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ランが苦手なら歩けばいい。腹まわりをシェイプする「フッキン・ウォーク」入門

ランニングの効果は十分に理解できているけれど、やっぱり走りたくない人。それならば運動効果抜群の「フッキン・ウォーク」を実践して、カラダを絞ってみない?

まずは1日9,000歩、2週間歩く。

ランが効果的なのは理解しているけど、走るのがツラい、筋肉を落としたくないという理由で、ランを遠ざける人も多い。でも待ってほしい。ランに挫折しても有酸素運動はまだある! まずは筑波大学の久野譜也教授にその効能を伺った。

「筋肉には大きく2種類あって、瞬間的に大きく力を出すものと、持久的に力を出し続けるものです。筋トレでは瞬発的な力を出す筋肉を鍛えます。しかし、ヒトが生きるためには、力を持続して出す能力も不可欠。筋トレだけやっている人は、運動の50%しかできていないということ。試験で50点なら、不十分ですよね」

これを100点にするためには有酸素運動をやるしかない。そこで、ウォーキングなのだ。エネルギー消費量はランニングに比べ、半分以下。つまり、筋肉の減少を避けながら脂肪をカットして、理想の体型になることができそうなのである。

「最終的には、1日9,000歩が目標です。まずは自分がどれぐらい歩いているかを調べて、3,000歩をプラスすることから始めましょう。2,000歩を歩いているなら、5,000歩に伸ばす。すでに7,000歩なら、2,000歩増やすだけでいいです。これを、2週間続けてください」

2週間で変化は訪れる。カラダが軽くなる、階段を上っても息が切れないなど、距離をどんどん延ばせ、結果絞ることにつながる。走らずともいいことだらけだ。そこで紹介したいのが、運動効果抜群のフッキン・ウォーク。普通に歩くより腹や尻の筋肉を使って歩くこのウォーキングは、腹まわりのシェイプができるし、美しいカラダになることを約束してくれる。

骨盤が動かして、腹をシェイプ。

「多くの人は股関節から下、脚だけで歩きます。でも、骨盤にも仙骨と腸骨を繫ぐ仙腸関節があり、本当はここから動かしたい。ウェストから始動させると脚だけでなく、背中の筋肉を使って歩けます」

こう語るのはトレーナーの神戸貴宏さんだ。フッキン・ウォークは、腸骨を動かすことで、体幹を引き締めることができる。神戸さんは、1歩前に出るたびに、フッキンを1回やるような効果が期待できるという。

これが「フッキン・ウォーク」。

フッキン・ウォーク
フッキン・ウォーク/足を踏み出したとき、ウェストをグイッとひねって前に出す。同時に、同じ側の肩甲骨を背骨に寄せるように腕を引き、逆側の腕を前方へ振る。骨盤の動きに注目!

「歩幅も広がり、動きもダイナミックになる。ただ、マスターするには技術が必要。歩きのポイントをステップ1、2で示し、よりよい動きを作るためのエクササイズも紹介します。

正しいフォームを得るには、歩きながら頭で考えて試行錯誤することも必要。だから、有酸素運動にありがちな退屈な時間を過ごさなくて済むし、楽しく痩身できますよ」

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STEP① まずは腸骨の動きをマスターする。

フッキン・ウォーク
足を1歩前に出し、クイッと骨盤をひねる。イラストのように、骨盤をひねる意識でやる。

両膝を拳ひとつぶん開いて立ち、足を1歩前に出す。ここから、骨盤をひねって、前方へと押し出す。このとき、カラダの軸はまっすぐにしておくこと。仙腸関節を意識して、軸に対して骨盤をまっすぐ保ったまま、腸骨を押し出すように動かすこと。

STEP② 骨盤の動きに、上半身の動きを加える。

フッキン・ウォーク
肩甲骨を背骨に寄せるように腕を後方に引くことを意識する。逆側の肩甲骨は開いて腕は前方に出る。

ステップ1と同じく、両膝を拳ひとつぶん開いて立ち、1歩前に。骨盤をひねって、前方へと押し出す。同時に同じ側の肩甲骨を背骨へ寄せるようにして、腕を後方に引き、逆側の腕を前方に出す。動作中、カラダの軸はまっすぐに保ったままにすること。

理想の歩きを完成させるエクササイズも取り組む。

歩きに必要な動きや柔軟性を手に入れるための6つのエクササイズ。ぜひ、毎日やってほしい。

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前屈ツイスト

フッキン・ウォーク

腰幅に足を開き、カラダの後ろで手を組む。上体をできるだけ前屈させ、腕を上方へと伸ばす。背すじを伸ばしたまま、軸を保って、体幹を左右に回旋させる。交互に10回。

伸脚ツイスト

フッキン・ウォーク

足を肩幅の2倍に開いて立つ。カラダを左右どちらかに倒し、手で足首をつかみ、上体を支える。もう一方の腕を上方に伸ばしたら、軸を保って体幹をひねる。左右10回ずつ。

股割りツイスト

フッキン・ウォーク

肩幅の2倍に足を開いて立つ。膝を曲げて中腰になり、上体を前傾させて、手を膝の内側へ置く。両腕を伸ばして、軸を保ったまま、体幹を左右に回旋させる。交互に10回。

肩甲骨回し

フッキン・ウォーク

腕を上げ、手をカラダの後ろで構え、小指側を、背骨に沿って密着させる。ここから、肘を横へと開き、次に前方へと移し、また上方へと回転させるよう動かす。左右10回ずつ。

腸骨ずらし

フッキン・ウォーク

足を腰幅に開いて立つ。爪先を正面に向け、膝を30度ほど曲げる。手は腰に。背すじは伸ばす。片方の膝をまっすぐ正面に突き出し、もう一方は後方へと引く。左右交互に10回。

クロスヒップウォーク

フッキン・ウォーク

脚を前方に伸ばして座る。背すじはまっすぐ伸ばす。尻を浮かせて、片側の脚を前方に出す。同時に、同じ側の肩甲骨を背骨に寄せるように、腕を後方へと引く。左右交互に10歩。

取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/黒木仁史 取材協力/久野譜也(筑波大学人間総合科学学術院教授)、神戸貴宏(Body Design Studio ASK代表) 資料用撮影/小川朋央

初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売

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