皮膚の痒みを改善する、花粉症対策としての腸活(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は「花粉症対策としての腸活」について。
花粉症は皮膚にも症状が出やすい
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
今年も花粉が飛び始め、いつもの花粉症のお薬をクリニックで処方してもらった方も多いでしょう。
花粉症といえば鼻づまりや目のかゆみが一般的なお悩みですが、実は皮膚も症状が出やすい場所のひとつです。春は風が強く吹くので花粉の他にも砂ぼこりが舞ったり、また暖かくなり湿度も高まることでダニが増えたりします。
家に入る前にコートを外ではらうとか、枕カバーやシーツをまめに変えるなどの対策はもちろんですが、カラダの内側からできる対策があります。
ヒトの構造をちくわに例えると…
カラダの内側の対策、それは腸活です。体表である皮膚が、お腹のなかにある腸と関係があると言ったら不思議な気持ちになるでしょうか。
確かにお腹のなかにある腸なのですが、口から肛門までの食べ物が通り抜けていくこの通路は、見方によっては外と言えます。
強引ですがヒトの構造をちくわに例えてみましょう。ちくわの穴が腸、ちくわの焼き目のついた皮が皮膚です。ちくわの穴と皮、どちらも外界と接していますよね。
つまりヒトの腸と皮膚も、外界と体内の境目であり、外界から体内に入ってくるものに対して、最初のバリアとなる役割を担っているのです。
東洋医学の五行説でも、肌のトラブルには腸が属するカテゴリを中心に治療方法を組み立てます。
命令を出しているのは冷静な司令塔であってほしい
特にちくわの穴にあたる腸はお腹のなかに大事に格納されているだけあって、そのバリア機能は高度で繊細です。必要なものをカラダの中に取り入れたり、不要であれば下流へと押し出し、さらにカラダにとって敵となるものの侵入には攻撃して排除する命令さえ出します。
その敵の侵入経路が腸からでなくとも、です! 具体的には皮膚、そして鼻や目の粘膜もまた、腸が見張っている敵の侵入経路です。
花粉やダニなどの刺激に対してひどい痒みなどの症状を引き起こすのは、腸が異常な攻撃命令を出していることによります。
そう、腸の命令系統を整える必要があるのです。あなたの腸は冷静沈着な頼れる司令塔か、はたまた喧嘩っ早い粗忽者か。もちろん前者あってほしいですよね。
いい司令塔を育てるには?
まずは便秘や下痢など、排便のトラブルがないことが痒み改善のスタート地点です。毎日するりとバナナ状の一本便が出ること、これを最初の目標にします。
いい食べ物を摂ることがとにかく大事ですが、いい食べ物とは果たしてどんなものでしょう。
バランスよく、食物繊維が多めで、日本の伝統食はその代表で、云々。まったくその通りですが、毎回の食事をその通りにすることはすごく難しいというのが多くの方の本音では?
では、いいものをとること以上に悪いものをとらないことに注力してみましょう。粗忽な司令塔を育ててしまう悪いものは乳化剤と人工甘味料です。もちろん他にもありますが、まずはこの二つを避けてみましょう。
乳化剤と人工甘味料は、腸活するうえで避けたいものの一部にすぎませんが、これらが入っている食品は概ね加工の度合いが高く、「避けるべき他の悪いもの」も一緒に入っていることが多いです。ですのでこの二つを避けるだけで、かなり効率的にいい食事に近付けるというわけです。
なるべくシンプルな食材、惣菜を選ぼう
食品添加物は健康を謳う食品にも使われていることがあり、ボディメイクのために良かれと思ってとっている食品が、皮膚のかゆみといったトラブルに過敏な性質の原因になっていることも。
シンプルなおにぎりや、自分で調理して食べる肉や魚、また日持ちこそしないけれども町の総菜屋さんの手作りのおかずなど、「悪いもの」を避ける何かしらの手段があるはずです。
どうしても避けられないときでも続けて食べないとか、普段からサプリメントなどで腸をいい状態にキープしておくなどしてみてください。もちろんサプリメントの食品表示も確認をお忘れなく。
腸活サプリメントならポストバイオティクスと呼ばれるジャンルのものがおすすめです。腸バリアをつかさどるのが粗忽者から頼れる司令塔に変わってくると、異常な攻撃・排除命令をしなくなります。
つまり過敏さが故の肌トラブルはなくなります。どうぞ司令塔を教育して快適な春をお過ごしください。