走るだけが楽しみじゃない! +αがある楽しいマラソン大会【国内編】
「マラソン大会に出る」と聞くと身構えてしまうけど、楽しむことに重きを置いた様々なランイベントが各地で開催されている。コース中に“ならでは”の景色が待ち構えていたり、地元グルメが振る舞われたりと、至るところに工夫が満載だ。思い切ってトライすることで、その達成感や楽しかった思い出が次の走るモチベーションに繫がる。今回は、トライしやすい国内で、特色のあるマラソン大会をご紹介。肩肘張らずに、まずは+αがある大会探しに出掛けよう!
取材・文/河合萌花 撮影/下屋敷和文、大内カオリ、小川朋央 取材協力/南井正弘(ランナーズパルス編集長)
初出『Tarzan』No.874・2024年2月22日発売
最南端を走る
石垣島マラソン(REPORT|2024.1.21)
開催21回目を迎えた大会。フル、ハーフ、10kmの3コースで行われる。前回大会からは名古屋ウィメンズマラソンとも提携し、出走権を懸けた賞も設立。
温暖な気候で初ランを楽しむ
冬でも20度を超える温暖な気候に誘われて、1月開催の『石垣島マラソン』には全国から多くの人々が訪れる。空港に降り立つと「マラソン、ちばりよー(頑張れ)!」の横断幕。
大会前日に街を歩くと「走るの?」「いい天気だといいね!」と声をかけられ、島全体でランナーを歓迎しているのが伝わってくる。
大会はフル、ハーフのほか10kmや10kmリレーなど参加しやすい距離が設定されているので安心。スタートの市街地を抜けると海沿いの道へ。
フル14km付近の名所・名蔵大橋からは透き通った海が一望でき、束の間スピードを緩めて写真撮影するランナーが多く見られた。
島を横切る中盤はマングローブ林、コース終盤はヤシの木が並ぶ一本道や石垣牛の牧場など、次々に景色が変わるコースは実にユニーク。
年代別で優勝したランナーに話を聞くと「海からの風や勾配があってハードだけど、楽しいコースでした!」と大会を大いに満喫した様子。
八重山そばや石垣牛など、島名物のグルメも大きな魅力。走ることで石垣島のことがもっと好きになる。毎年参加するランナーが多いのも納得の大会だ。
最北端を走る
日本最北端わっかない平和マラソン
2km・5km・8kmとフルマラソンの部に分かれる。参加者には最北に到達したことを記念する証明書も。2024年は9月8日に開催。
北の大地の恵みを五感で楽しむ
日本最北端の北海道・稚内市で開催されるマラソン。雄大な自然はもちろん、北海道遺産に登録された稚内港北防波堤ドームなどを望むコースが待つ。フィニッシュ地点では、地元の海の幸・山の幸を頰張ろう!
最東端を走る
最東端ねむろシーサイドマラソン
海の向こうには北方領土も望むことができる。2024年は8月18日に開催が決定。5月上旬からエントリー開始予定。
花咲ガニ1杯が完走の証し
北海道の最東端・根室で行われるのは、太平洋やオホーツク海を眺めるシーサイドマラソン。完走者に贈られるのは「花咲ガニ丸ごと1杯」。名産品が当たる抽選会にも参加して、思い出を存分に持ち帰ろう。
最西端を走る
日本最西端与那国島一周マラソン
10kmの部、25kmの部があり、25kmは勾配がきつい難コース。大会後のふれあいパーティーも人気。2024年は11月9日に開催。
南国の島をぐるっと一周
日本最西端の国境の町・沖縄県の与那国町では、温暖な気候と美しい自然がランナーを待つ。10kmのスタート地点は、日本最西端の地に認定された西崎灯台。25kmコースなら島を一周することが可能だ。
飛行場を走る
フロストバイトロードレース(REPORT|2024.1.21)
年1回、横田基地で開催。ハーフ、5km、2kmの部がある。スタッフと英語でのコミュニケーションが楽しめるのも、基地での開催ならではだ。
普段は入れない場所も、今日だけは特別開放
レースの会場は、普段立ち入ることのできない横田基地内。軍用機が並ぶ滑走路や車道などのエリアもこの日ばかりはランナー専用だ。
日米の親交を願って開催し、今年で41年目と歴史を重ねてきたこの大会は、ズンバのリズムに乗せた準備運動から始まる。スタートを切れば、基地関係者が手を振ってくれたり、軍用機の横を走ったりと、終始異国ムードが満載。
お腹を空かせて向かったフードエリアでは、グリルからおいしそうな香りが漂い、店員たちの威勢のいい英語が飛び交う。本場のハンバーガーを早く食べたいからと5kmのコースを選ぶ、なんてきっかけもこのレースでは大歓迎だ。
親子で走る
ベジタブルマラソン in 立川(REPORT|2024.1.14)
「走って食べて休日を満喫!」をテーマに、年に6回前後開催している。
野菜とも、家族とも、絆が深まる
日本の食糧自給率アップに東日本大震災復興イベントという狙いを兼ねて、2012年2月に始まったランイベント。ゴール地点では果物や野菜ジュース、協賛品を使った味噌スープが振る舞われる。東京・立川の昭和記念公園で開催された第69回大会の様子を取材した。
このイベントの隠れた名物は、親子マラソン。手を繫いでゴールすることがルールとなっており、フィニッシュゾーンでは数々のドラマが生まれる。「親子マラソンがきっかけで仲直りした、なんて感謝の手紙をいただくこともあるんです」と話すのは、実行委員長の伊藤晃男さん。家に帰れば参加賞の国産野菜で親子クッキングも楽しめそうだ!
世界遺産を走る
奈良マラソン
2010年の平城遷都1300年を契機に始まった奈良マラソン。2024年大会の開催日程・種目は今春にも発表予定だ。
沿道では鹿も応援!?
魅力は何といっても、平城宮跡や興福寺、東大寺、春日大社といった世界遺産の社寺が次々に現れるコース設計。奈良公園に差し掛かると、沿道で鹿と遭遇するチャンスも。走って奈良の魅力を味わい尽くそう。
富士山を走る
富士登山競走
コース前半には、富士吉田市のシンボル「金鳥居」や世界遺産構成資産「北口本宮冨士浅間神社」を通る。2024年に77回大会を迎える。
仲間の応援を背に頂上へ
世界遺産でもある富士山を舞台に、世界でも類を見ない「下り」のないレースが繰り広げられる。相応の過酷さの一方で、富士登山競走を愛する“同志”の絆は格別。完走したランナーが後続を応援する姿も見もの。
サーキットを走る
鈴鹿シティマラソン
2kmから参加でき、コースの中には数々の名ドライバーが味わったコーナーも。第27回大会は2024年12月15日に開催予定。
世界を虜にしたコースに足で挑む
日本初の本格サーキットとして誕生した鈴鹿のコース。この日の大観覧席前を颯爽と走るのは、レーシングカーではなくランナーたちだ。参加賞は伝統工芸品「鈴鹿墨」を使用したオリジナルTシャツが贈られる。
海の上を走る
ちばアクアラインマラソン2024
2024年は11月10日に開催が決定。3月22日~5月9日までランナー募集を受け付ける予定だ。オフィシャルアドバイザーは千葉真子さん。
360度、見渡す限り海
東京湾の中央部を横断する自動車専用道路「アクアライン」の上を特別に走ることができる。千葉県木更津市の潮浜公園前をスタートし、“海の上を走る”非日常感がランナーたちを迎える。
愛犬と走る
稲毛花のマラソン
1.5kmからフルマラソンまで、多彩な種目が揃う『稲毛花のマラソン』。ハーフやフルの長距離を一本のたすきを繫ぎゴールする駅伝形式でも参加可能だ。
かけっこ好きの愛犬とともに
園内のフラワーミュージアムにバラが咲き誇る5月、千葉県・稲毛海浜公園を舞台に開催。「ドッグRunRun」と名付けられた1.5kmの種目では、愛犬と一緒にエントリーし、ペアでの完走を目指す。
神社を走る
香取小江戸マラソン
ランナーとして走り抜けた街並みを大会参加後に観光するのも楽しい。2024年は12月15日の開催を予定している。
勝利の神を味方に街を快走
勝利の神が宿るとされる千葉県・香取神宮をスタート。10kmコースでは江戸情緒漂う街並みを駆け抜ける。レース前には安全を祈願し、香取神宮本殿でお祓いを受けることができるのもユニーク。
石段を走る
こんぴら石段マラソン
大会当日は参加者785人全員が記念Tシャツを着用してスタート。ゴール後は表参道近辺の加盟店でソフトクリームなどが受け取れるサービスも。
785通りの楽しみ方が待つ
香川・金刀比羅宮の785段にもなる石段を駆け上がり、御本宮へお参りした後、一気に石段を下る。タイムを競う大会ではない分、参加者それぞれの楽しみ方が見つけられるのも嬉しい。
ビーチを走る
九十九里はまぐりマラソン
2023年度の大会では参加者1人当たり1kg、総計230kgのハマグリが振る舞われた。2024年も5月~6月の開催が予定されている。
砂浜を駆け、海の幸をご褒美に
日本を代表する砂浜海岸「九十九里浜」で砂の上を走り続ける。参加賞は九十九里浜で獲れた新鮮なハマグリ。走った後も磯の香りを楽しめる絶好のもてなしだ。
真夏に走る
人間塩出し昆布マラソン
今年で29回目を迎える。「昆布のようにしなやかで、だしの出せる人間像を目指そう!」と数百人が集結。浜辺に体重計が並ぶのは、この日ならではの光景だ。
だしの出せる人間が優勝
熱い勝負が繰り広げられるのは、湘南・片瀬江ノ島海岸「西浜」。真夏の一番暑い時期を選んで開催され、走った前後の体重差で順位が決定する。汗をかいた分だけ讃えられる、盛夏の戦いだ。