今日の仕事が終わったら「手首・前腕の凝り」解消ケア
カラダに起こる不快な凝りや痛みには筋膜の乱れが隠れているかも。現代人が悩む8つの症状別に、“トリガーゾーン”となっている筋膜をケアして症状を改善する方法を紹介していく。今回は、PC作業で酷使される腕まわりのトリガーゾーンケアを伝授！
取材・文／井上健二 撮影／山城健朗 スタイリスト／高島聖子 ヘア&メイク／天野誠吾 イラストレーション／Hi there 監修／滝澤幸一（ソル・エ・マーレ鍼灸治療院主宰）
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
筋膜をリリースして手首・前腕の凝りをケア
筋肉の末端は、腱となって骨に付く。腱は、腱鞘というサヤのようなものに包まれており、特定の筋肉を使いすぎると、腱と腱鞘がスレて炎症を起こし、痛みが生じる。それが腱鞘炎だ。
特にパソコンなどで手の指を酷使すると増えるのが、手首の腱鞘炎。手の指を動かす前腕の筋肉の凝りによって生じるので、その筋膜をリリースしよう。
「部位別・トリガーゾーンケア」のやり方
- ゆっくり沈み込ませるような強さ・感覚で部位を押しながら、
- 「3秒で吸い＋5秒で吐く」という呼吸を、
- 3〜5回（30〜40秒）繰り返して行う。
- 風呂上がりなどに全種目を毎日続ける。
- 症状が治まったら、週3回前後に減らしてもOK。
※トリガーゾーンケアの詳しい解説は記事後半をチェック！
前腕外側（前腕伸筋群）のリリース
椅子の座面に右の前腕の内側を乗せ、手首が自由に動くようにする。左手でポール（作り方は後述）を持ち、右腕の前腕の外側に当てる。ポールが前腕に沈み込む感覚が得られるまで押し伸ばしたら、手首をラクに上下させる。左右を変えて同様に。
前腕内側（前腕屈筋群）のリリース
椅子の座面の端にポールを置き、右の前腕の内側を乗せ、手首が自由に動くようにする。左手で前腕を上から押さえたら、右腕の前腕を押し伸ばしたまま、手首をラクに上下させる。左右を変えて同様に。
椅子を使ったポーズを紹介したが、デスクワークの合間に机上で同じようにやってもOKだ。ぜひ試してみてほしい。
「トリガーゾーンケア」とは？
肩こりや腰痛、脚のむくみやスポーツ障害といった慢性的な悩みには、筋膜の乱れが隠れているケースも多い。特に乱れが生じている場所には、筋膜や筋肉に毛玉のようなシコリが見つかる。筋膜が厚く硬くなり、滑りが悪くなって周りの血の巡りを遅らせ、低酸素状態に陥っているのだ。これが、いわゆるトリガーポイント。
「トリガーポイント＝点と誤解されがちですが、実際は点ではなく面。ある程度の広がりがある“トリガーゾーン”です。だから、指圧のようにピンポイントで強い刺激を加えるのではなく、じっくり時間をかけて面で押し伸ばすのが正解。指圧がプッシュなら、このケアはプレス＆ストレッチが合言葉。患部にゆっくり沈み込ませるような感覚が大事です」（鍼灸師の滝澤幸一さん）
プレス＆ストレッチには手製のポールと硬めのボールを準備しておくと便利なのでオススメだ。
トリガーゾーンとは？
触るとコリコリと硬く、軽い痛みが走るところ。周辺に響くような痛み＝放散痛を伴うことも。これは神経系の誤作動などによるもの。患部から離れた部位に原因のある可能性もゼロではないが、まずは元のトリガーゾーンとその周辺を攻めた方が症状は解消しやすい。
「トリガーゾーンケア」のためポールとボール
ポールは、食品用ラップの芯にフェイスタオルを巻いて、輪ゴムで数か所固定して作る。ボールはある程度硬さがあるものを選ぼう。
