鼻洗浄、洗眼って本当に花粉症に効くの?|花粉症を軽減するひと工夫⑤
埼玉医科大学病院アレルギーセンター長・永田真さんに聞く、「花粉症を軽減するひと工夫」シリーズ。今回は、民間療法の花粉症ケアに対する医学的な考え方を伺った。鼻洗浄と洗眼の正しい知識や、自分の花粉症重症度を理解しよう。
取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/killdisco
鼻洗浄は対処策としては良いが、過度の期待は禁物。
辛い花粉症状を少しでも和らげるために、鼻洗浄や洗眼などの花粉症ケアを実践する人も多い。だが、実際のところその効果はいかほどなのだろうか。
まずは鼻洗浄。どんなことを意識しておけばいいのか。
「外出から帰宅した際に鼻洗浄をするのは、鼻の中の花粉を洗い流すことができるので効果を感じる方は習慣にしてもいいかと思います。ただ、くしゃみや鼻水はすでに吸収されたアレルゲンに対する反応として起きており、鼻洗浄だけでは根本的な解決にはならないことは覚えておいてください」(埼玉医科大学病院・アレルギーセンター長の永田真さん)
花粉症状が軽度の場合は鼻洗浄だけでもやり過ごせるかもしれない。だが、重度の場合にはきちんと病院に行って対処策を指導してもらう方がいいと永田さんは言う。
では、自身の花粉症状がどのレベルなのかを測るにはどうしたらいいのだろうか。
『鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版』によると、重症度は1日の中での鼻呼吸の有無、鼻をかむ回数、くしゃみの回数によって決められている。下図をもとに自分の症状を理解して、治療内容を病院で相談しよう。
抗アレルギー成分の入った点眼薬は頼もしい味方。
次に洗眼。鼻洗浄に同じく、こちらも軽症であれば症状を和らげることはできるが、過度な期待は禁物だという。
「鼻洗浄と同じく、目の粘膜に付着した状態のアレルゲンを洗い流すことで目の痒みや充血などを緩和できる場合があります。一般には、抗アレルギー成分の入った点眼薬がありますので、症状がつらければそれを使うのが良いと思います」
実は市販薬は、病院で処方される薬と比べると効き目はゆるやか。市販薬では症状が治まらないときはすぐに病院へ行こう。よほど症状が強く出る人は、外出するときに花粉用のゴーグルを着用することも検討しておきたい。
花粉症状が出たら病院へ。早めの対処が重症化を防ぐコツ。
こうした事後の対処はもちろんだが、予防をするためにその日の花粉予報にも注意したい。花粉シーズンを迎える前にしっかりと対策をするなら、一足先に花粉の飛散が始まる郊外や山に近い地形の情報を注意すると良いそうだ。
ちなみに、山が近くにある場所で生活している人は、テレビの花粉予報よりも早く花粉の影響を受けることがあるので、早めの対策が必要だ。
「予報も大事にしていただきたいですが、特に敏感になってほしいのはご自身の症状です。目が痒い、鼻水がむずむずする、くしゃみや咳が出るなどの自覚症状が出た場合は病院へ行き、薬を処方してもらうのが良いでしょう」
何事も早めの対処が重症化を防ぐコツ。花粉の自覚症状が出たら、タイミングを逃さず病院に行くように心がけよう。