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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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大事な場面で最大限のパフォーマンスが求められるアスリートの栄養面での指導内容。その実例を見ていこう。自己管理しながら競技に挑戦する人にとっても、きっと学びがあるはずだ。
柴田麗さん
しばた・うらら/管理栄養士、公認スポーツ栄養士、健康運動指導士。筑波大学大学院修士過程を修了。選手の栄養管理のほか企業アドバイザーなども務める。
サッカーやラグビーなどさまざまな競技のトップ選手からジュニア選手まで、幅広い世代のアスリートたちの栄養サポートを手がける柴田麗さん。何より大切にしているのはチームや選手個々に目的・目標を共有してもらうこと。
「目的に合わせた食事をすることで良い体調で練習に臨めるようになり、結果、充実した練習を重ねられてパフォーマンス向上に繫がっていく。そんなイメージのもと、減量は3週間、逆に筋肉を増やしたいなら3か月と、期間の目安を設定して食事改善を習慣化していただくことが大事です」(柴田さん)
吉村俊亮さん
よしむら・しゅんすけ/(株)AND-U代表。管理栄養士、フードスペシャリスト、サプリメントアドバイザー。大学運動部のサポートなども手がける。
「スポーツ栄養士を志したきっかけは中学生の頃に運動誘発性の食物アレルギーが判明したこと。そこで自分と同じように食のストレスを抱えるアスリートをサポートしたいと思ったんです」
そんな目標を実現させて現在は多くのトップアスリートたちの食事管理を担当する吉村俊亮さん。
「30代は“怪我をしないように”とか“練習で足がつらないように”といったコンディショニング面の依頼、20代前半の若い選手は直接パフォーマンス向上に繫がる栄養サポートの依頼が近年増えています。
いずれの場合も選手の体組成や運動状況のヒアリングをベースに献立を作るのですが、ズレが生じないよう、“今日の練習はカラダが重くて気持ちが乗らなかった”などといった些細な会話から彼らのジャストな状態を把握するよう心がけています」(吉村さん)
軸となるのはやはりタンパク質、炭水化物、ビタミンだという。
「スポーツ栄養でその3つは必須ですが、僕はそこに脂質も加わると考えています。“脂質は体脂肪になる”というイメージがあるものの、必要な量が摂れていないと細胞が弱くなって怪我のリスクが上がるため適度に献立に盛り込むようにしています」(吉村さん)
そして吉村さんが最も重視しているのが試合前後の食事。近年注目されている「FODMAP食」の考えを積極的に取り入れている。
「FODMAP食は過敏性腸症候群の原因ともいわれる糖質を含んだ発酵性食品のことで、小腸で消化吸収されずに大腸でガスを発生させて腸の働きを低下させてしまうためパフォーマンス低下に繫がる懸念があります。
納豆やヨーグルト、キムチといった発酵食品は全て“高FODMAP食品”に該当します。それらは長期的に見ると腸内環境を良くしてくれるのですが、短期スパンではお腹の調子を下げてしまう恐れがあるのでアスリートの皆さんには試合前日の夜から極力少なくするように心がけていただいています」
取材・文/徳原海 イラストレーション/渡邉唯
初出『Tarzan』No.819・2021年9月22日発売