効くものがあります。その中から自分に合うものを選ぶ必要があるでしょう」

たとえば、脂質をそれほど摂っていない人が脂質の吸収をブロックするサプリを摂っても効果はほとんど出ない。まずは、自分の食生活を確認するところから始めてみよう。

ダイエット系サプリには2種類ある。

【吸収阻害系】

糖質の吸収をブロックする代表的な成分が桑の葉エキスや白インゲン豆抽出物。脂質の吸収をブロックするのはキトサン。難消化性デキストリンは糖質と脂質の両方に効果があるとされている。吸収阻害系の成分を持つサプリは食事の前の摂取が基本。宴会後に慌てて摂取しても時すでに遅し。大きな効果は得られない。

【脂肪燃焼系】

分解サポートの代表格はカフェインやコレウスフォルスコリ。運搬サポートの代表格はカルニチン。燃焼サポートの代表格はHCAやCLA。「疲労軽減に繫がるカルニチンはダイエットをしていなくても飲む価値あり。成長ホルモンの分泌が脂肪の分解を促すので、睡眠の質を高めるサプリも脂肪分解系と言えます」。

Q2.いまさらですけど、機能性表示食品って?

機能性表示食品制度が導入されたのは2015年4月のこと。それまで、機能性を表示することができる食品は、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていた。

機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。消費者庁長官への届け出は行われているが、トクホとは異なり、個別の認可を受けたものではない。また、機能性表示食品はあくまでも食品で、医薬品ではない。疾病の治療や予防を目的として作られたものではないことも、しっかりと頭に入れておこう。

「機能性表示により、目的に合わせたサプリメントのチョイスがしやすくなったのかなと思います。また、トクホほどハードルが高くないので、参入メーカーが増え、市場が活発になりました」

ちなみに事業者から届け出された内容は、消費者庁のウェブサイトで確認することができる。気になったらチェックしてみよう。

栄養補助食品、健康補助食品といった表示で販売されている食品は、一般食品。また、ビタミンやミネラルのサプリの多くは、一般食品だが機能性の表示ができないだけで、機能性がないということではない。

Q3.やっぱり運動もしないとだめ?

脂肪を落とすには運動しないとだめ?

できることなら、なるべく運動をせずに機能性表示のあるサプリの摂取だけで脂肪をなんとかしたいと思っている人もいるだろう。しかし、確実に結果に結びつけたいのであれば、運動をセットにすることが望ましい。

「機能性表示食品の根拠となっている試験や研究レビューは、その成分の摂取とともに適度な運動がセットになっている場合が多いので、やはり運動もしておいたほうがいいでしょう。本格的なものではなく、一日の歩数を増やす、風呂・トイレの掃除をする、バスや電車で立つようにする、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使うなどで構いません」

活動量を増やし、それを習慣化することを意識しよう。

Q4.たくさん種類があるけど、どう選べばいい?

機能性表示食品制度が導入され、保健機能食品の市場は拡大。ドラッグストア、スーパー、コンビニには数多くの機能性表示食品やトクホが並んでいる。選択肢が増えたことは嬉しいことではあるが、一方でどう選べばいいかわからないという人もいるだろう。

「まずは、機能性表示をよく読んで、自分に必要かどうかを判断することが大事です。糖に関与するものなのか、脂質に関与するものなのか吸収を抑えるのか、分解や燃焼を助けるのかといったことを確認しましょう。また、機能性表示食品は、事業者の責任において機能性表示をしているので、同じ成分ならば、やはり自分が信頼しているメーカー、大手メーカーを選んだほうが安心だと思います」

お腹が太めの人の内臓脂肪減少薬が登場。

alli(アライ)

日本で唯一となる内臓脂肪減少薬《alli(アライ)》。有効成分のオルリスタットにより、食事由来の脂肪の約25%を便として排出することが期待できる。要指導医薬品のため、薬剤師がいる指定の薬局のみで販売されている。18カプセル(6日分)2,530円、90カプセル(30日分)8,800円。WEBサイト

Q5.どのくらい飲み続けると効果が出る?

どのくらい飲み続けると効果がある

どれくらいの期間サプリを飲み続ければ効果を実感できるのか。これも気になるところだろう。

まずチェックしたいのが、メーカーのホームページ。そこに推奨期間や、メーカーが行った試験結果、根拠となっている研究レビューが掲載されている場合がある。たとえば、試験や根拠となっている研究が、12週間の摂取でデータを取っているならば、12週間は試してみたほうがいいだろう。

「メーカーが目安を出していない場合は、最低でも4週間を目安に摂取してみてください。機能性関与成分のエビデンスとなっている研究も、それより短い期間でデータを取っていることはないと思うので、少なくとも数週間は見ないと効果の有無が判断できません」

Q6.効果を出すためのポイントは?

効果の出すポイントは?

サプリはダイエットの最終兵器。まずは、食習慣を改善し、運動を頑張り、それでもダメならサプリに頼る。と、考えがちだが、サプリを活用するならば、ダイエットの最初期の段階が望ましい。というのも、前述した通り、機能性表示食品の根拠となる研究レビューは、肥満な人やBMIが高めな人でテストを行っていることが多い。お腹がぽっこりしている段階の方が、効果を実感しやすいのだ。

「ダイエットの開始のタイミングでスタートダッシュを決める感覚で使うのがおすすめです」

また、推奨量を超えてサプリを摂取しても効果は高まらない。食物繊維系や乳酸菌系は、過剰に摂取するとお腹がゆるくなることもあるので注意したい。

Q7.自分に向き・不向きな成分を確かめる方法は?

自分に向いているサプリかどうかを判断する一つの基準となるのが、自身の体型。機能性表示食品の根拠となる研究レビューの多くは、肥満の人やBMIが高めの人を対象にした実験を行っていることが多い。メーカーのホームページなどでそれが確認できたならば、太り気味の体型の人に効果が出る可能性が高いと言えるだろう。

一方、それほど太った体型ではない人は、脂肪燃焼系よりも吸収阻害系のサプリのほうが得られるメリットが大きそうだ。

「どの成分が自分のカラダに効きやすいかは当然個人差があります。一定期間継続的に摂取してみて効果が実感できなかったら、別の機能性関与成分を含んでいるサプリを試してみてください」

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