夏場で作った筋肉を、冬場で彫り込む。スピードスケート・新濱立也選手の下半身トレ
次のミラノ五輪で北京の雪辱を果たしたい、と語るスピードスケート・新濱立也選手。スピードを生み出す下半身はどのように作られるのか。そのトレーニングについて聞いた。
取材・文/黒田創 撮影/石原敦志
初出『Tarzan』No.861・2023年7月20日発売
幼少時から鍛え上げた下半身で世界の頂点へ
スピードスケートの新濱立也選手。正面からその姿を見ると、カラダのラインは細め。しかしいざスタートの姿勢をとると、下半身に別人のような筋肉が現れた。特に尻と大腿四頭筋のボリュームに驚かされる。
「子供の頃は学校から帰るとすぐ自転車に乗り、1時間半かけて30km離れたスケートリンクに通っていました。さすがに帰りは危ないので車で迎えに来てもらってましたが…。
あと休日は父に伴走してもらいながら70~80kmぐらい自転車で走っていました。毎日のペダル漕ぎは、スケートに不可欠な下半身強化にすごく役立ちましたね」
冬場はリンクを滑るが、それ以外のシーズンは長・短距離走や坂道ダッシュ、タイヤ引きなどの基礎トレーニングを徹底して行ったという。
「今でも夏場は体力作りと基礎トレーニングの繰り返しです。室内でワットバイクを全力で漕いだり、筋出力を高めるためにダッシュを繰り返したりも。ウェイトはスクワットで重量160kg程度。
若い頃は軽めのウェイトから挙げてましたが、20代後半になってより重い負荷をかけるようになりました。今までと同じことをやっていても、筋肉量は維持できませんから」
コンマ1秒を争うスピード競技ゆえ、体重が重すぎても軽すぎてもいけないし、筋肉を盛っても動きが悪くなる可能性がある。
新濱選手曰く夏場のトレーニングで作った筋肉が、冬場の氷上練習で彫り込まれる感覚だという。通常、太腿回りは約63cm、ヒップは110cmだが、シーズン中にこの数値は微妙に変化する。
「体重と体脂肪は毎日チェックし、丁度いいバランスになるようコントロールしています。過去のデータだと夏は91~92kg、シーズン中は90kgぐらいが記録の出やすい値なのですが、どの体重がベストなのかは試行錯誤している最中。
経験の積み重ねがあるし、技術は磨けるのでタイムはまだ伸ばせるはず。次のミラノ五輪で北京の雪辱を果たします!」