「フォドマップ」を知っていますか? 人によっては「腸にいい食材」は逆効果かも、という話
4つの質問から、FODMAP(フォドマップ)とは何なのか、紐解いていこう。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/Miltata 取材協力/江田 証(江田クリニック院長) 参考文献/『新しい腸の教科書』(江田証著、池田書店)
(初出『Tarzan』No.771・2019年8月29日発売)
Q1. 腸にいいという食材を食べても効果がないのですが。
毎日、ヨーグルトや納豆やセロリやゴボウを食べているのに、便秘が改善しないというあなた。または、下のチェック項目にひとつでも思い当たる節があるあなた。ここからはそんな人に向けての腸活話だ。
「大腸が知覚過敏状態の過敏性腸症候群(IBS)や、小腸内に腸内細菌が増殖して大量のガスが発生するSIBOという病気に陥っている場合、一般的に腸にいいといわれる整腸食が敵となる場合も。良かれと思って取り入れた腸活によってお腹が張ったり下痢や便秘を引き起こすこともあります」(江田クリニック院長・江田証さん)
キーワードとなるのはFODMAP(フォドマップ)。何をやってもお腹の調子が改善しない人は、このキーワードを念頭に腸トレを行うことがマストとなる。
Q2. FODMAPって何ですか?
FODMAPは下の表のように、5つの分野の栄養成分にカテゴライズされた食品群のこと。
Fは「発酵性の」という意味で以下4つの糖質にかかる。Oは善玉菌の餌となるオリゴ糖グループで豆類や小麦粉などが代表的な食品。Dは単純糖質が2つくっついた乳糖のような二糖類で牛乳やヨーグルトがこのグループ。さらにMはフルクトースという単糖類で、食品でいうと果物やはちみつなど。ポリオール類はキシリトールなどの人工甘味料やきのこ、カリフラワーに含まれる糖質。
ポリオール以外のグループは、いかにもカラダ、それも腸によさげな栄養成分であり食品群だ。いずれも小腸で吸収されにくいため、SIBOの人は小腸が、IBSの人は大腸が過活動になると考えられている。
Q3. 高FODMAP食、低FODMAP食とは?
では、FODMAP食を具体的に見ていこう。同じ穀類、同じ野菜、同じタンパク質食品でも、これは高FODMAP食でNG、こちらは低FODMAP食だからOKという判断は素人には難しい。普段口にすることの多い食材だけをリストアップしたので、ざっと頭に入れ、とりあえずの参考にしてみてほしい。
「1日3食発酵食品を口にしてお腹の張りがひどくなる人もいます。これは大腸の中でFODMAP食と腸内細菌が反応してガスを生じさせるから。また、小腸内で糖質の濃度が高くなることで、濃度を一定にしようと水分が小腸に引き込まれて下痢の症状に陥ることも」
知らず知らずのうちに高FODMAP食ばかり口にしていたという人は要注意。
Q4. 自分に合わない食材をどう見つければいいですか?
腸にある種のトラブルを抱えている人にとって、高FODMAP食すべてが合わないというわけではない。たとえば、玉ネギはNGだけど、はちみつはOKという場合だってある。
「問題を引き起こす高FODMAP食を特定し、できるだけそれを避けるような食生活をすると、お腹の不調を抱えている人の75%は改善するというデータがあります。チャレンジテストといって、3週間高FODMAP食を断ってから1週間目にフルクタン、2週間目にオリゴ糖と1週間ごとに高FODMAP食を口にして食後の状態を記録し、自分の体質に合う、または合わない食材を割り出す方法がすすめられます」
情報収集と分析が第一歩。詳しくは参考文献『新しい腸の教科書』にて。