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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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連載「ジャングルブック」では、都市でも自然でも、いざという時の役に立つ“生き抜く力”にまつわる知恵を紹介。今回のテーマは「布一枚で夜を明かす」。
地震や台風、津波に豪雨…。日本は世界有数の災害大国といわれている。
あなたは、突然訪れる危機を切り抜け、生き抜くことができるだろうか。この連載「ジャングルブック」を読めば、都市でも自然でも、いざという時の役に立つ“生き抜く力”がメキメキと身につく。
初回のテーマは、サバイバルの基本となるシェルターのこと。
森で遭難、あるいは災害に見舞われ見知らぬ街で孤立した時、その場に留まって助けを待つにも、行動の拠点とするにも、シェルター作りは必須スキル。安全に一夜を明かすことができれば、生存確率はグッと高まる。
では、どんなシェルターを作ればいいだろう。
「なぜそれが必要か」を考えるのは、サバイバルにおける重要なファクターだ。そもそもシェルターに求めるのは、①体温を奪う雨風から身を守り、②ある程度の暖かさを保て、③心理的な安心感を得られること。
これらを満たすためには、なにも立派なテントは必要ない。周囲にありあわせの布一枚さえあれば、役割は十分に果たしてくれる。その最もシンプルな形が、3×3mのタープを使った「ダイヤモンド型」という張り方だ。
設置方法は簡単。
1つの角を木の枝などで立ち上げ、その他の角をペグなどで固定するだけ。慣れれば5分とかからずに設営が可能で、撤収はテントよりも早く済む。
用意するのは、タープ、ポール(2m程度を1本、1m程度を1本)、ペグ5本。ポールとペグは枝などでも可。
なによりダイヤモンド型が優れているのは、焚き火との相性の良さだ。天井が高いためタープの近くで火を焚くことができ、その熱がタープ内に籠もることで、想像以上に暖かく過ごすことができる。
非常事態、雨風を防げるだけで命が助かることもある。まずはキャンプやバーベキューの際に一度試してみてほしい。その快適さに、きっと驚くはずだ。
火を適切にコントロールすることができれば、タープの下で焚き火をすることが可能。火を絶やさないことで、条件によっては寝袋がなくても朝まで暖かく眠れる(焚き火は消してから寝るのが基本。非常時のみと心得よう)。
また、焚き火は照明、調理用の熱源にもなる。いわばタープで作る1Kの部屋みたいなものだ。
ビシッと立った張り姿が美しいダイヤモンド型だが、サバイバルの観点から言えば、見た目よりも楽に張れることが正義。木の枝をポールにせずとも、生えている木に直接結びつけてしまうのも手。
また、タープがなければブルーシートやカーテン、シーツなど布であれば何でも代用可能。頭を柔軟に使うことがサバイバルのコツだ。
ダイヤモンド型は、タープをシェルターとして用いる際のごく基本的な形。それゆえ応用も利きやすい。
上の図のように、たるみがちな部分を背面側に引っ張ることで居住性を高めたり、風向きが大きく変わってしまった時には、メインポールの位置を変えてペグを数本打ち直すだけで、簡単に開口部の向きを変えられる。
また、ダイヤモンド型以外にも、テントのように閉じられる「ピラミッド型」、複数人でも快適に過ごせる「Aフレーム型」など張り方はさまざま。TPOに合わせて柔軟に対応できるのが、正方形タープの利点だ。
ダイヤモンド型を張る時は、まず風を読み、風上を背にして張るのが鉄則。正しく張ることができれば風に強いが、風がタープ内に直接吹き込むような形になってしまうと、最悪タープが飛ばされてしまうことも。
風が強い日にはメインポールを固定するロープを2本にしたり、ペグを打つ箇所を増やすなど、臨機応変に対処しよう。
edit&text: Ryo Ishii illustration:Yoshifumi Takeda 監修・取材協力/伊澤直人(週末冒険会代表)※最新著作『焚き火の教科書』(扶桑社)好評発売中。
初出『Tarzan』No.834・2022年5月26日発売