ランが苦手なら歩けばいい。腹まわりをシェイプする「フッキン・ウォーク」入門
ランニングの効果は十分に理解できているけれど、やっぱり走りたくない人。それならば運動効果抜群の「フッキン・ウォーク」を実践して、カラダを絞ってみない?
取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/黒木仁史 取材協力/久野譜也(筑波大学人間総合科学学術院教授)、神戸貴宏(Body Design Studio ASK代表) 資料用撮影/小川朋央
初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売
まずは1日9,000歩、2週間歩く。
ランが効果的なのは理解しているけど、走るのがツラい、筋肉を落としたくないという理由で、ランを遠ざける人も多い。でも待ってほしい。ランに挫折しても有酸素運動はまだある! まずは筑波大学の久野譜也教授にその効能を伺った。
「筋肉には大きく2種類あって、瞬間的に大きく力を出すものと、持久的に力を出し続けるものです。筋トレでは瞬発的な力を出す筋肉を鍛えます。しかし、ヒトが生きるためには、力を持続して出す能力も不可欠。筋トレだけやっている人は、運動の50%しかできていないということ。試験で50点なら、不十分ですよね」
これを100点にするためには有酸素運動をやるしかない。そこで、ウォーキングなのだ。エネルギー消費量はランニングに比べ、半分以下。つまり、筋肉の減少を避けながら脂肪をカットして、理想の体型になることができそうなのである。
「最終的には、1日9,000歩が目標です。まずは自分がどれぐらい歩いているかを調べて、3,000歩をプラスすることから始めましょう。2,000歩を歩いているなら、5,000歩に伸ばす。すでに7,000歩なら、2,000歩増やすだけでいいです。これを、2週間続けてください」
2週間で変化は訪れる。カラダが軽くなる、階段を上っても息が切れないなど、距離をどんどん延ばせ、結果絞ることにつながる。走らずともいいことだらけだ。そこで紹介したいのが、運動効果抜群のフッキン・ウォーク。普通に歩くより腹や尻の筋肉を使って歩くこのウォーキングは、腹まわりのシェイプができるし、美しいカラダになることを約束してくれる。
骨盤が動かして、腹をシェイプ。
「多くの人は股関節から下、脚だけで歩きます。でも、骨盤にも仙骨と腸骨を繫ぐ仙腸関節があり、本当はここから動かしたい。ウェストから始動させると脚だけでなく、腹や背中、尻の筋肉を使って歩けます」
こう語るのはトレーナーの神戸貴宏さんだ。フッキン・ウォークは、腸骨を動かすことで、体幹を引き締めることができる。神戸さんは、1歩前に出るたびに、フッキンを1回やるような効果が期待できるという。
これが「フッキン・ウォーク」。
「歩幅も広がり、動きもダイナミックになる。ただ、マスターするには技術が必要。歩きのポイントをステップ1、2で示し、よりよい動きを作るためのエクササイズも紹介します。
正しいフォームを得るには、歩きながら頭で考えて試行錯誤することも必要。だから、有酸素運動にありがちな退屈な時間を過ごさなくて済むし、楽しく痩身できますよ」
STEP1 まずは腸骨の動きをマスターする。
両膝を拳ひとつぶん開いて立ち、足を1歩前に出す。ここから、骨盤をひねって、前方へと押し出す。このとき、カラダの軸はまっすぐにしておくこと。仙腸関節を意識して、軸に対して骨盤をまっすぐ保ったまま、腸骨を押し出すように動かすこと。
STEP2 骨盤の動きに、上半身の動きを加える。
ステップ1と同じく、両膝を拳ひとつぶん開いて立ち、1歩前に。骨盤をひねって、前方へと押し出す。同時に同じ側の肩甲骨を背骨へ寄せるようにして、腕を後方に引き、逆側の腕を前方に出す。動作中、カラダの軸はまっすぐに保ったままにすること。
理想の歩きを完成させるエクササイズも取り組む。
歩きに必要な動きや柔軟性を手に入れるための6つのエクササイズ。ぜひ、毎日やってほしい。