フルポン村上さんが検証。ストレッチの効果を数値で見る
ストレッチを行っているとき、筋肉には一体どんな変化が起きているのか、気になるところ。検証するのはカラダのお悩みをいろいろと抱えているお笑い芸人の村上健志さん。さて結果は?
取材・文/石飛カノ 撮影/藤木裕之 取材協力/稲見崇孝(慶應義塾大学体育研究所専任講師)
初出『Tarzan』No.856・2023年5月11日発売
村上健志さん
検証した人
むらかみ・けんじ/お笑いコンビ〈フルーツポンチ〉のボケ&ネタ作り担当。約10年前、バラエティ番組で自分でも無自覚だった運動神経の悪さが発覚。肩こり&腰痛持ち。
筋肉の硬さを科学的に検証!
ストレッチがカラダによさそうなことは何となく分かっちゃいるけど、イマイチ効果が実感できない。そんな人に、科学的かつ一目瞭然のストレッチ効果をお目にかけよう。
ご協力いただいたのは慶應義塾大学体育研究所専任講師の稲見崇孝先生。超音波エラストグラフィという計測機器を使ってストレッチ前後の筋肉の硬さを検証することに。
超音波画像装置で筋肉の硬さを測定
超音波エラストグラフィはもともと乳がん検出で使われていた計測機器。さらに特殊な波を照射することで組織の中にある硬いものや柔らかいものを数値化する。上写真右下のカラー図のように皮膚や脂肪の影響を受けずに筋肉の硬さを計測できる。
被験者は運動神経が残念なことで知られる、お笑い芸人の村上健志さん。運動神経が悪い村上さんであれば、きっとカラダも硬いだろうという勝手&失礼な予測のもとにご登場いただいた。
「もともとの姿勢で肩が上がっているせいか、肩こりがすごいです。あと腰痛も。移動時間が長いのでお尻が凝ることもあります。スマホをずっといじってるので手も凝りまくってます。やっぱりストレッチやらなきゃとは分かってるんですけど」
まさに適任です!
ふくらはぎの硬さを測定
今回は全身の中で最もデータを計測しやすいふくらはぎの筋肉で実験。まずはふくらはぎの計測位置を特定し、検査用ゼリーを塗って超音波を当て、筋肉の硬さを計測。
「超音波を使うことで筋肉の特定の部分の硬さを測定することができます。今、ふくらはぎの腓腹筋の硬さを測定しています。普通の人はだいたい、10〜50kPa(キロパスカル)くらいなんですけど、15.7kPaですからそんなに硬いわけではないですね」と稲見先生。
意外や意外、村上さん、筋肉が柔らかい??
ストレッチ前の測定スタート
ストレッチの前後で計測位置が変わってしまうのを防ぐため、計測する前にマーキング。「膝からくるぶしのところまで長さを測って、上から30%のところが筋肉が最も膨らんでいる部分。そこにマーカーで印をつけます」(稲見先生)。
なるほど、科学的根拠のあるデータには何より精度が重要。「でも、村上さんいい脚してますよ」「えっ、そうですか!?」。
ストレッチの効果はいかに!?
続いてストレッチ。ふくらはぎの下腿三頭筋ストレッチを実践してもらう。
下腿三頭筋のストレッチ
椅子(台)の近くに、両足を前後に開く。上体を前傾させて両手で椅子(台)の座面の端を掴み、片足を床から浮かせる。軸脚のふくらはぎ全体が伸びる。30秒×3セット行ったら逆も同様に。
「あ〜、効きます効きます!」
30秒を3セット行い、再び超音波エラストグラフィで腓腹筋を計測。すると、数値は12.5kPa。ストレッチ前より約20%柔らかくなったという結果に!
ストレッチ後の測定
ストレッチ直後に再び超音波エラストグラフィで腓腹筋の硬さを計測。赤から青までのグラデーションで表示され、色が赤に近いと硬く、青に近いと柔らかい。ストレッチ後はご覧のように青みがかった色に変化。数値にして約20%筋肉が柔らかくなった。スゴい!
稲見先生が解説!
「村上さんのアキレス腱の割合は膝下全体の約50%。短い人は38%くらいなのでやや長めです。筋肉の線維もいいし組織硬度も柔らかいのでマラソンなどの長距離スポーツに向いていると思いますよ。ポテンシャルは高いので、あとは運動神経がうまく接続されれば完璧です!」
「ストレッチでカラダがあったまって調子がよくなりましたけど、目で見て筋肉の柔らかさが分かるってすごいですね。これまでどうやってストレッチしたらいいか分からなかったけど、習慣化したいです!」
ぜひとも! これだけの結果が約束されたストレッチを、読者諸氏もぜひ習慣にしてほしい。