「舌トレ」第一人者が教える、顔のたるみを解消する舌トレーニング

舌の筋肉の衰えは口呼吸や代謝の低下の原因に。「舌トレ」の第一人者である今井一彰先生が伝授する舌の体操ならば、顔のたるみの解消だけでなく、血行が促進され冷えやいびきまで改善できるかも。

取材・文/松岡真子 イラストレーション/德永明子

初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売

「二重顎は脂肪ではなく、舌の筋力の衰えた結果。そもそも、舌は出生時には上顎にくっついています。ところが、成人期には8割程度の人が離れてしまう。舌自体の筋力が弱くなって約150gの重さに耐えられなくなっているのです。作り笑いを30秒間続けられるか否かが、舌や表情筋の衰えを示すバロメーターでもあります」(内科医・今井一彰先生)

ベロの筋肉が弱くなっていくのと連動して、代謝も下がる。

「まず、舌の筋肉が衰えると開いた口で呼吸をするようになります。口呼吸はカラダの冷えといびきの原因に」

3つ以上当てはまると口呼吸の可能性アリ! チェックリスト
  • 口を閉じたとき、顎に梅干しのような膨らみとシワができる
  • 年中唇がカサカサしている
  • 起床時にはいつも喉がヒリヒリと痛む
  • いびきや歯ぎしりがある
  • このところ、口臭が気になる
  • 激しい運動をしている
  • 食事中に頻繁に水やお茶を飲む
  • 左右の目の大きさが異なる
  • 舌の側面に歯形がついている
  • 二重顎である
  • 女性だ

「でも、舌は筋肉なので鍛えられます。例えば、タンパク質プロテインからではなく分厚い肉から摂取する。よく嚙んで舌を動かせば、抗菌作用もある唾液も分泌され、さらには血行も促進されます」

最大舌圧と握力の関係
舌圧と握力の強さは比例する。カラダを鍛える前に舌のトレーニングを始めてみるのもありだ。
出典/「国際医療福祉大学審査学位論文 舌圧特性から見た健常者の舌運動出力の検討〜最大舌圧および空嚥下時の舌圧測定とその特徴〜」

今井先生直伝、簡単な鍛錬法。

① あいうべ体操

舌の筋肉だけでなく、表情筋のトレーニングとなり、見た目に効果あり。1動作当たり1秒間キープ×4。1日30セットが目安。お腹から声を出せるので、ストレス解消にもなる。

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あいうべ体操「あ」

目を見開いて、「わ」の口で「あ」と発声。顎舌骨筋や筋肉の一種で舌骨につながる顎二腹筋に働き、顔の線を引き締める。

あいうべ体操「い」

上の歯も見えるくらいに口角を真横に引く。歯と歯は嚙み合わせないように注意。表情筋や顎のたるみ、首のシワ改善に。

あいうべ体操「う」

口輪筋のエクササイズ。上唇と下唇を同程度の力で中央に集める。自力が難しい場合は手を使って丸めてもOK。

あいうべ体操「べ」

舌筋群を鍛えて端正な横顔に。下顎を舐めるように、思いっきり舌を伸ばす。慣れてきたら、上下左右に動かしてみよう。

② 舌ワイパー

マスク生活を逆手にとって、TPOを選ばず鍛えられる。口中で静かに動く舌によって、脳神経は活性化。さらには血流も促されて、肩こりの改善も期待できるのだとか。

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舌ワイパーのやり方 ①
舌ワイパーのやり方 ②
  1. 口を閉じたまま舌先を上顎の窪み部分にくっつける。舌が攣らないようにご注意を。
  2. 窪んでいる部分を前後にこするように動かす。
  3. 1日10回ほどを目安に行おう。

③ 舌回し

口の周りを舐めるように動かす。単純な動きではあるが、翌日に舌の筋肉痛を感じることも。唾液腺を刺激して口に潤いを与えるとともに、体温を上げる効果もあるそう。

舌回し のやり方
  1. 舌をゆっくりと時計回りで5回転する。
  2. 続いて逆回転を同じ回数行う。
  3. 舌の疲労が薄れるごとに回数を増やす。
教えてくれた人

今井一彰さん/内科医、東洋医学会漢方専門医。〈みらいクリニック〉院長。口呼吸問題を解消する「あいうべ体操」を考案。近著は『ストロングぴろぴろ「吹くだけ」超・健康法』(主婦と生活社)。