安井友梨さん、ランが嫌いなのにどうして走るんですか?
たとえ前のめりでなくとも、普段の筋トレ効率のアップや、好きなコトをよりいっそう楽しむために走るのだ。今回は、ランニング嫌いだというビキニフィットネス初代チャンピオンの安井友梨さんが走る理由に迫る。
取材・文/黒澤祐美 撮影/小川朋央
初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売
新たな自分に出会うため、ランで「下半身・体幹強化」を狙う。
安井友梨さんが本格的にランニングトレーニングを取り入れ始めたのは、外出自粛を余儀なくされた今年3月。ジムへの立ち入りが制限され、公園でトレーニングを始めたことがきっかけだった。
「もともと大会前の減量目的として、筋トレ後に20〜30分トレッドミルで走っていたんです。ただし、イヤイヤ(笑)。脂肪を燃やすことだけを考えて、フォームも気にせずにとにかく時間が過ぎるのを待っているような状態で。そのときは雲の上を走っているような感覚だったのが、3月から走ることにきちんと向き合うようになると、力強く地面を蹴って走れるように。
走ることがカラダに染み付いてからは、もっと綺麗に走れるようになりたいと意識が変わり、少しずつ面白くなってきました」
ランニングトレを始めて数か月。実際に身体的な変化があった。
「まずカラダの使い方や筋肉のつき方が変わってきました。腿裏やお尻が使えるようになると筋トレ時の刺激の入り方が明らかに違うんです。軒並み大会が中止の今年は弱点克服のいい機会だと思って、さらに進化したいと思います」
安井友梨の4つの走る理由。
① 腿裏とお尻を使えるようになる。
お尻やハムストリングスといったカラダの裏側は、日常動作で使われにくい部分。ランニング着地の衝撃をお尻やハムストリングスで捉える意識を持つと、日頃使えていない筋肉を目覚めさせることができる。下半身の筋トレの際にもお尻とハムストリングスにしっかり刺激が入り、トレーニングの効果が出やすくなる。
② 仙腸関節が動いて代謝が上がる。
カラダの中央部に位置する股関節と仙腸関節は、上半身と下半身を繫ぐ重要な部分。長時間のデスクワークで同じ姿勢が続くとこれらの関節の動きが鈍くなり、血流が滞ったり、むくみやすくなる。ランニングで股関節と仙腸関節を大きく動かせば、全身の血の巡りが良くなり、代謝もアップ。太りにくいカラダを作ることができる。
③ 体幹のいいトレーニングになる。
体幹は筋トレで鍛えることもできるけれど、カラダの前後左右の“ブレ”を抑えることでインナーマッスルを鍛えることができるのは、ランニングだけ。重い負荷をかけてフッキンを行うとウェストが太くなるのに対し、自分の体重以上の負荷がかからないランニングなら筋肥大することはない。引き締め効果もある。
④ ふくらはぎの強化になる。
下半身に溜まった血液を上半身に押し戻す、ポンプのような働きをするふくらはぎ。動かさないと筋肉は硬くなり、血行不良による冷えやむくみの原因に。ランニングをするとふくらはぎはリズミカルに伸縮を繰り返し、全身に血液を送り届けることができる。見た目も足首とのメリハリができて、馬のような引き締まった脚が出来上がる。
安井友梨のランニング継続アイデア。
① 好きな音楽1曲分をとにかく走ってみる。
昨日は5分走って、今日が1分だったとしても、一歩を踏み出すことが大切。安井さんのおすすめは、好きな音楽1曲分を、とにかく走ってみること。気づいたら、2曲、3曲と走れるようになっている。
② カラダの変化を感じ取る。
先週は1kmしか走れなかったのが、今週は3km走れた。1ヶ月前よりも体脂肪が1kg落ちた。そんなふうに、カラダの変化を実感しやすいのがランニングのいいところ。昨日の自分を超えると、楽しくなる。
③ ランニングをゴールにしない。
英語を喋ることをゴールにすると英会話が上達しづらいのと同様に、ランニングも、走った後に自分がどうなりたいのかを明確にすることが大切。目標が見えれば、走ることは手段であり欠かせないものになる。
④ 走った後のご褒美を作る。
走っている間は苦しいけれど、終えた後には爽快感や達成感というご褒美が待っている。走りに行った自分を褒めるために、ラン後は大好物を食べるといった物理的な報酬を用意しておくのも有効。
安井さんの日々のランニングメニュー
今春から新たに取り入れたというランニングメニューがこちら。飽きが来ないように、公園で行うもの、ジムで行うものと7つのトレーニングを用意して、日によって使い分けている。筋トレとの組み合わせで最後はヘトヘト。追い込める。
インターバルランニング
10秒ダッシュ+20秒スロー、30秒ダッシュ+10秒スローと日によって秒数は異なるが、これらを1セットとして5〜10本。
ゴムチューブで、ダッシュの練習
太めのゴムチューブを腹部に掛け、後ろからトレーナーが引っ張っている状態でその場ダッシュ。30秒1セットを5〜10本。
自走式トレッドミルでパワーと速度を上げる練習
自分の体重を使って推進力を得る自走式トレッドミル。全力で30秒走り、2分休憩。これを5セット。筋トレ後に行う。
走るフォーム練習
肩甲骨の動きを意識しながら腕を振る練習。1セット目はゆっくり20秒。2、3セットと徐々に動きを大きくする。これを筋トレ前に。
脂肪燃焼のための15分朝ラン
いわゆるジョグを、会社に出勤する前に15分。ペースは決めずに時間で区切っている。カラダが温まり、代謝もアップ。
トレーニング前ウォーミングアップのための10分ランニング
筋トレの直前にトレッドミルで10分走り、カラダを温める。デスクワークで固まった筋肉をほぐし、筋トレに移行しやすくする。
トレーニング後クールダウンのための10分ランニング
筋トレ後にインターバルトレやゴムチューブトレを行わない日は、10分間のトレッドミルランで締め。脂肪燃焼を狙う。