【男性向け】皮膚科専門医が教える肌・髪ケアの間違い7つ
性別問わず、清潔感を保つためには、正しい肌や髪ケアの“いろは”を知っておきたい。皮膚科専門医の小林智子さん曰く、運動と同様、適切な方法で行えば見た目の変化もてきめん。やりがちな勘違いケアを例に、基本的な美容ケアをお伝えする。
取材・文/門上奈央 取材協力/小林智子(皮膚科専門医)
初出『Tarzan』No.842・2022年9月22日発売
目次
間違い① ムラにならないよう、日焼け止めは薄く塗る
正:塗りすぎ?くらいが実は適量
皮膚科専門医の小林智子さんが日々痛感するのは、日焼け止めを塗る量が不十分な人が多いという現状。
「ムラにならないよう薄く塗ったり、肌の“きしみ感”が苦手で厚く塗らないのはもったいない。日焼け止めの効能を十分発揮できません」。
日焼けを極力防ぐなら、やはり塗り直しも不可欠。
「紫外線吸収剤を使った製品はUVを浴びるほど効果が薄れますし、発汗や衣服などとの擦れによっても取れます。朝は塗るタイプを使い、日中の塗り直しには手軽なスプレータイプを活用すると便利。さらに抗酸化成分を含む“飲む日焼け止め”を併用すれば、肌の赤みを抑える効果も期待できます」
間違い② 化粧水は大量に出し肌に叩き込む
正:量よりケアの質が重要
化粧水を肌にバシャバシャはたくと“やった感”は得られるが。
「肌への刺激が強く肌の赤み、ひどい場合は湿疹や敏感肌の原因になります。よって化粧水は清潔な手に取り、手や指で顔全体を包むように押し当てる“ハンドプレス”が最適。小鼻など細かい部分は指を使いなじませましょう」
また化粧水は大量に使う必要はない。
「メーカーの推奨量に従うべき。肌に浸透する量には上限があるので、塗るほど効果が高まるものではないのです」
間違い③ 肌がキュッとするまで入念に泡洗顔
正:泡だけで洗う習慣を
“キュキュッ”と音が鳴るほどの洗い上がり、顔には不要。
「皮脂だけでなく必要な保湿成分まで取り除く可能性も。メンズ化粧品コーナーには洗浄力や使用時のさっぱり感を謳う製品も多いですが、人によっては刺激が強すぎて肌トラブルの一因に。そもそも男性が男性用のみを使う必然性はなく、化粧品に男女差は本来ないので、効用に着目して選ぶように」
また人気の泡洗顔でも注意点が。
「泡が潰れるくらいゴシゴシ洗うのはNG。手に出した泡をTゾーンと両頰、顎付近の左右にのせ、Tゾーンは泡を緩衝材のようにしてくるくるマッサージ。頰は泡をのせれば皮脂が吸着されて汚れが取れます。肌を強くこすると赤みや敏感肌の原因になるので気をつけましょう」
間違い④ 頭皮の臭いは高いシャンプーで対策
正:ブラッシング、予洗い、ドライヤーを徹底!
いいシャンプーで洗えば頭皮の臭いもなんとかなると考えるのは早計。
「シャンプーだけでどうにかするのは限界があります。それ以上に、シャンプー前後の手入れが非常に重要です」
シャンプー前にまず踏むべき工程は。
「最初に絡まった髪をブラッシングで“ならす”ことで、臭いの原因となる汚れを効率的に落とす下準備を。お湯で丁寧に予洗いして皮脂を落としておくと、シャンプーの泡立ちが良くなり汚れをいっそう落とせます。この時の湯温は42度以下が理想で、熱すぎると頭皮の乾燥の原因に」
そして臭い対策で重要なのが乾燥。
「ドライヤーを使わないという男性もいますが、生乾きの状態が続けば当然臭いに直結するので、ちゃんと乾かすことを習慣に」
間違い⑤ 脂性肌ゆえ、洗顔後は何もつけない
正:実は男性に乾燥肌多し
脂性肌は肌の“潤い不足”で脂分の比率が高いだけであるケースも。
「肌質により必要なアイテムは肌の水分量と皮脂の分泌量で変わりますが、保湿は肌質に関係なく必要です。爽快感のあるつけ心地を謳う化粧水は基本的にアルコールの使用量が多く、人によっては刺激になるケースも。また乾燥肌の人は化粧水をカットしても、乳液は最低限塗るようにしましょう」
間違い⑥ お気に入りの化粧品を見つけたら使い続ける
正:合う化粧品は常に変わる!
いい化粧品があると、何年もリピ買いしたくなるもの。
「加齢とともに皮脂の分泌量は少なくなり、また季節に応じて肌の状態はゆらぎます。肌質はその時々で変わるので、同じものがいつまでもベストとは限りません」
定期的に肌の状態を確認し、肌荒れしたらまずはより入念に手入れ。改善されない場合は化粧品を替えれば、肌の状態が整うことも大いにありうる。
間違い⑦ 毛穴汚れは熱めの湯で洗い流す
正:ぬるま湯がベスト
毛穴の角栓や詰まりは熱湯で根こそぎ落とそうとしがち。
「42度以上の湯を使うと乾燥肌の原因になるのでぬるま湯が基本です。また、そもそも毛穴の悩みは洗顔だけでは解決できません。確かに洗顔は有効ですが、洗いっぱなしではまた汚れが詰まる。角栓を取り除く効果があるサリチル酸や、ビタミンCやAなど毛穴を引き締める成分を配合した美容液も活用すること」