コロナ禍で増えた食欲不振・便秘を改善する4つの習慣
コロナ禍で急増している消化器系の不定愁訴。胃腸を整えるには、消化活動のオンとオフを意識的に行ってメリハリをつけるのがポイントだ。さすれば、リモートワークで失われがちな自律神経や体内時計のリズムが整い、胃腸の疲れも改善するはず。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/イオクサツキ 編集/阿部優子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売
教えてくれた人
根来秀行先生(ねごろ・ひでゆき)/医師、医学博士。ハーバード大学客員教授、ソルボンヌ大学客員教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、自律神経、睡眠医学など多岐にわたる。
メリハリをつけた食事で胃腸を整える
「一般の内科外来では胃がもたれる、食欲がない、便秘といった消化器の不定愁訴が多く見られます。とくにコロナ禍ではこうした訴えをする患者さんが増えています」(根来さん)
考えられる原因のひとつは、自律神経と体内時計の乱れ。
「消化器の機能は食物を摂取し、栄養素に分解し、血液中に吸収して全身へ運び、残りの部分を排泄すること。また、外界とも接しているのでウイルスや細菌の侵入を防ぐ役割も果たしています。つまり、とても酷使される臓器です。細胞の本来の働きを促したり細胞を再生させるためには、消化器を休ませる時間が必要。体内時計のリズムを整え、自律神経のメリハリをつけて、しっかり働かせることが大切です」(根来さん)
朝は欠食、昼以降はダラダラ食い、夜は遅くまで晩酌。これでは消化器が悲鳴を上げて当たり前。
消化活動のスイッチのオンとオフを意識的に行うことで活動時間と休養時間のメリハリをつける。さすれば、リモートワークで失われがちな自律神経や体内時計のリズムが整い、胃腸の疲れも改善するはず。
胃腸を疲れさせない食事の摂り方の基本は以下の通り。
① 朝食は起床1時間以内
起床1時間以内に朝食を摂り、消化活動のスイッチを押す。夜間失われた水分の摂取はマスト。朝食を摂る習慣がなかった人は野菜ジュースからスタートし、次にシリアルやヨーグルト、最後は納豆ご飯に味噌汁で胃腸を回復。
② 昼食はデスクを離れて食べに行く
一日のリズムを作るためにランチは欠食しないこと。朝食から4〜6時間後のタイミングでいただこう。デスクを離れ、できれば外に食べに行くのがベター。交感神経を適度に優位にさせて自律神経のリズムにメリハリをつけるべし。
③ 間食にはナッツやガムなど噛み応えを
昼食と夕食の間が空くときには間食を。といっても脂質や糖質過多のものではなく、ナッツやガムなどを選ぼう。咀嚼の刺激が脳に伝わり、感情や精神の安定に関わるセロトニンという神経伝達物質が分泌されるからだ。
④ 夕食は9時には食べ終わる
深夜12時に寝るとしたら、消化活動を終わらせるのは9時。欲を言えば8時半には食べ終えたい。夜間の血糖値上昇を防ぐため、できれば野菜→おかず→主食の順番に食べて。主食は白米より玄米などの低GI食を。