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行動科学マネジメントで、論理的にHIITトレを続けるコツ

高強度のインターバルトレ、それが「HIIT」。代表的なメソッドに、20秒運動と10秒休憩を8セット繰り返す「タバタトレ」などがあるが、いずれも高強度ゆえに「続くか不安…」という声も。専門家に継続のコツを伺った。

意志の弱い自分にHIITを続けられるのだろうか? そんな心配はご無用。行動科学マネジメント理論を応用し、論理的に習慣化しよう。日本の行動科学マネジメント第一人者で、自身もHIIT経験者である石田淳さんに、その方法を聞いた。

教えてくれた人
石田淳さん
石田淳(いしだ・じゅん)/1962年生まれ。行動科学マネジメント研究所所長。ウィル PM インターナショナル代表取締役兼最高経営責任者。『続ける技術』(フォレスト出版)など著書多数。

行動科学マネジメントで続ける。

「行動科学マネジメントは、行動分析学を応用研究して生まれたアメリカ発のマネジメント理論。行動分析学では、抽象的な概念や計測できない要素を排除し、判断の基準を“行動”に置きます。つまり、すべての結果は行動の蓄積だと考えます」

HIITを習慣化できないのは、気合や折れない心が足りないからではなく、続ける技術が身につけられていないからだと言うのだ。

「好きなことでない限り、何かを始めて継続するのは誰にとっても難しいもの。とくにHIITは短時間ですがかなりキツいので、筋トレ上級者でない限り、いきなり習慣にするのは至難の業だと思います」

人が継続したいと思っている行動には2パターンがある。一つは筋トレや英会話など「不足行動を増やす」というパターン。もう一つは、禁煙や過食など「過剰行動を減らす」パターン。HIITの継続は、もちろん前者ということになる。

「不足行動を増やす際に要となるのが、行動を阻止するライバル行動をつぶすこと。やろうと思いながらついスマホを手に取りダラダラ…は、その典型です。ソファに座ってスマホをいじってしまうなら、まずソファに座らないなど、行動科学マネジメントの理論を使って環境を整えることにフォーカスしてほしいです」

HIITにおける行動マネジメント3か条を下に挙げたので、実践してほしい。もし挫折をしても、自分を責めずに環境を見直そう。継続を妨げた要因を探り、解決策を検討する。これを繰り返せば、辛いHIITを習慣化できる。

行動科学マネジメント3か条。

① やる気、根気、意志の強さは関係なし!

やる気、根気、意志の強さは関係なし!

物事が続かないと、意志の弱さや根気のなさといった精神面に理由を求めてしまいがちだが、行動科学の観点からすると、三日坊主の原因は「継続の方法を知らないから」ということになる。不足行動を増やすのは、誰にとっても難しい。やる気や意欲に頼らずに、環境を整えることが重要だ。

② ライバル行動をロジカルにつぶす。

ライバル行動をロジカルにつぶす。

テレビを観る、ゲームをする、マンガを読むといったライバル行動はとても手軽。スイッチを入れるだけ、手に取っただけで楽しむことができるからだ。ライバル行動を遠ざけて、HIITを始めるためのハードルを下げることが継続のカギ。ライバル行動をノートなどに書き出し、洗い出そう。

具体的なライバル行動例とその対策
  • テレビを観てしまう/そもそもテレビのスイッチをONにしない。テレビのない部屋に移動する。
  • スマホをいじってダラダラ/ソファに座るなど、スマホをいじるときの体勢を取らない。
  • 着替えが億劫になる/まずは普段着でも、アンダーウェアだけでもOKにする。常にトレーニングウェアを用意しておく。
  • 疲れてやる気にならない/朝イチの元気があるときにトライしてみる。

③ まずは1か月の壁を突破する。

まずは1か月の壁を突破する。

不足行動を増やして習慣化するには、最初の1か月を乗り切ることが肝となる。三日坊主の言葉通り、多くの新しい行動は1週間ももたないのだ。1か月の壁を突破するためには、無理をしないことが大切。4分のHIITがきつければ、2分でもいい。運動後の自分へのご褒美も有効。

1か月の壁を突破するための習慣化アプリ

自分の頑張りを“見える化”すること、仲間を作ることも継続のサポートになる。習慣化アプリをうまく活用して、目標達成を目指そう。

 

とにかくシンプルに始めたい人は『継続する技術』

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継続する技術
目標を設定したら、毎日やることはアプリを開いて円をタップするだけという超シンプルなアプリ。複雑な操作は面倒という人におすすめ。無料(アプリ内課金あり)。
HIIT仲間が欲しい人は『みんチャレ』

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みんチャレ
新しい習慣を身につけたい人が匿名の5人でチームを組み、チャットで励まし合いながら行動の習慣化を目指す。仲間と一緒に頑張れる。無料(アプリ内課金あり)。

行動科学マネジメントで追い込む。

短時間ながら効率よく鍛えるためには、いかに自分を限界まで追い込めるかがカギとなるHIIT。しかし、パーソナルトレーニングや、グループレッスンではなく、自宅トレで追い込むのは誰にとっても難しい。ここでも行動科学マネジメントの出番。石田淳さんに具体的な4つのアイデアを挙げてもらった。


① サポーターを見つけて一緒に追い込む。

サポーターを見つけて一緒に追い込む。

ともにHIITに取り組む仲間が見つかると、心強い。オフラインで時間と場所を合わせるのが難しければ、ZOOMなどのオンラインサービスで繫いでもいい。一緒にやれば励まし合えるし、頑張っている仲間の姿を見ると、サボれないのが人というものだ。

② SNS上に動画をアップし、リアクションをもらう。

SNS上に動画をアップし、リアクションをもらう。

トレーニングを動画で撮影してSNSにアップする。そう決めると、できるだけ頑張っている姿を見せたい、サボっている姿は見せたくないと思うはず。フォロワーからの「いいね!」は励みにもなる。また、動画撮影はフォームのチェックになり一石二鳥。

③ 心拍数を測定して、数値を目標にする。

心拍数を測定して、数値を目標にする。

ランニングウォッチなどで心拍数を測定すると、追い込めているかの指標になるのはもちろん、頑張りが数字に表れるので達成感を得やすい。どれだけ高い心拍数を維持できるか、20秒の運動時間内にどれだけ回数をこなせるかといった数字を目標に設定してみよう。

④ ご褒美を設定し、馬にニンジン作戦。

ご褒美を設定し、馬にニンジン作戦。

人間だもの、何かご褒美があれば、ツラいHIITも追い込める。例えばトレーニング後のサウナタイムは、疲れも汗もさっぱりするオススメのご褒美。テッパンのビールでも、お気に入りのプロテインでもいい。何を準備したら頑張れるのか、客観的に分析しよう。


最もシンプルで効果的なのは他人の目。家族に見てもらう、トレーニングシーンを動画で撮影してSNSにアップする。トレーニング専用のアカウントを作ってもよい。

心拍数や回数といった数値を可視化するのも有効。実践すると、驚くほどにモチベーションが上がるのを実感する。

取材・文/神津文人 イラストレーション/岡田丈

初出『Tarzan』No.807・2021年3月25日発売

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