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ED、加齢臭、認知症…。加齢の悩みにまつわる8つの勘違い

ED、加齢臭、認知症…。加齢の悩みにまつわる8つの勘違い

ED、加齢臭、認知症など、加齢とともに気になる悩みの数々。よかれと思っていることが、実は症状を悪化させている場合も。研究の最前線を知る各分野のエキスパートに、正しい知識、改善法を教えてもらった。

① 男性にも必ず更年期が訪れる?

正:30〜79歳で発症率5.6%というデータが。実数は少ない

近年急増中という男性更年期。もしや自分にも訪れるのでは、と戦々恐々の人も多いはず。

「男性は20歳前後からテストステロンが低下し、それに伴う更年期のリスクは誰しも有するのですが、全員に症状が出るわけではない。それが女性の更年期との違いです。

30〜79歳の男性で、テストステロンの低下が顕著で、かつ更年期の症状が表れたケースは5.6%にすぎないという報告もあります。恐れる前にホルモンの値を保つ努力を!」(順天堂大学医学部教授・辻村晃先生

② トレーニング好きは勃起力もすごい?

正:激しい運動が続くと男性ホルモンの値が低下する恐れがある

「運動習慣のある人は主要な男性ホルモンであるテストステロンの値が高い。これは多くの研究から明らかになっており、特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)をする人に顕著です。

テストステロンの値が上がれば、精力や勃起力もアップするのが一般的。ただし、持久系スポーツをやりすぎると、逆に長期間にわたってテストステロン値が下がるという報告もあるのです」(辻村先生)

種目で言えばフルマラソンやトライアスロン。マラソンの場合、月200km以上走るようなランナーの中にはそうした傾向がある人が少なくないとか。

「長時間のトレーニングが習慣になっているようなら、男性力が徐々に下がっている可能性も。少し肩の力を抜き、週に2〜3回、適度な運動に切り替えてテストステロンの値をキープしましょう」

③ 熱い風呂とサウナは紳士のたしなみ?

正:長時間睾丸に熱がこもると精子に影響あり

目下空前のサウナブーム。日夜足繁くサウナで整えている男性諸氏は要注意です、と辻村先生。

「80〜90度のサウナを1日15分、週に2度利用した場合、3か月後には精子の濃度や数、運動率が低下するという研究結果があります。しかも、そこでサウナに行くのをやめても元の状態に戻るまで半年程度かかってしまうのです」

睾丸は体温より2〜3度低い温度が最も健康で、あまり高温になると精子に危険が及ぶ。頻繁にサウナに行ったり熱い風呂に入ったり、ずっとノートPCを膝上に置いて作業していると、すぐ温度が上昇するので要注意。

睾丸はやたらと温めない。これが鉄則だ。

④ 泳いでも骨密度は増えない?

正:スイミングも立派な運動ちゃんと骨密度は増えます

水泳は荷重の負荷が少なく、他のスポーツよりも骨への刺激が少ないといわれているが…?

「水泳は陸上での運動に比べると重力による骨への刺激が少ないのは事実ですが、これも立派な筋肉運動。それにより筋肉からアイリシンという物質が分泌され、骨の強化骨粗鬆症の予防につながることが実験でも証明されています。水泳でもちゃんと骨密度は増えますよ」(満尾クリニック院長・満尾正先生

言うまでもなく、水泳は膝や腰などにかかる負担が極めて少ない。年齢を経た人ほどケガのリスクを心配せずにできる運動ゆえ、骨を強くしたければ水泳も立派な選択肢のひとつなのである。

⑤ EDは飲み薬でしか治すことができない?

正:注射や勃起補助具など飲み薬以外の治療法もある

「ED治療においては、最初にバイアグラなどのED薬を服用していただきますが、効果を感じられない場合、PGE1(プロスタグランジンE1)陰茎海綿体注射療法や、陰圧式勃起補助具を使うなどの方法もあります」(辻村先生)

前者のPGE1という薬はよく効くものの、日本では検査薬という立ち位置のため正式な治療法として認められておらず、あくまで自己責任で行う形になる。

また後者の補助具は、現段階では日本で管理医療機器の認可を受けているものが1種類。両者ともハードルが高いが、ED薬での治療が難しい場合は医師にご相談を。また、病院によっては海外製のED治療専用装置を備えているところも。

⑥ 皮膚がん予防に紫外線は絶対に浴びない方がいい?

正:午前中に紫外線を浴びてビタミンDを作るのが大事

「1980年代、オーストラリアで皮膚がん予防を目的とした紫外線対策が始まり、世界中に広まって“紫外線は悪”という風潮が生まれました。たしかに長時間紫外線を浴びることは皮膚がんのリスクがありますが、極度に避けることでビタミンD不足に陥っている人が増えている。

そのことによる健康面の弊害を指摘する報告もたくさんあります。適度な日光浴であれば発がんの心配をする必要はありません」(満尾先生)

太陽光線を浴びて作られるビタミンDは骨を強くし、免疫力を高め、動脈硬化糖尿病を予防するなど多くの効果をもたらす。昨今では新型コロナウイルスの感染予防効果も報告されているほどだ。

「毎日午前中、肌をできるだけ出した状態で20〜30分間だけ太陽を浴びれば、ビタミンDをしっかり補充できますよ」

⑦ 加齢臭は防げない?

正:抗酸化対策で防げる

中高年特有の加齢臭。加齢に伴うものだから防ぎようがない?

「食生活や生活習慣が乱れると体内で活性酸素が増え、やがて皮脂腺内でノネナールというニオイ物質に変化し、加齢臭となってしまいます。ビタミンCポリフェノールイソフラボンなどの抗酸化成分を食生活に取り入れ、タバコをやめ飲酒をほどほどにしましょう。

それだけでも加齢臭はかなり抑えられます。また、体内から老廃物を取り除くキレーション療法も有効です」(満尾先生)

⑧ 認知症を防ぐことはできない?

正:ビタミンDをしっかり摂っておけばリスクが低くなる

「現時点では認知症予防に治療法はなく、治療薬もありません。ただし、生活習慣を見直すことでリスクを抑えることは可能です。そのひとつがビタミンDを積極的に摂取することです」(満尾先生)

イギリスでの最新の研究では、ビタミンDが欠乏すると脳の萎縮が起きやすく、認知症の原因となること、体内のビタミンDの値を20mg/dl以上に増やせば認知症患者の17%を予防できる可能性があることが報告されたという。

「メカニズムはよくわかっていませんが、全身の炎症を抑えたり、解毒作用が認知症予防につながるものと考えられます。朝日を浴びたり、魚類を積極的に摂るなどしてビタミンDを増やしましょう」

取材・文/黒田創 取材協力/辻村晃(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授)、満尾正(満尾クリニック院長)

初出『Tarzan』No.842・2022年9月22日発売

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