【特徴&効果効能を解説】全15種! カラダにいいスパイス辞典
夏はカレー! ハフハフ頰張り汗をかけば、食べた後は爽快。スパイスによる滋養強壮効果も期待できるから、カラダが自ずと欲しているのかもしれない。スパイスは漢方でいうところの生薬。複数のスパイスを組み合わせて作るカレーは、内臓を元気にしてくれる養生食だ。そこで、今回は、インド料理の定番スパイス15種を解説。使いこなせるようになれば、カレーのみならず料理全般の幅が広がる!
取材・文/間宮寧子 撮影/伊藤徹也 スタイリスト/中里真理子 監修・レシピ・料理製作/井澤由美子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.884・2024年7月18日発売
井澤由美子さん
教えてくれた人
いざわ・ゆみこ/料理家。素材の味と効能を生かしたシンプルな料理が人気。中医薬膳や発酵食に造詣が深く、根本からカラダを整える食養生を提案。8月に『腸活のスーパーフード まるごと海藻レシピBOOK』(家の光協会)が発売。
目次
- レシピの前にスパイスを知ろう
- 1. シナモン:料理に深みを与える独特な甘い風味
- 2. カイエンペッパー:ピリリと刺激的な、辛さの決め手
- 3. カルダモン:すーっと抜けるような清涼感のある香り
- 4. ブラックペッパー:世界各国に根付くスパイスの王様
- 5. フェンネル:口直しにも用いられる爽やかな香りのスパイス
- 6. ナツメグ:独特な芳香で臭みをカット。挽き肉料理にはコレ
- 7. スターアニス:魅惑的な甘い香りが料理を格上げ
- 8. パプリカ:鮮やかな赤が食欲をかき立てる
- 9. コリアンダー:主張しすぎない料理全体のまとめ役
- 10. クローブ:刺激的な強い香りは、肉の臭み消しに
- 11. キャラウェイ:香りはほんのりと甘く、口に含むとほろ苦い
- 12. ローリエ:さっと1枚加えるだけでおいしさがアップ
- 13. クミンシード:カレーといえば、ほんのり苦いこの香り
- 14. ターメリック:食欲をそそるイエロー。カレー作りにまずはこれ!
- 15. 唐辛子:カラダの中まで温めるホットなスパイス
レシピの前にスパイスを知ろう
何から揃えるべきかと迷ってしまうが、カレーを作るならまず入手すべきはクミン、コリアンダー、ターメリック、カイエンペッパーの4つ。
「インドの家庭で欠かせない基本のスパイスで、日本人にとっての味噌や醬油のようなもの。この4種を組み合わせれば、簡単な副菜から本格的なカレーまでさまざまな料理に応用することができます」(井澤さん)
種子や葉をそのまま乾燥させたホールタイプは、じっくり加熱して香りを引き出し、パウダーは仕上げに使うことも多い。役割や効能は、アレンジする際の参考に。
1. シナモン:料理に深みを与える独特な甘い風味
クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。「カラダを温める効果は生姜以上で、免疫力向上にも。お菓子作りの定番ですが、味に深みを与えるので料理でも積極的に取り入れて。骨付き鶏肉のスープカレーに使うと新鮮な味わい。醬油味の煮込みにも合います」。
2. カイエンペッパー:ピリリと刺激的な、辛さの決め手
赤く熟した唐辛子の実を乾燥させた香辛料で、辛さは強烈。「カレーの辛味付けをするのに欠かせません。カプサイシンにより発汗促進、食欲増進、コレステロール値や血流の改善も期待できます」。辛さによって味わいも変わる。好みに合わせて量の調整を。
3. カルダモン:すーっと抜けるような清涼感のある香り
ショウガ科の植物の種子を乾燥させたスパイス。パンやスイーツにも使われる。「爽やかで気品のある香り。胃腸の調子を整え、リラックス効果があり、ストレスを軽減するといわれています。料理には半割りの状態で使用。食後に種を嚙めば口臭予防になります」。
4. ブラックペッパー:世界各国に根付くスパイスの王様
どんな料理にも合う汎用性の高い香辛料。「日本でも江戸時代にはうどんやご飯の薬味に使われていたとか。胃腸の調子を整え、代謝を上げる作用もあり、ミネラルも豊富。潰したブラックペッパーをご飯にかけ、冷やした和だしをかけた“胡椒飯”は夏のおすすめ」。
5. フェンネル:口直しにも用いられる爽やかな香りのスパイス
セリ科の植物・ウイキョウの種を乾燥させたもの。インド料理店のレジ脇でよく見かける、天然のブレスケアがこれ。魚料理の臭み消しに使われることも多い。「すっとした清涼感のある香りが特徴で、リフレッシュ効果があり、消化も促進してくれます」。
6. ナツメグ:独特な芳香で臭みをカット。挽き肉料理にはコレ
ニクズクという常緑樹の種子の粉末。肉の臭みを抑えるため、特にハンバーグなど挽き肉料理と相性が良く、お菓子のおいしさを引き立てるスパイスとしても使われる。「世界3大スパイスのひとつ。香りが強いので、料理に使用する際は適量を守りましょう」。
7. スターアニス:魅惑的な甘い香りが料理を格上げ
別名八角。星形の形状と、強く甘い香りが個性的なスパイス。「中華料理でもおなじみで、肉の臭みを抑える働きがあるため豚の角煮や北京ダックなどに使われる。コンポートなどデザートに入れることも。胃腸の調子を整え、お腹の冷えも緩和してくれますよ」。
8. パプリカ:鮮やかな赤が食欲をかき立てる
唐辛子の一種、パプリカを粉末状にしたもの。といっても辛味成分はほぼ含まず、風味は穏やか。甘酸っぱい独特の香りがあり、シチューやグラタン、肉の煮込み料理などに使われることが多い。「色付けの役割も担い、料理を華やかに仕上げたい時に重宝します」。
9. コリアンダー:主張しすぎない料理全体のまとめ役
パクチーの種を粉末にしたもので、カレーの香り付けに欠かせない。挽き肉料理や製菓にも使われる。「ほのかに甘く爽やかな、柑橘にも似た香り。主張しすぎず、料理全体のバランスを整える役割を担います。鎮痛作用やリラックス効果も期待できます」。
10. クローブ:刺激的な強い香りは、肉の臭み消しに
インドネシア原産の、チョウジという木の花のつぼみ。「バニラに似た甘さと刺激的な香りを併せ持つスパイスで、ポトフやシチューなど煮込み料理と好相性。湯に入れ15分ほど煮出し、蜂蜜を加えれば、お茶としても楽しめる。冷え改善や痛み止めにも使われます」。
11. キャラウェイ:香りはほんのりと甘く、口に含むとほろ苦い
セリ科の植物の種子を乾燥させたもの。見た目はクミンと似ているが、香りを嗅げば違いは瞭然。「古くから香辛料として親しまれてきた歴史があり、ヨーロッパではライ麦パンやシュークルート、お酒の香り付けにも使われます。整腸作用があり、食欲不振にも」。
12. ローリエ:さっと1枚加えるだけでおいしさがアップ
月桂樹の葉を乾燥させたもの。シチューや肉の煮込み料理の臭み消しに重宝されている。「使用するときは叩いたり、折ったりして香りを高めます。香りの主成分であるシオネールには、消化促進、胃腸や肝臓の働きや血の巡りを良くしてくれる働きがあります」。
13. クミンシード:カレーといえば、ほんのり苦いこの香り
地中海沿岸原産のセリ科の植物の種子を乾燥させたもの。ラムなどクセのある肉料理によく合う。「インドでは料理の香り付けの定番。味は少し苦みがある程度ですが、まさにカレー、と思わせる刺激的な香りが特徴。消化を助ける作用があるといわれています」。
14. ターメリック:食欲をそそるイエロー。カレー作りにまずはこれ!
ウコンの根を粉末にしたほろ苦い風味のあるスパイスで、カレーを色付ける役割も。「インドでは風邪のひき始めに、牛乳にターメリックを入れた“ゴールデンミルク”を飲むのが定番。カラダを温め、脳や肝機能を活性化する働きも。二日酔いにもうってつけ」。
15. 唐辛子:カラダの中まで温めるホットなスパイス
世界各国の料理で使われている、ポピュラーな辛味と香りのスパイス。未熟なときは青く、熟すと赤や黄色になる。チリパウダーは、これを粉状にしたもの。「カラダを温め、食欲増進、血の巡りや胃腸の冷えを改善し、疲労回復にも効くといわれています」。