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肝臓をいたわる4つの食事術|肝臓ケアの五つの噺

肝臓は、生きていくために最低限必要な基礎代謝量のうち21%を占めている。肝臓は代謝界随一のマルチプレーヤー。多芸な肝臓の5つの噺から、その多様な働きを学ぼう。今回は「肝臓をいたわるための食事術」について。

ご飯など糖質の摂取を10〜15%減らしてみる。

フォアグラ気味で弱った肝臓を元気にする第一歩は、摂りすぎている糖質を適度にセーブすること。

「脂肪肝を作る元は、脂肪よりも糖質。糖質が肝臓で中性脂肪に変わるのです。甘いお菓子を減らす、ご飯を小盛りにするなどの工夫で、糖質の摂取を10〜15%ほど減らせば、脂肪肝はリセットできる。極端な糖質制限やカロリー制限は、飢餓と勘違いしたカラダが肝臓へ脂肪を送り込み、低栄養性脂肪肝を起こすので控えてください」(肝臓専門医の栗原毅先生)

糖質のなかでも、お菓子、白米、食パンなど、食物繊維が少なくて吸収が早い食事は、血糖値を急激に上げ、肝臓に中性脂肪を溜める。食物繊維が多く、血糖値を上げにくい玄米、全粒粉パンのような糖質源を選ぶようにしたい。

緑茶カテキンで肝臓を守る。飲むだけではなく食べよう。

肝臓内では代謝が盛んであり、それだけ酸素の消費量も多い。酸素の一部は有害な活性酸素に変わり、肝細胞にダメージを与える。そこで愛飲したいのが、緑茶。緑茶に含まれる茶カテキンはポリフェノールの一種であり、抗酸化作用で肝臓をガードしてくれる。

茶カテキンには他にも御利益が。高濃度で茶カテキンを摂ると、脂肪肝の解消に近づく。肝臓で脂肪燃焼酵素を増やし、脂肪の代謝活性も上げるのだ。加えて茶カテキンは糖質の吸収を抑えるので、血糖値の急上昇が避けられる。

「茶カテキンの約60%は茶殻に残っています。急須でお茶を淹れて、茶殻は佃煮などで食べると、茶カテキンを100%享受できます」

肝臓を養うタンパク質を肉、魚、卵などから摂る。

糖質を減らした分、肝臓のために増やしたいのが、タンパク質

肝臓の働きを示すものに、血液中のアルブミン値がある。アルブミンは肝臓が作るタンパク質で、栄養素や代謝物を運び、浸透圧を保つ。アルブミン値が低いのは、肝臓の機能が落ちているか、タンパク質が足りてないか。肝機能の数値が正常なのに、アルブミン値が低いなら、タンパク質が欠乏している恐れがある。

肝臓代謝を上げる4つのコツ
アルブミンは体内のタンパク質が足りているかどうかを示す重要な指標。血液中のアルブミン値が高い人は、アルブミン値が低い人と比べて長生きできるようだ。
Scalbert A and Williamson G. J Nutr 130: 2073S. 2000

タンパク質は肝臓自体を作るし、肝臓と密接な関係がある筋肉の原料でもある。肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品という5大タンパク源を1日1回摂り、タンパク質をチャージ。アルブミン値は4.4g/dl以上が目標。5.0〜5.3g/dlが理想だ。

カカオ含有量70‌%以上の高カカオチョコを少しずつ。

茶カテキン以外に、活性酸素から肝臓を守るポリフェノールが意外に多いのが、チョコレートカカオ含有量70%以上の高カカオチョコレートには、カカオポリフェノールが多く含まれる。低糖質なので、糖質過多の心配もない。ポリフェノールというと緑茶以外では赤ワインが有名だが、高カカオチョコのポリフェノール量は赤ワインの約15倍にものぼる。

肝臓代謝を上げる4つのコツ
ポリフェノールは植物が作り出す有用物質フィトケミカルのスター的存在。なかでも高カカオチョコレートは赤ワインの約15倍のポリフェノール含有量を誇る。

「ポリフェノールは水に溶ける水溶性なので、摂り貯めできません。小分けされている高カカオチョコを1回5gほど、1日5回に分けて計25g食べると効果的です」

これまた意外なことに、高カカオチョコは食物繊維もリッチ。糖質の吸収を緩やかにして、脂肪肝を招く血糖値の急上昇も防げる。

取材・文/井上健二 イラストレーション/ニシワキタダシ 取材協力/栗原 毅(栗原クリニック 東京・日本橋院長)

初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売

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