好きな香りで機能改善!? 専門医が教える嗅覚のメンテナンス法
40代、50代になり、老眼、聞こえにくさ、声の出しづらさ、虫歯の増加といった悩みが出てきたという人もいるのではないだろうか。人生100年時代と考えれば、折り返しに差し掛かったばかり。機能を長く維持するためにも、衰えが激しくなる前に、正しいメンテナンス習慣を身につけたい! 今回は鼻の健康を保つためのメンテナンス法を紹介。
取材・文/神津文人 撮影/森山将人 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾
初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売
教えてくれた人:市村恵一先生
いちむら・けいいち/耳鼻咽喉科専門医。東京みみ・はな・のどサージクリニック名誉院長。自治医科大学名誉教授。日本小児耳鼻咽喉科学会理事長、日本鼻科学会常任理事などを歴任。近年は高齢者の補聴器診療に注力。
鈍くなったと感じたら、好きな香りを嗅ぐ
視力や聴力と同じように、嗅覚も加齢とともに衰えていくものだが、好きな香りを嗅ぐことが、そのスピードを減速してくれる可能性がある。
「さまざまな種類の香りを定期的に嗅ぐと、嗅覚神経細胞を刺激し、再生を促す効果があるとされています。嗅覚刺激療法というもので、現在は治療にのみ活用されていて、嗅覚の衰えに対する予防効果が実証されているわけではありませんが、日々好きな香りを嗅ぐことは、嗅覚にとって良いことでしょう」(市村恵一先生・耳鼻咽喉科専門医)
乾燥する時期は、マスクを着用
鼻の粘膜は本来、適度に潤っているもの。何らかの要因によって鼻の粘膜が乾燥した状態はドライノーズと呼ばれ、痛みや違和感の原因になるだけでなく、鼻が持つバリア機能が損なわれ、細菌やウイルスに感染するリスクも大きくなってしまう。
「冬はもちろん、夏場でも湿度が低い場所に旅行へ行くとき、空気が乾燥している飛行機に乗る際などは、マスクを着用して鼻を乾燥から守りましょう」
もちろん水分摂取も乾燥予防に必須。
機能を低下させるかも?やりがちNG行動
鼻をかまずに鼻をすする
鼻水には細菌やウイルスなどの異物を体外に排出するという役割がある。鼻をすすると、それらが逆戻り。副鼻腔や喉の炎症の原因にもなる。
また、鼻をすすると中耳内が陰圧になり、中耳炎を引き起こす可能性もある。とはいえ、強く鼻をかむのも鼻や耳の負担になるのでNG。鼻をかむときは片方ずつやさしくかもう。
部屋の掃除は週末にまとめてやる
鼻はカラダに備わっている加湿空気清浄機のようなもの。異物からカラダを守るフィルターの役割を果たし、鼻腔に入った空気は温められ加湿されて体内へと送られる。
ほこりが多かったり、あまり換気されていない部屋にいるということは、それだけ鼻(喉にも)に負担をかけることになる。寝室やリビングだけでも、こまめに掃除することを心がけよう。
鼻呼吸ではなく口呼吸が習慣化
口呼吸をすると、鼻という高機能の加湿空気清浄機を通さずに、低温で、ウイルスや細菌、ほこりなどの異物を含んだ空気が喉に到達。当然、喉にかかる負担は大きくなり、感染症のリスクも増す。