しなやかな背骨と美姿勢を作る。徹底!猫背改善ピラティス

カラダの使い方を知ることに特化したピラティスなら、猫背の根本原因にもアプローチ可能だ。いつしか染みついた動きの癖を一つひとつ解きほぐし、機能的で見映えもするカラダに! まずは自分の左右差をチェックして、足元、骨盤、胸郭、背骨全体と順を追って全身を徹底的に整えよう。

取材・文/門上奈央 撮影/五十嵐一晴 ヘア&メイク/村田真弓 取材協力・監修/Yoshinori Ito モデル・ポーズ実演/SOGYON

初出『Tarzan』No.879・2024年5月9日発売

Yoshinori Itoさん 猫背改善ピラティス

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Yoshinori Itoさん

教えてくれた人

フリーダムオブピラティス主宰。2005年に渡米。ピラティスの祖、ジョセフ・ピラティス氏が開いたニューヨークにあるスタジオでの指導実績を誇る。現在は東京を拠点に、教育のために全国を回り、オンラインスタジオ〈フリーダムオブピラティス〉を束ねる。

骨格が変われば全てが変わります

ピラティスインストラクターのYoshinori Ito先生が考える、猫背の原因とは。

「肩甲骨の偏った使い方が主な原因。腕は肩甲骨に、肩甲骨は肋骨につながっています。肋骨の動きを良くすれば、それに連動して胸椎や肩甲骨がスムーズに動くようになる。結果、背骨をしなやかに使えるようになり姿勢が安定します。そこで大切なのが呼吸。今回のエクササイズに取り組む時には、常に深くゆっくりとした呼吸を意識しましょう。特に重要なのは、“息を吸いながら伸びる”意識を持つことです」

今回のメニューの狙いは、末端から順に整えていき、背骨の本来の動きを取り戻すことだ。掲載順に、各4〜8回を目安に実践しよう。

「なんとなくやらず、丁寧な呼吸とともにカラダの伸びや緩みに意識を向けて。朝に行うとカラダの癖がリセットされた状態で一日を過ごせておすすめです」

前準備|左右差を知る

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  1. 壁を背にあぐらで座る。
  2. 膝の上で右手を上に、左手を下に向けたままバンザイ。上がり具合を確かめて逆側も同様に。誰しも大なり小なりある左右差をエクササイズの前準備としてチェックして、より“上げにくい”と感じる方ががんばる癖があることを覚えておこう。
歪みの状態をチェック

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ピラティス的な簡単歪みチェック。① 両踵を壁につけた状態で膝を曲げて立つ。② 膝を伸ばした時に、踵、お尻、肩、頭が壁につくかチェック。壁から離れる部分があったら歪みあり。

① 膝下を整える

まずは股関節の動きにも関わる足首の調整から

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片膝を床に対してまっすぐに立てて座り、足の薬指の付け根と立てた脚の脛の内側にそれぞれ手を当てる。

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息を吸いながら足指を引き寄せ、薬指と脛の内側を結ぶ線を縮め、息を吐きながらゆっくり緩める。これを反復、逆側も同様に。引き合った時に“詰まり”があれば、足首の使い方の偏りにアプローチできている証し。

② 骨盤を動かす

背骨を支える土台となる股関節のバランスを均す

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仰向けになり、踵をお尻になるべく近づけた位置でセット。足首を手で摑む。

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息を吸いながら片膝を内側に倒していく。

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膝をなるべく遠い位置に倒して、お腹から膝まで深く伸びるのを意識。息を吐きながらゆっくり緩める。これを反復。片方ずつ3回程度行い、伸びる感覚をカラダに十分覚え込ませてから、左右交互に4〜8回。

+SUPPORT

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太腿の使い方に偏りがあり外側や前側などが局所的に張っている人などは、伸びを感じにくいので、パートナーに膝を遠くに押し下げてもらうのも手。

③ 肋骨・胸椎の動きを出す

深い呼吸を繰り返しながら固まった肋骨を緩めていく

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胸の前で両腕を交差して、それぞれの手で肋骨を包む。背中と肩、首の力を抜く。

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息を吸って手のひらの中で肋骨が膨らみ、

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自然に胸が引き上がっていき、

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高い位置で、胸を天井に向ける。

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吸い切ったら、ゆっくり細く吐き、

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それに伴い肺が萎んでいくことで胸の位置も下げていく。

骨盤から頭頂までの軸を保ったまま胸椎をツイスト

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あぐら座りで肩や首を脱力。左手を右脇に挟み、右手を上に向ける。

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息を吸いながら、右手を返して手のひらを正面に向ける。

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弓を引くように右脇で左手を後方に引く。この動作により胸郭が捻じれる。

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息を吐きつつ右手を次第に緩めて元の位置に戻し、連動して胸や肩、首も戻していく。これを反復、逆側も同様に。

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④ 背骨を起点に全身を動かす

背骨を大きくしなやかに使って動く感覚を養う

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仰向けで両膝を立てる。左手はお腹の上、右手はお尻の横に。

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息を吸いながら、右膝を伸ばし右手を円を描くように動かす。左手はお腹から下腹部、床へと滑らせる。

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息を吐きながら、骨盤を倒さないように意識しつつ、右肩をくるっと回して右手を腰の方まで滑らせる。息を吸いつつ、右手で同じ軌道を通って元の姿勢に。これを反復、逆側も同様に。

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難度が高いと感じたら…

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猫背などにより肩や胸椎がガチガチに固まっていると寝た状態ではうまくできないことも。その場合は、壁を横に片膝立ちになり、壁に近い方の手を壁の上で滑らせてやってみよう。呼吸と連動させることを忘れずに。

⑤ 頸椎の位置を調整する

親指で抵抗をかけながら顎を“懸垂風”に上げ下げ

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両手の親指と人差し指で顎を軽くつまむ。

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息を吸いながら、親指で顎を押し上げると同時に顎を引いて、上からの力と下からの力を拮抗させる。この時、連動して胸が引き上がるイメージを持つこと。息を吸い切ったら、ゆっくり吐きながら顎と指の力を緩めていく。猫背などで前に出てしまいがちな首(頸椎)を調整。

⑥ 頭の位置を定める

何かを見る目の動きの癖を整え、頭部を安定

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片手で目を塞ぐ。視線を上下に動かす。

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視線を左右に動かし、両方向に回す。各4〜8回。眼球の動きが途切れたり、視界がボヤける角度があれば、ていねいに眼球の動かし方や見え方を意識しながら反復する。

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逆側も同様に。滑らかに動かせるようになれば頭部(頸椎)の動きの癖が整う。

+SUPPORT

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一人でもできるエクササイズだが、ペアを組んで行うとより簡単。実践する人の前にもう一人がボールを持ってスタンバイしたら、ボールを上下左右、両方向に大きく正確に動かそう。実践する人はそれを目で追うだけ。

カラダが整ったかをチェックする

お尻〜膝裏が詰まらないで膝をスッと伸ばせるか

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壁を背に、両踵を壁に近づけて膝を曲げる。お尻を突き上げて壁につける。腰を反らさず、骨盤を前に倒してつけるイメージ。

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膝を伸ばした時にお尻〜膝裏の詰まりがなければ下半身の柔軟性が上がった証し。

下半身と上半身を連動させて軸の通った姿勢に正せるか

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壁を背に、両踵を壁に近づけて膝を曲げる。壁にもたれ、手の甲と肩〜肩甲骨をつける。

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膝を伸ばし、壁から肩が離れることなく立てれば、下半身から上半身に軸が通ったいい姿勢に近づいた証し。