首をボキッと鳴らすのはカラダに悪い? 首のセルフケアにまつわるQ&A
ボキボキ鳴ったり、突然痛くなったり、何かと心配事に見舞われがちな首まわり。そこで、カラダを整えるプロ、6人に首のセルフケアにまつわる素朴な疑問に答えてもらった。正しいセルフケアで不安を解消しよう。
取材・文/井上健二、オカモトノブコ、門上奈央、新田草子 イラストレーション/松本セイジ
初出『Tarzan』No.853・2023年3月23日発売
教えてくれた人
- 半田学さん(理学療法士)
- 石垣英俊さん(鍼灸あん摩マッサージ指圧師)
- 村木宏衣さん(エイジングデザイナー)
- 星野由香さん(パーソナルトレーナー)
- 石部伸之さん(理学療法士)
目次
首に良いマクラの選び方は?
この疑問はマクラ選びの達人(?)でもある、村木さんにじっくり話を伺おう。
「まず第1のポイントは、呼吸が楽にできるかどうか。そのために理想的なカラダの状態は“目線がマクラと直角であること”または“眉間がカラダと平行であること”です。
2つ目のポイントは、首の隙間がきちんと埋まっているかどうか。首が浮いていると関節が不安定になり、筋肉の緊張が取れません。重力から解放されて、カラダの力が抜けやすいマクラを選んで」
首をボキッと鳴らすのはいいの? 悪いの?
デスクワーク中に首を鳴らすと、確かにスッキリする感じがするが…。
「振り向いた拍子に鳴る程度なら問題ありませんが、気持ちがいいので自分で鳴らすというのはあまり健康的ではありません。首の土台に当たる胸郭が固まっているなど、首以外のトラブルを無意識に解消しようとしている可能性が大です。
首を鳴らしたくなったら斜角筋や、胸まわりの筋肉をほぐすことが先決。自分の手で首をひねって鳴らすなどは論外です」(石垣さん)
首の回しすぎは悪いって本当?
「つい首を回したくなるのは、凝り感があるから。首こりの原因はさまざまですが、骨格などの形状的な問題があれば組織への負荷が大きいため、避けた方がいいでしょう」と半田さん。
また村木さんも首の筋肉に着目したうえ、「関節を過剰に動かすと筋肉が逆に緊張して硬くなり、余分に負担がかかる場合もあります」と話す。
「筋膜の観点でいえば、準備体操で軽く回すのはOK。ただし痛みやめまいがある人は避けましょう」(半田さん)
プロから見た、やりがちなNGセルフケアは?
ケアしても効果が出ない。なぜか。
「例えば、筋トレで筋肉に効かせるにはフォームが重要ともいわれますが、それはストレッチなどのセルフケアでも同様です。適当なフォームで続けてもケアしたい部分に十分にアプローチできません。
まずはケアしたい部位が今どんな状態か、どこまで動くのか、どんなふうに整えたいのかを自分なりに理解したうえで、解説されている手順の通りにポイントを押さえながら実践しましょう」(石部さん)
症状の原因が患部にない場合が多いってホント?
答えは「YES」が圧倒的。
「原因の多くはカラダの偏った使い方にあり、患部だけにフォーカスしても結局はすぐに凝り固まってしまいます」と村木さん。また、まさにこのコンセプトで施術結果を残しているのが半田さんだ。
「慢性的な症状がある人ほど患部から離れたほうがいい。不調は筋膜のバランスが崩れた結果で、患部はそのシワ寄せを受けた、いわば被害者です。最初に筋膜をケアすることで、原因になる姿勢や動きのクセも改善しますよ」(半田さん)
ギックリ首って本当にあるの?
ギックリ腰があるなら、ギックリ首もあるの?
「あります。簡単に言うと寝違えのひどいタイプのこと」(星野さん)
ギックリ首が起こりやすいのは、心身のストレスが溜まりすぎているとき。
「ひどいストレスで寝ている間に無意識に歯を強く食いしばると、首まわりの筋肉が過緊張し、起床時などに生じやすい。歯の嚙み合わせが悪くても、首まわりの筋肉に疲労が蓄積し、ギックリ首に陥りやすいので要注意です」