【専門家直伝】むくみ解消に効くアクティブリンパマッサージ。
リンパマッサージを行う際、手だけを動かすのではなく、カラダのアクティブな動きに合わせてさするのが正解。名付けてアクティブ・リンパマッサージだ。
リンパ循環が悪くなってむくんだところを放置すると、いずれたるみにもつながりやすい。専門家が監修したメニューを実践し、滞っているリンパをスムーズに流そう。
取材・文/井上健二 撮影/幸喜ひかり、園山友基 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/村田真弓 イラストレーション/モリタクマ、小林ラン 監修/渡辺佳子(銀座ナチュラルタイム総院長) 実技指導/永井政道(銀座ナチュラルタイム治療院院長)
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売
渡辺佳子さん
経絡リンパマッサージ師
わたなべ・けいこ/銀座ナチュラルタイム総院長、経絡リンパマッサージ協会代表理事。リンパマッサージの先駆者で鍼灸あん摩マッサージ指圧師の資格とそのプロを養成する教員資格を持ち、教員養成科の講師を務める。
ポイントは筋肉を動かしながら、軽く圧をかけてさすること。
はじめにリンパを流すためのポイントを、経絡リンパマッサージ師の渡辺佳子さんは「手に肌を密着させて軽く圧をかけてさするのが効果的」と語る。
「単に押すだけよりリンパ循環スピードが約3倍になるという報告があります。カラダを動かしながらさすると、筋肉の伸縮により、リンパがさらに流れやすくなります」(渡辺さん)
余分な水分を溜めないで円滑に排泄するには、リンパの活性化が欠かせない。その経路を頭に入れて効率よくマッサージしていく。
顔・首のむくみ
末梢のリンパは筋肉の伸縮で循環するが、顔の筋肉は小さくて非力。動かさない人も多く、むくみやすい。まず手を付けるべきは首。顔とボディを往来するリンパのまさにボトルネック(隘路)だからだ。その詰まりを取ってから、顔をマッサージしよう。
1.デコルテ(首・左右各30〜60秒)
椅子に坐り、左手を右肩から左脇の下へ、右手を左肩から右脇の下へさすり、両手を交差させながらデコルテをマッサージ。親指以外の4指を閉じ、デコルテに密着させて行う。
2.鎖骨上下(首・上下とも左右各30〜60秒)
3.首すじ(首・左右各30〜60秒)
1.椅子に坐り、顔を右側へ向ける。2.右手を左耳の後ろから、鎖骨の下までまっすぐさする。3.左手は左耳の後ろから、左の肩先に向かってさする。4.左右交互に行う。5.首を左側に向けて同様に行う。
4. 顎下(顔・30〜60秒)
1.椅子に坐り、顔を正面に向け、右手のひらを顎下に添える。左手はその下に添える。2.顎を上に向けながら、右手を鎖骨に向かってさする。3.両手を入れ替え交互にさする。
5. 顔全体(顔・各部位30〜60秒)
6.目の周り(顔・各部位30〜60秒)
手・腕のむくみ
上半身でもっとも大切なリンパ節の一つが、脇の下にある「腋窩リンパ節」。デスクワークなどで前屈みが続くと脇は閉じたままになり、腋窩リンパ節が圧迫されて腕全体のむくみにつながる。
腋窩リンパ節をマッサージし、腕の前側と後ろ側をさすり、リンパの流れを促進。
1.脇の下(左右各30〜60秒)
1.椅子に坐り右脇の下の凹みに左手の親指以外の4指を入れて軽く持ち上げる。2.右肘を曲げてゆっくり上下に動かし、腕の重みで脇の下のリンパ節をマッサージする。3.左右を変えて同様に行う。
2.腕(内側・左右各30〜60秒)
1.両足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。2.左腕を前方斜め下に伸ばす。3.右手のひらで、左腕の手首を内側から持つ。4.左腕を横に広げながら、その内側を右手で脇の下までさする。5.左右を変えて同様に行う。
3.腕(外側・左右各30〜60秒)
1.両足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。2.左腕を前方斜め下に伸ばす。3.右手のひらで、左腕の手首を外側から持つ。4.左腕を横に広げながら、その外側を右手で肩口までさする。5.左右を変えて同様に行う。
背中のむくみ
肩こりや腰痛がある人は背中側の筋肉が固まっている。それではリンパも血液も流れが悪くなり、背中のむくみにつながりやすい。
背中は広いから、一度にケアするのは難しい。そこで肩から背中、背中から骨盤、骨盤からお尻という3パーツに分けてリンパマッサージに励む。
1.肩から背中(左右各30〜60秒)
1.両足を肩幅に開いて立つ。2.右手を左側の背中へ伸ばす。3.上体を軽く前傾させる。4.上体を起こしながら、右手を左の鎖骨の下までさする。5.左手も右手と入れ替わりで同じ場所をさする。6.左右の手のひらを交互に使いながら続ける。7.左右を変えて同様に行う。
2.背中から骨盤(30〜60秒)
1.両足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。2.上体を深く前傾させる。3.肩関節の可動域に応じてできるだけ肩甲骨に近い位置に手のひらを添える。4.上体を起こしながら、両手を骨盤までさする。
3.骨盤からお尻(30〜60秒)
1.両足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。2.両手のひらを背骨の左右で腰(骨盤)に当てる。3.上体を軽く前傾させながら、両手のひらでお尻をまっすぐさする。4.上体を起こしながら、両手のひらでヒップラインの外縁を円を描いて腰骨までさする。
脚・足のむくみ
重力がかかり続けるため、足腰はリンパや血液の還流が悪く、むくみやすい。下半身のリンパ節のなかでも、ことに重要なのが両脚の付け根にある「鼠蹊リンパ節」。
まずはそこをマッサージしてから、ふくらはぎ→太腿と末端から中心に向けてリンパの流れを促してやろう。
1.鼠蹊部(30~60秒)
1.床で仰向けになり、両膝を腰幅に開いて曲げて立てる。2.親指以外の4指を、ベルトラインのやや下でV字に添える。3.お尻を軽く持ち上げる。4.お尻を床に下ろしながら、両手で鼠蹊部(ビキニパンツの斜めのライン)に沿ってさする。元に戻る。
2.ふくらはぎ(左右各30~60秒)
1.床にあぐらをかいて坐り、左膝を立てる。2.左の足首に手のひらを密着させる。3.上体を軽く前に倒す。4.上体を起こしながら、左右の手のひらを交互に動かして下から上へふくらはぎをさする。5.左右を変えて同様に行う。
3.太腿(左右各30~60秒)
1.床にあぐらをかいて坐り、左膝を立てる。2.左膝の内側に手のひらを当てる。3.上体を軽く前に倒す。4.上体を起こしながら左右の手のひらを交互に動かして膝から鼠蹊部までさする。5.左右を変えて同様に行う。