「主食」で糖質コントロール。
日本人にとって3食食べても苦にならない主食といえば米。次いでパンや麺類などがそれに当たる。でも、穀類以外を主食としている国や地域は少なくない。
ペルーではジャガイモ、ブラジルでは煮込み豆、メキシコではトウモロコシが原料のトルティーヤ、アフリカではキャッサバイモなどが常食されている。
糖質コントロール生活では主食のバリエーションを広げてみるのもひとつの手。タンパク質をサラチキ一辺倒で補給するとアミノ酸のバランスが偏るし、副菜が生野菜だけでは必要な抗酸化ビタミンが不足する。多様な食材を組み合わせることが健康維持の秘訣である。
主食に関しても、また然り。完全食といえど玄米を3食口にするのは難しい。ならば、栄養豊富で腹持ちのいい主食の選択肢が広いほどいいに決まっている。
主食候補は最近、ヘルスコンシャスな人々がハマっているというさつま芋。または最近種類が豊富で手軽に入手できるようになってきた豆類。新たな食習慣として取り入れてみてはいかがだろう?
なぜ豆がいい? どんな豆がいい?
豆がいい理由。
豆類は小豆などでんぷんを多く含むグループと、大豆などタンパク質を多く含むグループの2つに分類される。でんぷんグループは低脂質、タンパク質グループにはカラダづくりに欠かせない9種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれている。そして、どちらのグループにも豊富なのが食物繊維やビタミン、ミネラル。
食物繊維は整腸作用や肥満防止効果が期待できる現代人にとっては必須の栄養素。ビタミネも代謝アップには欠かせない。主食でこれらを補えるとしたら超ラッキー。
おすすめの豆。
でんぷんグループの豆の代表格は小豆、いんげん豆、ひよこ豆、そら豆など。小豆にはアントシアニンなどのポリフェノールが豊富で抗酸化作用によるアンチエイジング効果が期待できる。ひよこ豆には赤血球の形成をサポートする葉酸、インゲン豆にはビタミンB群、そら豆にはビタミンB群の他、亜鉛も豊富。水煮缶などで活用を。
タンパク質グループの代表格は、やはり大豆。コレステロールの低下を促す大豆レシチン、整腸作用のあるオリゴ糖、血中脂質を抑制する大豆サポニンなど多くの機能性成分を含むスーパーフード。トレーニーならぜひこちらを。
調理方法は?
おすすめの食べ方は、茹でたひよこ豆にニンニクやオリーブオイルなどを加えてすり潰したフムス、豚肉と一緒に煮たインゲン豆、さやごとグリルした焼きそら豆など。それぞれ立派な主食になり腹持ちもいい。
大豆は水煮にしたものをサラダにしてもよし、スープなどに加えてもよしだ。米と一緒に炊いて食べれば少量のごはんで満足感が得られる。豆は下処理が面倒というイメージがあるが、下のようにレンジを使えば簡単に水煮状にできるので、ぜひトライしてみてほしい。
なぜさつま芋? どう選ぶ?
さつま芋がいい理由。
さつま芋100gに含まれている食物繊維は2.8g。このうち水に溶けやすい水溶性食物繊維は1.0g、水に溶けにくい不溶性食物繊維は1.8gだ。
水溶性食物繊維は消化管の中をゆっくりと進むので糖質の吸収を緩やかにし、不溶性食物繊維は便のカサを増し腸の蠕動運動を促す。善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えるという2つの繊維のいいとこ取りができる。
食物繊維は皮にも豊富に含まれているので、煮物やふかし芋は皮を剝かずにそのままガブリといきたい。ちなみに食べる際は、おやつではなくあくまで主食として口にするのが鉄則。
ノーブランドのさつま芋を選ぶ。
近年では品種改良が進み、より糖度が高く口当たりのいいさつま芋が登場している。なかには1kg当たり1000円以上するものも珍しくない。
これらはふかして皮を剝けば蜜がたっぷり、うっとりするような甘い食べ物に変身する。下の糖度表でいうと、安納芋はようかんレベル、べにはるかはさらにその上を行く。
ただし、糖度が高いということはブドウ糖などの単純糖質がより多く含まれているということ。つまり、カラダへの吸収が高い糖類の宝庫となる。となると、主食として活用するのにおすすめなのはノーブランドのさつま芋だ。
調理方法は?
さつま芋と聞いてパッと思い浮かぶのは、石焼き芋。こんがりと焼き目のついたビジュアルはいかにも食欲をそそる。でも、さつま芋を主食として活用するなら、「焼く」より「蒸す」という調理法がおすすめだ。
理由の一つは焼くことによって芋のでんぷんが分解されて単糖類や二糖類が増えるから。強火で一気に加熱することで分解が促されてしまい、その結果、GI値が高まる可能性が考えられる。もう一つは水分が飛ぶことで糖類が凝縮されてしまうこと。なので、生のさつま芋はレンチンで。