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常温放置でトマトのリコピンが60%増!?|コスパ&ヘルパUPの食事術【後編】

ヘルパとコスパを上げるコツ

健康の土台を支えているのは、日々の食事から摂れる栄養素だ。そうはいっても、できるだけコスパよく豊富な栄養素を摂取したいところ。そこで注目すべきキーワードが“へルパ”。後編では、ヘルパを高める野菜の扱い方や、調理法をはじめ、コスパとヘルパ、両方を叶える食事術を紹介する。

ヘルパとは?

ヘルスパフォーマンスの略。ヘルパの高い食事とは、栄養素を無駄なくできるだけ効率的に摂り入れられるもの。調理法や下処理、食べ合わせなどの工夫で、栄養素の損失を減らしたり、摂取できる栄養素を増やしたりできる。

コスパとへルパの例

コスパUP:豆苗は切り方次第でコスパが3倍に。

へルパUP:中華鍋の調理で鉄が10倍に増える。

中華鍋で調理すれば鉄量がヒジキの10倍

生理で血液を失う女性には、貧血予防のために鉄剤(鉄サプリ)を摂る人もいる。鉄は、血中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料であり、鉄が足りないと、鉄欠乏性貧血を招きやすいのだ。

男性でも、ランナーのように酸素の供給がパフォーマンスを左右する有酸素運動の愛好者には、鉄サプリを飲んでいる人もいる。

実は、鉄サプリを用いなくても、ヘルパ良く鉄摂取量を増やす方法がある。それは、中華鍋など鉄製の調理器具で料理すること。調理しているうちに鉄が溶け出すため、自然に鉄摂取量がアップするのだ。

「たとえば、ヒジキを鉄鍋で茹でると、ステンレス鍋で茹でるよりも、鉄含有量は約10倍になります」(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部管理栄養士の赤石定典さん)

椎茸を30分干すとビタミンDが10倍に

ビタミン業界で近年の注目株が、ビタミンD。筋力アップやダイエットに関わるほか、免疫力も高める。

一方、日本人の大半はビタミンD不足。ビタミンDは紫外線を浴びると皮膚で合成されるが、日本人に限らず現代人は日焼けを嫌がり、紫外線を避ける傾向が強いからだ。

日焼けをせずにビタミンD不足を解消したいなら、食品から摂る。

ビタミンDは鮭やイワシなどの魚類に多いけど、魚類より安価で手軽なのはきのことくに椎茸はビタミンDを含むが、天日で干すとD含有量がアップ。

エルゴステロールという成分がビタミンDへ転換されて、生椎茸と比べると干し椎茸のビタミンD量は10倍にもなるのだ。スーパーに並ぶ干し椎茸は、天日に晒さず乾燥機で仕上げるものも多いから、念のために天日で干そう。

干す時間は30分〜1時間くらいで十分。干すと旨みがギュッと凝縮して料理も美味しくなります」

最強野菜ピーマンはワタとタネごと食べる

緑黄色野菜で何がへルパ最強か。ホウレンソウや小松菜も捨てがたいが、ピーマンも最有力候補

4〜5個入りが300円程度で買えるし、ビタミンCの含有量はホウレンソウを上回る。さらにポイントなのが、ピラジンという特有のフィトケミカルを含むこと。ピラジンはピーマンの苦みの成分で、血液をサラサラにしてくれる作用が知られる。

ピラジンの恩恵を得たいなら、気をつけたいポイントがある。ピーマンはワタとタネを除いて料理することも多いけれど、実はピラジンはワタとタネにことに多いのだ。

「ピーマンはシシトウの仲間。シシトウはワタとタネも一緒に美味しく食べられるのですから、ピーマンも同様に食べられるはず。トースターで丸ごとこんがり焼いてから、花鰹を振り、ゴマ油と醬油を垂らすとご飯が進む副菜となります」

豆苗は切り方の工夫でコスパ3倍に

豆苗はスーパーで培地ごと売っているものを選ぶと、2回くらい収穫できてお得。豆苗はβカロテンがリッチな緑黄色野菜であり、B群、E、Cといったビタミンも多い

「根元をよく見ると、横に脇芽が出ています。脇芽は成長点なので、そこから下を切ると、豆苗は二度と生えません。根から6〜8cmの脇芽から上をカットして、切り株を培地ごと水に浸けてやると、あと2度ほど収穫できるのです」

豆苗は、エンドウ豆の若芽(スプラウト)。同じくブロッコリーの若芽であるブロッコリースプラウトのお得情報もついでにお伝えしよう。

ブロッコリーには、高い抗酸化作用を誇るスルフォラファンというフィトケミカルが含まれる。このスルフォラファンは、ブロッコリー本家よりもブロッコリースプラウトに20倍も多く含まれているのだ。スルフォラファンに期待するなら、スプラウトを買うのが正解。

青魚をソテーするとEPA・DHAのロスが10%に抑えられる

サバやイワシといった青魚は、他のタンパク源にない貴重な栄養素を含む。それがEPADHA。体内で必要量を作り出せない必須脂肪酸の一種で、血液をサラサラにしたり、アレルギーを抑えたりする。

EPAとDHAはアブラだから、焼き魚でアブラを落とすと失われやすい。小麦粉を軽く振ってフライパンでソテーすれば、EPAとDHAのロスは10%程度に抑えられる。

焼き魚よりも、缶詰の方がEPAとDHAの損失は少ない。缶詰なら、水煮缶を選ぶのがお薦め。

「味噌煮のように味付けが濃いものと違い、水煮缶は素材の風味がダイレクトに出ます。ですから、良質な青魚を新鮮なうちに加工しているケースが大半だからです」

大根はすり下ろせばジアスターゼを100%摂れる

βカロテンが少ないからといって淡色野菜に栄養がないわけではない。淡色野菜にも独特の栄養を含むものがある。代表格は大根ジアスターゼという消化酵素が含まれており、消化吸収を助けてくれる。

ただしジアスターゼは熱に弱く、50〜70度で失活する(活性を失う)。味が染みたおでんの大根は美味しいけれど、残念ながらジアスターゼの作用は期待できないのだ。

「大根を食べるならぜひで。皮には食物繊維が多いので、よく洗い、皮ごと鬼下ろしで粗くすり下ろして食べるのがお勧めです」

皮ごと下ろした大根にスダチやカボスなどの柑橘類を搾ると、肉類や魚類の絶好の付け合わせとなる。

カブの葉っぱのビタミンCは食用部の4倍以上

旬の冬に安くなるのがカブ。5〜6個入りが200円前後で買える。

カブの食用部分(根)は淡色野菜で栄養に乏しいが、葉はβカロテンが多い緑黄色野菜。ビタミンC、K、葉酸といったビタミン、鉄分などのミネラルも豊富だから、切り落として捨てるのは厳禁。

脂溶性と水溶性の栄養素を余すところなく摂ってへルパを上げるため、葉と根は植物油でソテーして丸ごと食べよう

同じく大根やニンジンも、葉付きのものがあれば、そちらを選ぼう。

大根の葉には本体には含まれていないβカロテンが多く、こちらも緑黄色野菜。ビタミンCビタミンK葉酸なども含まれている。

ニンジンは緑黄色野菜の代表選手だが、その葉はやはり食用部分の根よりビタミンCや葉酸、カルシウムやマグネシウム、鉄などが多い。ちなみに根のβカロテンは皮を作る内鞘細胞に多く、中心部の2.5倍も含まれる。よく洗い皮ごと食べよう。

白菜の芯を捨てずに食べるとグルタミン酸が14倍摂れる

日本人がよく食べる淡色野菜は、白菜とキャベツ。白菜は4分の1株が200円、キャベツは2分の1玉が150円前後で買えるが、どちらもへルパを高める工夫がある。ポイントは芯と外側の葉を捨てないこと

白菜の芯は捨ててしまいがちだが、ここが成長点で旨み成分のグルタミン酸が外側の葉の14倍も含まれている。グルタミン酸が多く旨味が豊かなほど満足感も高くなり、食べ過ぎにブレーキがかけられる。またグルタミン酸は、抗酸化酵素グルタチオンの材料でもある。

白菜の外側の葉は、内側の葉より多くのビタミンCを含有する。キャベツでも、外側の葉の方が内側よりビタミンCが多い。その次にビタミンCが多いのは芯だから、白菜と同じく芯も捨てずに調理すべし。

ちなみにキャベツはカルシウムも多い野菜だが、その吸収を助けるビタミンKが入っているので、体内への吸収率は牛乳に匹敵する。

トマトを数日常温放置するとリコピンが60%増える

野菜は生きている。切ったり、しばらく放置したりすると、酵素などの働きでフィトケミカルやビタミンの量が増えてへルパがアップする。

ブロッコリーに含まれる抗酸化作用を持つスルフォラファンは、切って5分ほど放置すると、自身が持つミロシナーゼという酵素で活性化される。放置する時間がないときは、ルッコラや大根と一緒に食べたり、マスタードを味付けに使ったりすると、同様にスルフォラファンが活性化される。

ニンジンも切って1〜2日置くと、切断されたストレスでビタミンCの量が最大2倍に。ネギ類に含まれるアリシンは、みじん切りやすり下ろしをして10分前後放置すると硫化アリルから変化する。ただネギ類を切って水にさらすと水溶性のアリシンが流失するので要注意。

また抗酸化作用を持つトマトのフィトケミカルのリコピンは、冷蔵保存ではなく常温保存すると追熟し、含有量が60%増えるという。

取材・文/井上健二 撮影/中島慶子 取材協力/赤石定典(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部管理栄養士) 編集/阿部優子

初出『Tarzan』No.869・2023年11月22日発売

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