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伸張反射

伸張反射

カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。神経と脊髄反射に基づくストレッチの手法について、今回は「伸張反射」をテーマに解説する。

問1. 筋の伸張反射を利用したストレッチの種類を次から選べ

  1. スタティックストレッチ
  2. ダイナミックストレッチ
  3. バリスティックストレッチ

カラダの柔軟性を高める運動前のストレッチは、パフォーマンスを向上させるうえでの必須項目。その実践において大きなカギを握るのが、骨格筋の中にある「筋紡錘(きんぼうすい)」というセンサー組織の働きだ。

まず筋肉は急激に伸ばされると、その情報を筋紡錘が感知。すると伸び過ぎによって筋肉が切れるのを防ぐため、情報は脳を経由することなく瞬時に脊髄へと伝えられる。その結果、脊髄内で同じ筋肉を支配する運動神経に興奮が伝えられ、筋肉の収縮が引き起こされるのだ。

自分の意思とは無関係に筋肉が収縮するこうした生体防御のメカニズムは「伸張反射」と呼ばれるもの。この働きを利用したものに、脚気(かっけ)の検査に用いられる膝蓋腱反射が挙げられる。

伸張反射

筋線維の中にあり、筋の伸び過ぎを感知するのが筋紡錘。この情報が反射として脊髄へと伝えられ、同じ筋肉を支配する運動神経が筋肉の収縮を引き起こす。

筋肉を伸ばし続ける静的ストレッチ(スタティックストレッチ)においては、この伸張反射を引き起こさないようにゆっくり伸展させることが肝心だ。それとは反対に、伸張反射の働きを逆手に取って利用したストレッチが、筋肉を可動域の限界まで勢いよく伸展させる動的ストレッチの一種・答え③のバリスティックストレッチだ。続く問2では、その具体的なポイントや注意点を解説していこう。

問2. 伸張反射を利用したストレッチにおける正しいやり方は?

  1. ゆっくり動かす
  2. スピードを調整しながら動かす
  3. 反動をつけて動かす

筋肉を可動域いっぱいに、また勢いをつけながら瞬発的に動かすバリスティックストレッチ。弾むような動作を繰り返すことで伸張反射を引き起こし、筋の弾力性を高めるものだ。同じ動的ストレッチでも、スピードをコントロールしながら筋肉の伸張と短縮を繰り返すダイナミックストレッチとは、反動をつけてスピードをつけるという点で大きく異なる。昔の体育の授業などで、背中を押されながら前屈するいわゆる柔軟体操や、ラジオ体操もバリスティックストレッチに分類されることが多い。よって問いの答えは③となる。

伸張反射

反動を使ってリズミカルに筋を伸び縮みさせ、弾力性を高めるバリスティックストレッチ。スポーツの現場では、競技に特化した動きをウォーミングアップに取り入れることが多い。

バリスティックストレッチは伸張反射を引き起こす動的ストレッチの一種のため、筋肉を瞬発的に動かすスポーツなどの前に行うのに適する。競技スポーツの現場でウォームアップとして取り入れられることが多いのもこれが理由だ。

ただし筋や腱の損傷につながりやすい面もあるため、体力が低い人、運動に不慣れな人は注意が必要。ストレッチする組織の伸張範囲を超えないよう、くれぐれも無理をしないように心がけよう。

取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.873・2024年2月8日発売

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