進化を続ける、インプラントの技術はここまできている。
入れ歯と比較して、自分の歯に近い感覚が得られるインプラント。以前は検査不足などトラブルもあったが、現在は成功率90%と世界的に見ても引けを取らない技術の高さを誇る。今回は、インプラント技術の最新事情にクローズアップ。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/泰間敬視 取材協力/廣安一彦(日本歯科大学新潟生命歯学部口腔インプラント科教授) 写真協力/O-bic
初出『Tarzan』No.844・2022年10月20日発売

進化が止まらない? インプラント最新事情
インプラントは歯を支える顎の骨に生体と親和性の高いチタンなどの金属の人工歯根を埋め込み、その上に義歯を被せる治療法。入れ歯に比べて自分の歯に近い感覚が得られることが最大の特徴だ。
日本歯科大学新潟生命歯学部口腔インプラント科の廣安一彦教授に最新事情を伺った。
インプラントの構造

イラストの左半分は自然歯、右半分はインプラント。骨の組織と結合しやすいチタンでインプラント体という土台を作り、歯を支える歯槽骨に埋め込む。その上にアバットメントという構造物を乗せ義歯を被せる。
「インプラントが日本で広がり始めたのは2000年以降。以前は検査不足ですとか知識や技術が未熟だったためトラブルもありましたが、現在の成功率は90%と世界水準です。口の中にスキャナーを入れて画像データを撮ったり、コンピューターを使って最適な形の人工歯根を削り出す技術が導入されたことで、適応が広がってきています」
従来のように、あの先生にしかできないという技術の差がなくなり、しかも時間も節約できる。極端なことを言えば、午前中に画像を撮って午後には歯ができるということも可能だという。ちなみにインプラントは自由診療。1本30万円は下らない。