足は菌の培養装置。足の臭いの原因と対策
カラダから発する臭いの正体を知らぬは、百害あって一利なし! 強烈な臭いは、心や健康を蝕むシグナルかも…。その種類と原因、そして対策を、ここではっきり理解しておこう。今回はまるで納豆のように鼻にツ〜ンとくる足臭について解説。
編集・取材・文/宮田恵一郎 イラストレーション/しりあがり寿 監修・取材協力/桐村里紗(医学博士)
初出『Tarzan』No.881・2024年6月6日発売
桐村里紗先生
教えてくれた人
きりむら・りさ 内科医・認定産業医。生活習慣病から終末期医療まで幅広く診療経験を積み、予防医療の観点から臭いにも着目。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)など。
まるで納豆のように鼻にツ〜ンとくる足臭
「汗臭と同じエクリン汗腺由来の臭いのため、足がクサいのは、性別に関係なく子供も大人も変わりありません」
ただ、その臭いは汗臭(詳しくはこちらの記事:発汗習慣がない、汗をかいたまま放置している人は要注意。汗臭の原因と対策)とは全く異なるという。
「足の裏の常在菌が酸っぱい臭いの酢酸だけでなく、足の角質などをエサにする銀杏臭の酪酸や、納豆やブルーチーズの臭いを漂わせるイソ吉草酸を生み出し、鼻にツ〜ンとくる強い複合臭を放ちます」
足臭の原因
皮膚の常在菌が影響する点は、汗臭とメカニズムは同じ。ただ、臭いはさらに複雑で強烈なものになるそう。
「足裏は、角質が分厚く、細菌にとっても高栄養で、汗もたくさんかき、靴下と靴に覆われていて高温多湿、と菌が繁殖する条件が全て整っています。
いわば、菌の培養装置です。全身の皮膚の中で最も常在菌が増えやすいため、誰もが臭いやすいのです」
足臭の対策
靴の中の通気性を良くすること。湿度を下げるのも有効なため、ムレを防ぐインソールも効果的だ。また足裏に限っては制汗剤も一つの手段。
「ただ局所のポイント使いという条件付き。生理機能である発汗を抑制するため、全身への使用は控えましょう」