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酢を入れて米を炊くとタンパク質が10倍摂れる!? |コスパ&ヘルパUPの食事術【前編】

ヘルパとコスパを上げるコツ

健康の土台を支えているのは、日々の食事から摂れる栄養素だ。そうはいっても、できるだけコスパよく豊富な栄養素を摂取したいところ。そこで注目すべきキーワードが“へルパ”。前編では、効率的なタンパク質摂取法や、ヘルパを高めるホウレンソウの調理法など…コスパとヘルパ、両方を叶える食事術を紹介する。

ヘルパとは?

ヘルスパフォーマンスの略。ヘルパの高い食事とは、栄養素を無駄なくできるだけ効率的に摂り入れられるもの。調理法や下処理、食べ合わせなどの工夫で、栄養素の損失を減らしたり、摂取できる栄養素を増やしたりできる。

コスパとへルパの例

コスパUP:豆苗は切り方次第でコスパが3倍に。

へルパUP:中華鍋の調理で鉄が10倍に増える。

豆腐でタンパク質を摂れば、コスパは牛肉の4倍

栄養素の中でも大事なのが、タンパク質。筋肉をはじめとする全身のパーツを作る。お金と時間を使ってトレーニングに励んでも、タンパク質が足りないと筋肉もつかない。

タンパク質を多く含む食品は、肉類、魚類、牛乳・乳製品、大豆食品、卵の5大グループ。このうち、コスパがいいのは豆腐と卵だ。

豆腐は1丁100円ほどで20gのタンパク質が摂れる。同じ量のタンパク質を摂るには、牛肉や豚肉では2〜4倍かかる。タンパク質の質を示すアミノ酸スコアも、豆腐は肉類や魚類と変わらず、100点満点で安心。鶏肉とは同じくらいの値段だが、豆腐には肉類や魚類などに含まれない食物繊維も摂れるのが利点。

また最近は多少高くなってきたが、卵は10個入りパック300円ほどで、物価の優等生と言われる安価な食品。1個当たり6gのタンパク質が摂れる。完全食品の異名を持ち、ビタミンミネラルも多く含む。

含有量が牛乳の1.4倍の小松菜からカルシウムを効率よく摂取

日本人に足りない栄養素の一つが、カルシウム。骨や歯の材料であり、筋肉や神経が正常に働くためにも欠かせない働きがある。カルシウムが豊富なのは牛乳・乳製品。とくに牛乳は100%国産で、値段もミネラルウォーター並み。

ただし日本人の5人に1人は、牛乳を飲むとお腹を下す乳糖不耐症。牛乳が苦手な人がカルシウムを補うなら、小松菜がおすすめだ。こちらも国産品が多く価格も1束200円前後で安定。しかも小松菜は牛乳の1.4倍のカルシウムを含む。

小松菜に限らず、植物性食品に含まれるカルシウムは吸収率が低いという弱点がある。その弱点をカバーするのがタンパク質

「タンパク質と一緒に摂ると、小松菜のカルシウムの吸収率が上がる。タンパク質を含む卵などと炒めたりして吸収率を上げましょう」(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部管理栄養士の赤石定典さん)

淡色野菜と緑黄色野菜は2:1がベストバランス

野菜はビタミン、ミネラルの宝庫。腸内環境を整える食物繊維のほか、植物が作り出す有用成分フィトケミカルを含み、生活習慣病を招く有害な活性酸素を無力化する抗酸化作用などを発揮する。それでいて肉類や魚類などより安価だから、総じてコスパ&へルパが高いのだ。

厚生労働省は1日350gの野菜摂取を推奨するが、日本人の平均摂取量は1日280gに留まる。不足分を補うなら、ニンジンやトマトや小松菜など色の濃い緑黄色野菜から。

緑黄色野菜は抗酸化作用が高いβカロテンを多く含む野菜の総称。それ以外の野菜を淡色野菜という。

淡色野菜にも栄養はもちろんあるけれど、一般的に緑黄色野菜の方が栄養価が高いし、値段も大きく変わらない。不足している摂取量に緑黄色野菜120gを加え、淡色・緑黄色の割合を2:1で摂るのがベスト

ホウレンソウはお浸しよりソテーでヘルパUP

1日に食べたい緑黄色野菜は120g。なかでもホウレンソウは1束200円程度で買えるうえに、緑黄色野菜に多いβカロテンに加えて、100g中60mgとビタミンCもリッチ。βカロテンとビタミンCにはともに抗酸化作用があり、がんや老化などから心身を守ってくれる。

そんなホウレンソウのβカロテンとビタミンCをロスなく摂り入れるなら、お浸しよりソテーがお勧め。理由は2つある。

第一に、βカロテンはアブラに溶ける脂溶性だから。植物油でソテーすると吸収率が上がるのだ。対照的にビタミンCは水に溶ける水溶性のビタミン。茹でてお浸しにすると、その過程でビタミンCが流失する恐れがある。これが理由2。

「ビタミンCは熱に弱いと誤解している人も多いのですが、100度以上で加熱しても平気。ソテーしてもビタミンCは壊れません」

タウリン量がイワシの3.5倍のタコは唐揚げにして

タコは低脂肪高タンパク質な食材。100g当たり70キロカロリーで16gの良質なタンパク質が摂れる

豆腐や卵と比べると値は張るが、豆腐や卵に期待できない栄養素が摂れてへルパが高い。その栄養素がタウリン

タウリンはアミノ酸の一種。肝臓や心臓の働きを高め、血圧を正常化する。人体でも合成されるが、その量は少ないので食事から補うべき。青魚にも多いが、タコにはサンマの3倍、イワシの3.5倍も含まれている。

ただタウリンは水に溶ける水溶性。できれば水煮よりで買い求め、新鮮なら刺し身で、そうでなかったら唐揚げに。煮ダコはタウリンが溶け出した煮汁とともに頂く。

ご飯を炊くときに酢を入れるとタンパク質が10倍摂れる

食材のへルパを高める魔法の調味料がある。それが

「シジミの味噌汁を作る際、シジミに小さじ1杯のリンゴ酢を振ると、リンゴ酢がシジミの貝殻に含まれるカルシウムを分解し、味噌汁に溶出させます。小さじ1杯なら、味わいも酸っぱくなりません」

同様に鶏手羽先やイワシのような骨付き食材に酢を入れて煮ると、煮汁に骨からカルシウムが溶け出す

ご飯を炊く際も、少量の酢を加えると、米のタンパク質が10倍も溶け出し、その消化率がアップする。

ブロッコリーは緑黄色野菜のなかでもビタミンCが多いが、小房に分けてから洗うと、水溶性のビタミンCが最大40%も流出する。切らずに丸ごと酢水に浸けると汚れが落ち、細菌も約98%除去できるのだ。

ヒジキは鉄鍋で茹でると鉄分が多く摂れるが、その際に酢を入れると、鉄鍋からの鉄分の溶出率は3倍にも増える

豚肉をしゃぶしゃぶにするとビタミンB1が半分に減る。鍋で食べよ

豚肉にはタンパク質ばかりではなく、不足しがちな栄養素が含まれている。それがビタミンB1。糖質の代謝に欠かせないビタミンだ。

「ビタミンB1も、水に溶け出す水溶性のビタミン。豚肉をしゃぶしゃぶにすると、B1の50%ほどがお湯に溶け出してロスする恐れがある」

豚肉を食べるなら鍋で。雑炊や煮込みうどんで〆れば、煮汁に溶け出したB1も無駄なく摂れる。

豚鍋を楽しむなら、つけダレに細かく刻んだニラすり下ろしたニンニクをプラス。ニラやニンニクに多いアリシンというフィトケミカルは、B1の吸収率を約10倍にする

豚鍋の具材としてぜひ入れたいのは、長ネギ。長ネギの白い部分にもアリシンが含まれる。加えて長ネギにも抗酸化作用があり、炒めるとその抗酸化力は2.5倍になるとか。鍋に入れるなら、ひと手間かけて長ネギを一度炒めて加えよう。青い部分にはβカロテンとカルシウムが多いので、捨てずに鍋に投入しよう。

取材・文/井上健二 撮影/中島慶子 取材協力/赤石定典(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部管理栄養士) 編集/阿部優子

初出『Tarzan』No.869・2023年11月22日発売

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