糖質オフ生活でも「外食を楽しむ」ための14のアイデア

三度の食事はすべて自炊というわけにもいかないのが現代人。外食となると調理は他人任せで糖質過多のNG食生活へ一直線。そのOKとNGの境界はどこに? 大丈夫。糖質ルールを極めれば自由に外食を満喫できるのだ。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/森優 取材協力・監修/高杉保美

初出『Tarzan』No.871・2024年1月4日発売

糖質 ルール 外食
教えてくれた人

高杉保美さん(たかすぎ・ほみ)/管理栄養士。大手フィットネスクラブで栄養指導を行い、自らも半年で15kgの体重減に成功。著書に『ずるやせダイエット』(WAVE出版)がある。Instagram: @homi1112

① 外食前の食事を抜かない

今日のランチで外食するつもりなら朝食を、ディナーでレストランを予約しているなら昼食を必ず摂っておく。

「理由は外食の前の食事を抜くことによる過食の防止と、血糖値の急上昇と急降下が起こる血糖値スパイクを防ぐためです」

と、管理栄養士の高杉保美さん。とくに朝欠食すると、前日の夜から絶食状態になっているのでより血糖値スパイクが起こりやすい。

「茹で卵ひとつプロテイン1杯でもいいので口にしておきましょう」

② ひとりで外食に出かけない

ひとりで外食に出かけない

ひとりで牛丼店を訪れ、いつものつゆだく並盛りをオーダーし、提供された丼を3分で空にして颯爽と退店。いや、べつにカッコいいわけではない。

「早食いは血糖値を急上昇させ、インスリンの急激な分泌を促してしまいます。満腹中枢が刺激される間もないので、過食にも繫がります。

食事は最低でも20分かけてゆっくり味わいましょう。そのためには、ひとりでの外食より誰かと一緒に会話しながらの外食がおすすめです」

③「ごはんは半分」とオーダーする勇気を持つ

一般的な和定食のごはんの量は約200g。通常、茶碗1杯分のごはんは約150gなのでちょい多め。しかも糖質量に換算したら70g超えなので、もうこれだけでアウト。

「ストイックに糖質制限をする人は外食で主食のごはんを断るケースもあります。そこまで厳しくする必要はありませんが、せめて主食は半分にする習慣をつけたいところです」

主食半分、100gのごはんの糖質量は35.6g。ギリセーフ。

④ とろみのついた料理に要注意

麻婆豆腐に八宝菜、あんかけ蕎麦にみたらし団子。熱々、滑らか、喉ごしグッドなあのとろみテクスチャーの正体は片栗粉のでんぷん。立派な炭水化物だ。

「とくに中華料理は片栗粉を使うあんかけメニューが多く、脂質も糖質も高く太りやすいので注意が必要です」

外食の調理は人任せ。だからこそ選択眼を磨くことが重要だ。とろみ=炭水化物と頭に叩き込み、糖質制限時はよくよく手を出さないこと。

⑤ 食べ過ぎたら次の外食まで中2日空ける

糖質ルールを徹底すれば、極端な話、毎食外食しても太る心配はない。そうはいっても人間だもの、ときにはハメを外して食べ過ぎてしまうこともある。その場合、リカバリー策としては次の外食まで2日間は自炊に徹すること。

「筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で糖質が蓄積されている状態で、さらに外食で糖質を摂ると余った糖質が脂肪に合成されやすいからです。中2日外食を控えてグリコーゲンを減らし、次の外食に臨みましょう」

⑥ 芋類は主食と心得よ

芋類は主食と心得よ

ステーキの付け合わせのベイクドポテトやマッシュポテト、和定食の小鉢で出てくる長芋や里芋、旬の時季にはごはんの中に炊き込まれていたりするサツマイモ。

ジャガイモ100g当たりの糖質量は約16g、長芋のそれは約13g、里芋は約10gでサツマイモに至っては約30g。副菜、もしくは野菜のような佇まいをしていても、これらはまさに糖質食品。

どうしても食べたいとなったら主食のごはん、パン、麺類はカット。芋=主食のつもりで。

⑦ ライスと一体になったひと皿ものを避ける

和定食のごはんの量が約200gとすると、オムライスやガパオなどはそれを上回る200g以上、丼物のごはんの量は少なく見積もっても240gで300gなんて気前のいい店もある。

ライスとおかずが一緒になったひと皿料理は主食の量がかなり多い。牛丼や親子丼などの専門店では最近、小盛りメニューを提供している店もあるので、選択肢があるならそちらを選ぶか、勇気を出して半ライスでオーダーするか、ひと皿メニューは封印する。

⑧ カレーは欧風ではなくスープ系を選択

カレーもその多くはひと皿メニュー。とくに小麦粉でとろみをつけた欧風カレーはリスク大。

どうしてもカレーが食べたいというときは、南インドなどとろみのないスープ系カレーがおすすめ。ついでにライスは消化吸収速度が遅く血糖値が上がりにくい、ジャスミン米が選べるとなおよし。

「日本のスープカレーもおすすめです。鶏もも肉と野菜ゴロゴロのカレースープにライスをひと口ずつ浸しながらゆっくり食べるスタイルも過食の防止になります」

⑨ 主食を口にするタイミングを先送りする

ごはんに汁物、おかずに小鉢。典型的な和定食を食べるとき、さて何から箸をつける? 実は最初に何を食べるかより、いきなり主食に手をつけないことが大事。

「血糖値を上げないことが重要なので、主食を口にする順番を後回しにすることが基本です」

そのうえで食べる順番は目的別で選んでほしいと高杉さん。

「ダイエットが目的なら食物繊維で吸収を穏やかにするベジファースト、ボディメイクなら筋肉維持のためプロテインファーストで」

⑩ 点心をおかずにカウントしない

点心をおかずにカウントしない

餃子やシュウマイをごはんにワンバンさせてパクリと食べてから、バウンド汁の染みた白米をバクバクッとかき込む。

町中華で見かけるわんぱくな食事風景だが、餃子やシュウマイといった点心の皮は小麦粉でできている。よって糖質をおかずに糖質を食べているようなもの。

「中華料理店でメインディッシュを選ぶときは、餃子、シュウマイ、春巻きなどの点心より、ニラレバ炒めや青椒肉絲など、とろみのついていないタンパク質と野菜の炒め物が狙い目です」

⑪ 蕎麦とラーメンは具だくさんメニューを狙う

糖質 ルール 外食

ごはんのように主食の量をコントロールしにくい麺類は、できれば避けたい外食メニュー。でも中2日空ける覚悟を持てば、ときに「麺類食べたい欲」を解放してもよし。ただしルールは以下の通り。

「メインが炭水化物の専門店に行くときは食物繊維とタンパク質の具だくさんメニューで血糖値上昇を緩やかに。

ラーメンなら野菜やタンパク質の具が乗っているタンメンやちゃんぽんなどがおすすめ。蕎麦は蕎麦粉オンリーの十割蕎麦で鴨南蛮などがおすすめです」

⑫ パンは白より茶色をチョイス

サンドイッチの専門店の中には数種類あるパンから好みのものを選べるスタイルの店もある。

「もし選択肢があるなら、精製された白いパンより、食物繊維を含む未精製の全粒粉パンなどを選びましょう」

もちろん理由は後者の方が血糖値の上昇が緩やかだから。胚芽パンやライ麦パンなどでもそうした効果が狙える。

「厳密にパンの種類が分からなくても、白ではなく茶色っぽいパンを選ぶ習慣をつけてください」

⑬ スパゲティではなくショートパスタを頼む

パスタもまた炭水化物がメインのメニュー。ラーメンや蕎麦同様、たまのご褒美として位置づけたい。もちろん、食べるにあたってはルールを厳守。

「麺は一気に啜れるスパゲティではなく、少しずつ嚙んで食べられるペンネやフジッリなどのショートパスタ。ソースは野菜が摂れるトマトソース系がおすすめです。クリーム系のソースは小麦粉が入っているので避けましょう」

ちなみに2つが合体したトマトクリームソースはNG。念のため。

⑭ ピザは必ず誰かとシェアする

「イタリアンの外食で一番のおすすめはカルパッチョやアクアパッツァ、肉や魚のグリルです。ランチというよりディナーメニューになりますね」

パスタやピザならひと皿でお腹いっぱいになるが、ディナーでいただくメニューで満足するためには2皿、3皿が必要。そう、糖質制限という食事法にはそれなりにお金がかかるのだ。

どうしてもランチでピザが食べたいときは大人数でシェア。口にしても1ピースのみとしよう。

テイクアウトは単品を組み合わせてメニューを組み立てる

テイクアウトは単品を組み合わせてメニューを組み立てる

スーパーやコンビニ、デパ地下などで中食をテイクアウトする際のルールも押さえておこう。まず基本的にお弁当はNG。理由は衣が厚いフライなどの揚げ物や砂糖を含む煮物が入っている可能性が高いから。

焼き鳥や焼き魚などの主菜、野菜の副菜、小さいおにぎり1個の組み合わせが理想的。単品を賢く組み合わせよう。