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夏場で作った筋肉を、冬場で彫り込む。スピードスケート・新濱立也選手の下半身トレ

脚・尻トレ 新濱立也 スピードスケート選手

新濱立也(しんはま・たつや)/スピードスケート選手。1996年生まれ。3歳からスケートを始め、2019年W杯500mで当時の日本記録を大幅に更新。20年世界選手権スプリント部門で優勝。22年冬季北京五輪500mでは20位。26年冬季ミラノ五輪で金メダルを狙う。

次のミラノ五輪で北京の雪辱を果たしたい、と語るスピードスケート・新濱立也選手。スピードを生み出す下半身はどのように作られるのか。そのトレーニングについて聞いた。

幼少時から鍛え上げた下半身で世界の頂点へ

スピードスケートの新濱立也選手。正面からその姿を見ると、カラダのラインは細め。しかしいざスタートの姿勢をとると、下半身に別人のような筋肉が現れた。特に尻と大腿四頭筋のボリュームに驚かされる。

「子供の頃は学校から帰るとすぐ自転車に乗り、1時間半かけて30km離れたスケートリンクに通っていました。さすがに帰りは危ないので車で迎えに来てもらってましたが…。

あと休日は父に伴走してもらいながら70~80kmぐらい自転車で走っていました。毎日のペダル漕ぎは、スケートに不可欠な下半身強化にすごく役立ちましたね」

脚・尻トレ 新濱立也 スピードスケート選手

「500mと1000mでは微妙に滑り方が違うのですが、ラップタイムはほぼ同じ。瞬発力も筋持久力も必要です」と新濱選手。下半身のパワーで2種目に挑む。

冬場はリンクを滑るが、それ以外のシーズンは長・短距離走坂道ダッシュタイヤ引きなどの基礎トレーニングを徹底して行ったという。

「今でも夏場は体力作りと基礎トレーニングの繰り返しです。室内でワットバイクを全力で漕いだり、筋出力を高めるためにダッシュを繰り返したりも。ウェイトはスクワットで重量160kg程度。

若い頃は軽めのウェイトから挙げてましたが、20代後半になってより重い負荷をかけるようになりました。今までと同じことをやっていても、筋肉量は維持できませんから

脚・尻トレ 新濱立也 スピードスケート選手

コンマ1秒を争うスピード競技ゆえ、体重が重すぎても軽すぎてもいけないし、筋肉を盛っても動きが悪くなる可能性がある。

新濱選手曰く夏場のトレーニングで作った筋肉が、冬場の氷上練習で彫り込まれる感覚だという。通常、太腿回りは約63cm、ヒップは110cmだが、シーズン中にこの数値は微妙に変化する。

「体重と体脂肪は毎日チェックし、丁度いいバランスになるようコントロールしています。過去のデータだと夏は91~92kg、シーズン中は90kgぐらいが記録の出やすい値なのですが、どの体重がベストなのかは試行錯誤している最中。

経験の積み重ねがあるし、技術は磨けるのでタイムはまだ伸ばせるはず。次のミラノ五輪で北京の雪辱を果たします!

取材・文/黒田創 撮影/石原敦志

初出『Tarzan』No.861・2023年7月20日発売

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