コンディショニングのひみつ:PDCAサイクル

連載「コンディショニングのひみつ」。今回はカラダ作りにも応用できるビジネスの改善メソッド「PDCAサイクル」を紹介する。

取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.874・2024年2月22日発売

PDCAサイクル

カラダ作りにも応用できるビジネスの改善メソッド

カラダの機能を高めたい、ダイエットしたいなど、トレーニングやコンディショニングの目的は人それぞれ。けれど共通するのは、単に漫然と続けたり、不合理な方法で頑張るだけでは成果が上がらないこと。

そこで強い味方になるのが、PDCAサイクルという概念だ。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字からなる用語で、もとは業務管理の改善法としてビジネス界で長く提唱されてきた。この原理をトレーニングなどに応用することで、より確かな成果が得られるメソッドなのだ。

その具体的なプロセスと実行への落とし込み方のポイントを、以下に詳しく解説していこう。

目標達成までのプロセス

PDCAサイクル

なりたい自分を目指して、まずPlan(計画)では具体的な目標を設定。Do(実行)では記録とともに実践を重ね、Check(評価)で達成度を振り返る。さらにAction(改善)で軌道修正を加え、このフィードバックからまた次のステージに進もう。

Plan:計画する

まず最初のステップ、Plan(計画)はPDCAサイクルの成否を左右する重要な要素。そのためには何より、できるだけ具体的な「目標」を立てること、さらには達成までの「期間」を決めることがモチベーションのためにも必要になってくる。

例えばマラソンなら、出場するレースを決めてエントリーすれば、残された練習時間が逆算できる。またダイエットの場合なら夏までに何kg痩せる、といった具合に“なりたい自分”と“現状”を照らし合わせたら、あとはこれからの道筋に必要なメニューを考えていこう。

Do:実行する

ここからは、Planで立てた計画を具体的なタスクに分解したうえで実行していく。そのためには、どんなトレーニングが何に効くか、どのくらいの負荷や時間をかけるか、さらにはどんな食事や栄養を摂る必要があるかなどを把握し、頭で理解しながら実践していくことが大切。

さらにこの段階での重要ポイントが、実行したメニューや結果などの活動内容を必ず「記録」しておくこと。オーソドックスな手書きの手帳でもいいし、最近はデータを自動的に記録できるウェアラブル端末やアプリも充実しているので活用するのも手。プロセスと結果を「事実」として記録しておくのがポイントだ。

Check:評価する

計画がその通りに実施できたか、目標は達成できているかを振り返って評価し、「再検討」する段階。計画では達成できそうと思っていた項目が実際には難しすぎて下方修正したり、逆に負荷が少なすぎて上方修正が必要になる場合もある。

また、この段階での結果をもたらした要因を分析して判断するためにも、やはり記録は残しておきたいもの。これによって、最初に立てた計画は妥当だったかどうかを客観的に判断することができる。

Action:改善する

PDCAの最終段階では、Check(評価)で得られた気付きや課題に対して、具体的な「軌道修正」を加えた解決策を考えていく。そしてこれらの修正を、次回の大会やトレーニングなどで実践すべきことの計画につなげていくのだ。また、自分がさらに成長させたい部分、長所や強みを見返し、伸ばしていくことも考えていくといいだろう。

このようにPDCAサイクルは一度きりではなく、連続的にフィードバックを重ねて中長期的に改善していくのが大前提。らせん状に上昇するサイクルを積み上げて、なりたい自分や結果に近づいていこう。

復習クイズ

PDCAサイクル

答え:目標、期間の設定