ランナー向けスマートウォッチ6選! 必要な機能を見極めて探す
今や群雄割拠のスマートウォッチ業界。ランに役立つのは分かっているけど、使いこなせなくては意味がない。自分に必要な機能を見極めて、より快適なランを!
取材・文/黒田 創 撮影/吉松伸太郎、小川朋央 取材協力/牧野 仁、Daichi Review
初出『Tarzan』No.820・2021年10月7日発売
目次
2021年、スマートウォッチの現在
2015年のアップルウォッチ発売以来広く注目されるようになった“スマートウォッチ”。このデバイスが手元にあると、生活が、走りが、どのように変わるのか?
登録者3万人を超えるスマートウォッチ専門YouTuberで、日本最大級の検索サイト『スマートウォッチ超大全』を運営するDaichi Reviewさんに、まずはスマートウォッチの進化について伺った。
「健康関連の機能の日進月歩ぶりは目覚ましく、2020年あたりからは体温が測定できたり、心電図が取れたり、さらには体組成計つきのモデルも登場するなどかなり充実してきました。
従来から多くのモデルに備わっている睡眠分析についても、心拍数だけではなくいびきを感知してより詳しく状態が分かるようになっている。ライフログ用のギアとして、もはや特別な存在ではなくなっています」
自身もランや睡眠のログを取ることで健康チェックに役立てている。
「私が使うモデルはストレス測定ができるほか、“体力の残り具合”が数値化されるのですが、精度がかなり高いと感じる。それを基準に“今日は走るのはやめよう”と判断して仕事を効率的に進められます」
Daichiさんがいま特に注目しているのは、中国のメーカーだ。
「医療関連のログを病院と連携し、医師から健康面のアドバイスを受けられるサービスなども始まっています。スマートウォッチのポテンシャルは、無限大といえるでしょう」
ランナーに適したスマートウォッチとは?
ではラン用にスマートウォッチを選ぶなら、何を基準にすればいいのか。ランニングコーチの牧野仁さんにご登場願おう。ポイントは?
「GPSや距離といった基本的なログを取り続けたときに、バッテリーがどの程度持つかは特に重要です。あとは心拍数やGPSの計測精度、画面の視認性や、使いたい機能にすばやく辿り着ける操作性の良さも大事になってきます。
そのうえで自分に必要な機能が備わっているかどうかで機種を絞り込むと、オーバースペックすぎず、物足りなさも感じず、丁度いい塩梅の一本が選べるはず」
それにはメーカーごとの「強み」も判断基準になる。
「ポラールは心拍計の精度や分析力、データを生かしたメニュー提案などがかなり高いレベルにあります。ガーミンは優れたGPS機能でランナーから高評価を得ていますし、長年登山用のウォッチを手掛けてきたスントはトレイルランに挑む方に特にオススメできるでしょう」
他のメーカーについては?
「カシオは頑丈で固定ファンも多い《Gショック》のランニングモデルの使い勝手が気になりますし、アップルはスマートウォッチとしての総合力と耐水性能で抜きん出ている。ファーウェイはなんといってもバッテリー性能の高さに注目ですね」
主要6ブランドのスマートウォッチと、ランの助けになる機能をそれぞれピックアップ。ぜひ、選ぶ際の参考にしてほしい。
① ポラール《Polar Vantage M2》
サイズ | 46mm径、12.5mm厚 |
重量 | 45.5g |
防水 | 30m防水 |
バッテリー | 最大100時間(トレーニングモード) |
電子マネー | × |
音楽保存 | × |
3大栄養素別の消費エネルギーを見える化
ランニング中に使われたエネルギーを3大栄養素(脂肪、炭水化物、タンパク質)別に表示。持久力アップやダイエットなど、目的に応じて補給すべき栄養素がより正確に把握でき、食事バランス計画も立てやすくなるのがポイント。
さらにはランニングに必要なエネルギー補給数や総水分量が事前に分かるほか、一定の間隔でエネルギーおよび水分補給のタイミングを通知してくれる。食事コントロールに気を使うなら要チェック。
心拍ゾーン設定で、目標に挑む
心拍数を5つのゾーンいずれかに設定することでランニング中の強度レベルを把握。ゾーンをロックしておけば外れたときにすぐ通知が届くため、脂肪燃焼やスピード能力の維持など、目標別のランがやりやすい。
また、ランニング中各々の心拍ゾーンや異なるスピードゾーンで費やした時間が棒グラフ状にひと目で分かるのもポイント。心拍数、スピードともに最適なペースの感覚が摑みやすくなるのも嬉しい。
② ガーミン《ForeAthlete 745》
サイズ | 43.8mm径、13.3mm厚 |
重量 | 47g |
防水 | 水深50m(5ATM) |
バッテリー | 約16時間(GPSモード) |
電子マネー | 対応 |
音楽保存 | 約500曲 |
ブレ、接地時間、フォーム。走りを細部まで数値化
別売りのランニングダイナミクスポッド(画像右、9,240円)を使うと、ランニング時のピッチ、ストライド、地面接地時間や左右接地時間バランス、上下動比といった細かいデータが分かる。
自分のフォームが正しいか分からない人や、走ると膝や腰を痛めがちな人にとってはこうした客観的データがフォームの改善に役立つはず。本体には光学式心拍計が備わっており、過去の運動量や最大酸素摂取量も分かる仕様。
③ スント《SUUNTO 9 PEAK》
サイズ | 43mm径、10.6mm厚 |
重量 | 52g |
防水 | 100m耐水 |
バッテリー | 約170時間(GPS使用時) |
電子マネー | × |
音楽保存 | × |
街→山を目指すなら
ルートと自分の軌跡が分かるGPSナビ機能は標高も表示され、自分が山のどの付近にいるか俯瞰で把握できる。
目的の方角や目標物を設定し、それに沿って進行方向を示すベアリングナビや、現在の標高や合計垂直距離、上り坂の傾斜率、経過時間などが分かるクライムモードも便利。街中はもちろん、トレイルにも適している。
さらにウェザー機能は気圧や気温が把握でき、ストームアラートもついた優れものである。
血中酸素レベルの測定精度
もうひとつ嬉しいのが血中酸素レベル測定機能。トレイルなどで標高の高い場所に行くと空気が薄いため血中酸素濃度が低下するが、昼と夜の酸素濃度を測定することで、高地への順応度や平地でも普段のコンディションが把握できる。
またGPSを使用した状態で最大170時間のバッテリー駆動を実現しているのも見逃せない。GPSの使用モードは4段階もあるので、シーンに応じてうまく使いこなしたい。
④ カシオ《GSR-H1000AS-SET》
サイズ | 55mm径、21.5mm厚 |
重量 | 99g |
防水 | 20気圧防水 |
バッテリー | 約55時間(心肺測定機能使用時) |
電子マネー | × |
音楽保存 | × |
デジタルデバイスを使った、的確な「コーチング」
GPSと9軸センサーを搭載した付属のモーションセンサーが、ランニング中の動作を高精度に計測。時計と連携し、計測データをリアルタイムで確認可能。フォームの乱れの通知やペースコントロールなども時計が行ってくれる。
アプリでは走行中の動きをカラダの使い方などから評価し、スコアで表示するフォーム分析やペース分析、設定した目標に沿ったパーソナルコーチング、トレーニングログなどが確認できる。
⑤ アップル《Apple Watch Series 6》
サイズ | 40mm径、10.7mm厚 |
重量 | 30.5g(40㎜アルミニウムケース) |
防水 | 50m耐水 |
バッテリー | 約18時間 |
電子マネー | 対応 |
音楽保存 | 32GBの範囲内 |
手ぶらでランを楽しむ
SpotifyやApple Musicなどについては専用アプリを搭載。ストリーミングおよび事前の同期による時計単体での再生が可能という、ラン+音楽派に最適のギア。
またApple Payの搭載によりQuicPay、iD、Suica、PASMOなど幅広い電子マネーを使うことができ、ランに伴う買い物、交通機関の利用がこれ一本でOK。スマホを持たずとも遠くまで走り、食事をとり、鉄道やバスで帰ってこられる。
ラン用のアプリをもっと活用
iPhone同様にApp Storeよりさまざまなアプリがダウンロード可能。Apple Watch自体にもラン用のアプリは搭載されているが、自分の好きなアプリをダウンロードして、自由にトレーニングを組み合わせることができる。
例えば『Nike Run Club』をダウンロードすれば、走行距離チャレンジや、週の目標を達成すると新たな連続記録アイコンが表示され、仲間と共有できるなど、モチベーションを高めてくれる仕組みもたくさん。
⑥ ファーウェイ《HUAWEI WATCH 3》
サイズ | 46.2mm径、12.15mm厚 |
重量 | 約54g |
防水 | 50m(50ATM) |
バッテリー | 最大14日間 |
電子マネー | × |
音楽保存 | 16GBの範囲内 |
ケタ違いのバッテリー性能
使用状況に応じて最大限に電力を節約しつつ高いパフォーマンスを発揮。
24時間スマートフォンとのBluetooth接続、常時心拍数モニター稼働などがOKなスマートモードでは約3日間、さらに超長時間バッテリー持続モードだと多少機能は制限されるものの、実に約14日間の使用が可能となる。
毎日ログを取るうえで頻繁に充電しなくていいのはありがたい。ワイヤレス充電対応のため、わずらわしさも軽減されている。
最先端の健康管理テクノロジー
体表温度測定機能により、就寝中も含め自分の健康状態を常時把握することが可能。何かと体温が気になるこのご時世には嬉しい機能だ。
また血中酸素レベルや心拍数も常時モニタリングできるなど、あらゆる健康管理機能が備わっているのが強み。屋外ランニング時には最大酸素摂取量も計測できるのもポイントである。
ランニングはもちろん100種類以上のスポーツ活動を詳細に記録できるので、活用したいところ。