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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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毎日の食事でコラーゲン不足やカルシウム不足に陥ると、たるみが引き起こされることを知っていますか? 運動やセルフケアによってたるみに対処することはもちろん大事。でも、そもそもの根本原因、食事を見直さずして改善は望めない。たるまない栄養学ルールと常識を身につけてスマートに行きましょう。おすすめレシピで即実践!
目次
肌の張りツヤを支えているのがタンパク質の一種であるコラーゲン。ところが哀しいかな、このコラーゲンは年齢とともに劣化し、ゆえにお肌はたるんでいく。ならば、食事から補充すればいいじゃんと、美意識の高い女性たちは昔から豚足や鶏手羽を積極的に食べていた。
一時期、コラーゲンは結局アミノ酸に分解されるから、体内でコラーゲン効果は期待できないといわれていたが、近年の研究ではアミノ酸の一歩手前のペプチドという形で吸収され、しっかり皮膚に届くことが判明。
じゃあ、たるみたくない男性たちも女性たちに倣い、コラーゲン豊富な食材をどんどんいただこう。その際は必ず、コラーゲン合成に欠かせないビタミンCとともに。
コラーゲンは肉や魚などの動物性食品に豊富に含まれる。表以外では鶏の手羽やフカヒレなども狙い目。
顔のたるみの原因のひとつは意外なことにカルシウム不足。顔は全身の中でもとくに骨密度が高い場所。あちこちにある細かい骨によって皮膚が支えられているのだ。
加齢によって骨密度が減少すると支えを失った皮膚が下垂してたるむという仕組み。骨密度が激減する更年期以降の女性はとくに要注意だが、男性も加齢によって骨密度は確実に低下するので人ごとではない。
骨の材料の大体の割合はカルシウム7割、コラーゲン3割。コラーゲンだけでなくカルシウム補給も忘れずに。カルシウムの吸収を促すきのこ類や青魚に多いビタミンD、骨の形成を促す青菜などに多いビタミンK、骨からのカルシウム流出を防ぐ大豆などを共に摂れば完璧。
成人男性の1日のカルシウム推奨量は700〜800mg。さまざまな食品を組み合わせてカバーしたい。
紫外線や喫煙、ストレスなどによる過剰な活性酸素がシミ、シワ、たるみなど、あらゆる肌老化の原因になることはすでに知られている話。加齢によって体内の抗酸化システムは衰えていくから、放っておけばたるみに拍車がかかる。
食事でできる対策のひとつは、強力な抗酸化作用があるポリフェノールを含む果物を朝、野菜を昼に食べること。水溶性のポリフェノールは吸収約3時間後には排出されてしまうので、日中の酸化を防ぐために朝と昼は果物と野菜を味方に。
カラダのたるみを引き締める最良の方法はやっぱり筋トレ。張りのある筋肉があれば重力に従おうとする皮膚を引っ張り上げてくれるに違いない。
そのためには筋肉の材料になるタンパク質をしっかり摂取しなくては。確かに正解。でも一方で、カラダを絞るために過度に糖質を制限するのは不正解。
というのは、筋肉の張りは水分によって保たれているから。その水分を保持しているのは筋肉内の糖質。糖質は1gにつき3gの水を引き込む性質を持っている。
過度な糖質制限で筋肉中の糖質が不足すると、水分が保てずカサカサシワシワ、たるみ防止どころかかえって逆効果になってしまうのだ。タンパク質と主食は必ずセットでいただこう。
活性酸素がもたらす酸化とともに、老化の原因とされているのが糖化ストレス。体内で余分な糖がタンパク質とくっついて作られるAGEsという物質がシミ、シワ、たるみなどを引き起こすと考えられている。
張りのある筋肉のために糖質は必要不可欠だが、そうめんや素うどんばっかりちゅるちゅる啜る食生活はNGだ。もし、食後に運動をしないとなると余った糖質がどんどんAGEsを作り出してしまう。
そこで糖質代謝を促すビタミンB1が豊富な主菜を一緒に口にしたい。代表格は豚肉だ。さらにビタミンB1の吸収を高めるアリシンという成分を含む、ネギ、ニンニク、タマネギなどの薬味を加える。つけ汁に炒めた豚挽き肉を投入しネギを散らせば申し分なし。
ネギやニンニクに含まれるアリシンという成分がビタミンB1と結びつくとアリチアミンという物質になり、体内に吸収されやすくなる。このアリチアミンから開発されたのがフルスルチアミンというビタミンB1誘導体。通常のビタミンB1より明らかに吸収率が高い。
主役はコラーゲン豊富な鶏手羽中のスペアリブ。火の通りも早く、骨からの身離れもよく食べやすい。お供は最強のビタミンC食材、パプリカ。ビタミンCが破壊されるのは約300度。調理加熱では壊れないのでご安心を。
意外なようだが大豆製品の厚揚げにはカルシウムがたっぷり含まれている。厚揚げにサンドされた鮭はそのカルシウム吸収を促すビタミンDの宝庫。ベストマッチだ。鮭缶を利用すれば調理もカンタン。
糖質源のショートパスタは吸収が緩やかな全粒粉タイプをチョイス。タンパク質源はモッツァレラチーズとツナ。嚙み応え十分なのでサラダ風のこのひと皿で大満足。チーズからはカルシウムも補給できる。
もう1品、副菜が欲しいというとき。または、お酒のアテに。たるみ防止のちょこっと小鉢を作ってみよう。
たるまない副菜の1品目はカルシウム源のしらすと骨からのカルシウム流出を防ぐ大豆の組み合わせ。
もう1品は骨を作るビタミンKが含まれたホウレンソウと低脂肪高タンパク、そしてカルシウムが豊富なカッテージチーズの和え物。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 イラストレーション/mrsn 取材協力/赤石定典(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部管理栄養士) 料理製作・スタイリング・栄養監修/牛尾理恵 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売