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お悩み① 月200km走りますがレース後半で必ず失速してしまいます。
相談したのは、柳瀬康博さん(49歳)
後ろの筋肉が使えていません。エクササイズにも意識を!
丸3年、毎月100km以上必ず走り、8月は暑い盛りに200kmランをこなした柳瀬さん。フルマラソンベストも4時間40分と決して悪いタイムではない。
「毎回30kmを越えると太腿がパンパンになり、歩いてしまう。最後まで走り通したいんです!」
まずランニングフォームを観察した齊藤さんは一言。
「カラダが後傾気味で踵着地になっています。これだと推進力が生まれずブレーキがかかるばかり。要はパワーをロスしているんです」
加えて尻やハムストリングスなどカラダの後ろ側の筋肉がほとんど機能しておらず、太腿の前側に負担が集中していると指摘。カラダの使い方を変えるだけでもっと長い距離が走れるはず、とのこと。
「前傾の癖をつけ、尻やハムストリングスを使えるようにするには、股関節からカラダをL字に折り曲げる自体重でのデッドリフトやランジなどのメニューが有効です」
距離走だけではだめなんですね、と反省しきりの柳瀬さん。
「もう少しストレッチやトレーニングにも時間を使います!」
お悩み② ラン歴40年ですが脚のケガや痛みにずっと悩んでいます。
相談したのは、俵山 麗さん(64歳)
まずは体重を左右均等に乗せるところから始めましょう。
ランニング歴、実に40年。無駄な筋肉もなく、聞けば毎日30分のストレッチに30分の自重トレーニングと、健康的な生活を送る俵山さんだが…?
「右膝の捻挫グセをはじめ、とにかくケガをしやすいんです。右足が外に開き気味で、負荷がかかりやすいのもあるとは思うのですが、もう少しケガの心配なく気持ちよく走れればと思って」
まず俵山さんのカラダを正面からチェックする齊藤さん。続けてランニングフォームを観察。
「俵山さんは左右均等に体重が乗っていません。大事なのは拇趾球に正しく体重を乗せる感覚を養うこと。毎日の自重トレの中にこうしたメニューを加えましょう」
効果的なのはランジ。前傾し、一歩一歩床を拇趾球で踏みしめ、尻をキュッと締めながら片足ずつ進んでいく。ランニングもこの繰り返しなんです、と齊藤さん。
「目から鱗です。拇趾球に重心を乗せれば膝に変な負荷がかからないし、尻を締めることで姿勢が安定する。正しいフォームを身につけてまたレースに出たいです!」
お悩み③ もっとストライドを広げてサブ3を目指したい!
相談したのは、引野 創さん(41歳)
胸郭と股関節の可動域を徹底的に広げましょう!
引野さんのプロフィールを見る限りかなりレベルが高い。週4回コンスタントに走り、トレーニングも欠かさない。しかし…?
「フォームを見る限りカラダが硬いですね。これではストライドが広がりません。胸郭と股関節まわりの可動域を広げないとこれ以上のレベルアップは厳しいです」
齊藤さんはそう断言した。
「筋力はあるので、あとは上半身をしっかり捻れるようにし、脚の付け根の柔軟性を養う。これでフォームがかなり変わると思います。ストライドというのは意識して広げようと思っても、レースの後半で疲れが出てくるといつの間にか狭まってしまうもの。だから、カラダを柔らかくして広いストライドを自然に身につけるんです」
今まで鍛えることばかり考えていました、と引野さんは早速ドリルを実践。ランジ姿勢での上半身ローテーション、腿を高く上げるためのニーリフトなど。
「カラダが目覚めた気がします。この積み重ねで少しでもストライドが広がればサブ3も夢じゃない。鍛錬します!」
お悩み④ 筋トレばかりやったら走り方を忘れちゃいました!
相談したのは、米田敬さん(33歳)
カラダをランニングモードに戻す必要があります。
過去にサブ3を達成し、トライアスロン経験も豊富な米田さん。にもかかわらず、“走り方を忘れた”とはこれいかに?
「最近趣味で車いすバスケをやっていて、上半身を無茶苦茶鍛えたんです。それで去年久しぶりにトライアスロンの大会に出たら、やたらとカラダは重いしフォームはガタガタ。本当に走り方がわからなくなってしまって…」
答えは明快です、と齊藤さん。
「車いすバスケモードの瞬発性を発揮するカラダに変わってしまい、昔のイメージで走ろうとしてもうまくできないのだと思います。最近全然鍛えていないという下半身にたっぷり刺激を入れ、関節まわりの柔軟性を高める。これを普段のトレーニングに加えれば自然と走れるカラダに戻るはずです」
齊藤さんが課したドリルは膝を高く上げる足踏みダッシュや関節可動域を高めるエクササイズ。米田さんの脚はスムーズに出るようになり、窮屈そうな走りも解消。
「思った以上にカラダが硬くなっていたんですね。走る前のストレッチを忘れないようにします!」