- 整える
タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
PR
抗酸化に比べて、まだ歴史の浅い抗糖化対策。だが、糖化は酸化に並ぶ最大の老化原因。その先に待っている手強い慢性炎症を防ぐためにも、使える手はすべて試そう。食材を選び、調理法を工夫し、外食の際にはどちらのデメリットが大きいかを選択する。その知恵が老化を防ぐのだ。
糖とタンパク質がくっつく糖化反応によってAGEができてしまう(詳しくはこちらの記事:鮭は最強のアンチエイジング食材|最強若返りメシ【抗酸化編】)なら、食事の際に無駄に血糖値を上げないことが最低限のセオリーとなる。
「そのためには、よく嚙んで食べ物が消化される前にインスリンの分泌を促したり、消化に時間のかかる玄米やもち麦など茶色い主食を選んだり、主食の炭水化物は一番最後に口にしたり、さらに食後にはウォーキングなど軽く動く習慣をつけるなどの工夫が必要です」(河村さん)
たとえば写真のようなメニューなら、まず豚汁と野菜サラダを先に食べ、もち麦ごはんに生卵をかけたTKGで締める。これならお腹いっぱいにはなっても血糖値上昇は緩やか。
食材を調理の前に酢やレモン汁に浸け込んでおくと、調理の過程でAGEが作られにくいという話。AGEの塊、唐揚げもレモン汁にあらかじめ浸けておけばAGEが半減するとか。マジっすか?
「酸性の状態では糖とタンパク質の結合が起こりにくいということが分かっています。それとは別に食材の保水性を高めることで糖とタンパク質がくっつきにくくなる可能性もあります。肉を調味料やパイナップルに浸けるなどして柔らかくすることも有効ではないでしょうか」
ということで、調味料を十分に揉み込んだ豚肉や鶏肉を調理してポン酢でいただこう。もちろん、調味料には砂糖は不使用。
AGEが作られやすい調理法はワースト順に言うと、揚げる→焼く→炒める→煮込む→蒸す→茹でる→生。とにかくタンパク質が熱で変性して美味しそうな焦げ目がつく調理法ほど、AGEが発生しやすい。
AGEを数値化すると、同じパスタでもこんがりベーコンを使ったカルボナーラはボンゴレの6倍以上、同じ牛肉を使った料理でも牛ステーキは牛丼の約7倍のAGE値となる。それなら数値が低い方を選ぶことが糖化による老化も防げるはず。
「食品に含まれるAGEの約3割が体内に吸収され、そのうちの約1割が体内に残るといわれています。少しでも蓄積量を減らすことに意味はあります」
レバーに豊富なビタミンB1とカツオに豊富なビタミンB6、これらはどちらも糖化反応を抑制してくれる。
「普通に糖を代謝していくプロセスでは最終的にATPというエネルギーになっていきますが、その過程でどうしても一部、アルデヒドが作られてしまいます。ビタミンB1は糖の代謝を速やかにしてアルデヒドの生成を防いでくれる役割を果たします」
糖化の元凶はAGEが作られる前段階でアルデヒドが作られてしまうこと。これを防いでくれるのがビタミンB1。一方、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助けるので、糖とタンパク質の結合を防ぐという仕組み。頼ろう!
取材・文/石飛カノ 撮影/石原敦志 スタイリスト/矢口紀子 料理製作・栄養監修/河村玲子(管理栄養士、トレーナー) 取材協力/津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校〈UCLA〉医学部内科・公衆衛生大学院准教授) 参考文献/『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介著、東洋経済新報社刊)、『HEALTH RULES(ヘルス・ルールズ)病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』(津川友介著、集英社刊)、『数字でわかる老けない食事 AGEデータブック』(山岸昌一監修、万来舎刊)
初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売