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反り腰ってなんで起こるの?:コンディショニングのひみつ vol.7

トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第7回は反り腰の原因と対策について。


反り腰

腰痛を招く反り腰の原因は、筋肉の衰えにあり。

不良姿勢といえば、前回のテーマでもあった「猫背」が代表的だが、もう一つ、骨盤の前傾による「反り腰」に悩む人も実は多い。

反り腰を専門的にいうと、腰椎前弯の増強。つまり、本来緩やかなS字カーブを描く腰椎の弯曲が大きくなっている状態を指す。反り腰であるかどうかのチェックは次のようにできる。

  1. 素足になり、壁を背にして5〜7cmほど離れた場所にまっすぐ立つ。
  2. その状態で背部と臀部をピタリと壁につけ、腰の隙間に手を入れる。

壁と腰の隙間に手のひら1枚分がぴったり入る、あるいは手首ぐらいで止まればOK。それ以上の余裕がある場合は、骨盤が前傾して腰椎の前弯が大きくなっている可能性が高い。

猫背の別名を「上位交差症候群」と呼ぶのに対し、反り腰は「下位交差症候群」と呼ばれる。硬化した筋肉と弱化した筋肉が交差して現れる不良姿勢は、この上位と下位の2パターンに分けられると覚えておこう。

反り腰
下位交差症候群の筋バランス。腰部脊柱起立筋群と股関節屈筋群が硬化し、前腹部筋群とハムストリングスが弱化。

反り腰の主な原因は、骨盤をニュートラルな位置にキープするための筋力が低下していること。それ以外には、ヒール靴を履くことも原因の一つと考えられている。ヒール靴は常に爪先立ちで行動しているのと同じ状態であるため、前に倒れそうな上体を戻そうとして腰が反るというわけだ。

反り腰状態をそのまま放置すると、以下のような障害をもたらす可能性がある。

  • お腹が出て見える
  • むくみや冷えが生じる
  • 姿勢維持に必要な筋肉の疲労

といった軽度のものから、

  • 衝撃吸収機能低下による頸部痛
  • 慢性的な腰痛
  • 椎間板ヘルニア
  • 脊椎管狭窄症

といった重度のものも。

ではここから、反り腰を直す方法を考えていこう。アプローチは他の不良姿勢改善と同様、硬化した筋肉の柔軟性を回復し、弱化した筋肉を強化するのが基本だ。

反り腰、すなわち下位交差症候群で硬化しやすい筋肉は、腰部脊柱起立筋群股関節屈筋群(大腰筋、腸骨筋、縫工筋、大腿直筋、恥骨筋)。一方弱化しやすい筋肉は、前腹部筋群臀筋ハムストリングス

これを踏まえて取り組むべき基本のアプローチは、以下の通りとなる。

  • 腰背部のストレッチ
  • 股関節のストレッチ
  • 腿の前側のストレッチ
  • お尻、腿裏の強化
  • 腹筋群の強化

さらに、無意識でも正しい姿勢を取れるよう、日常生活に定着させるエクササイズも取り入れたい。やり方は次の通り。

  1. 反り腰のチェック時同様、壁から踵を5〜7cm離して立ち、顎を引いて後頭部を壁につける。
  2. 骨盤を後傾し、腰と壁の隙間をなくすように腹筋と臀筋に力を入れる。
  3. 最後に胸を張って、両肩を壁に近づける。

この状態がニュートラルな姿勢であるとカラダに覚え込ませるために、一日の中で何度か取り入れること。そして姿勢を習慣化させることこそが、反り腰改善への近道だ。

そのほかのエクササイズ例:

1/20
反り腰

膝を立てて仰向けになり、両手を腿の上に置く。腰と床の隙間を埋めるように骨盤を後傾し、肩甲骨を浮かせて腹直筋を収縮。5秒キープ×10回。

反り腰

膝を立てて仰向けになり、腿裏に両手を回す。お尻を床から浮かせて腰部を丸め、ストレッチ。1分×3セット。


復習クイズ

反り腰

答え:「背中を鍛える」がNG。

取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売

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