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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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巷にあふれる夢のようなダイエット・メソッド。それ、本当に信頼に足るものだろうか? ここはひとつ信頼できるスペシャリスト、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんと管理栄養士の貴堂明世さんに検証してもらうことにしよう。今回は、「痩せ菌」の真偽をただす!
近年ダイエット関連の広告や女性誌の記事などでよく目にする「痩せ菌」。かなりのパンチとインパクトがあり、すぐ飛びつきたくなるワードである。
じゃあ痩せ菌って何?って話だが、そもそもは太っている人の便と痩せている人の便をマウス2匹に移し、同じ食事を与え運動をさせたところ、太っている人の菌を持つ方は脂肪がどんどん増えて太ったというアメリカの研究が元になっている。
このことから、腸内環境の乱れが肥満体質の原因になるという推論が生まれ、痩せている人のような腸内環境を作る、つまり「痩せ菌」を増やそうとのムーブメントが起こったのだが、効果のほどは?
「痩せ菌は『それだけ摂れば痩せるの?』と戸惑わせるワードですね。でも、菌だけ摂り続けても痩せるわけがない。冷静になって考えましょう。痩せやすい食生活は野菜が中心で食物繊維が多い。逆に太りやすい食生活は動物性タンパク質や糖質が多い。これが今も昔も変わらない大原則です。前者の食生活をすれば善玉菌が優位となるので腸内環境がよくなり、後者は悪玉菌が優位に。因果関係を逆に捉えた飛躍したダイエット法です」(坂詰さん)
「短鎖脂肪酸やオリゴ糖、乳酸菌などを摂り腸内に善玉菌や日和見菌を増やしましょう、というのも痩せ菌メソッドで紹介される方法の一つ。これらを含む『痩せ菌サプリ』もよく目にします。乳製品が苦手だったり、乳糖不耐症の方が善玉菌を増やすべく摂るのはいいと思いますし、腸内環境の改善や便秘解消も期待できるでしょう。ただし普段から食物繊維を摂らないと真の腸内環境改善にはなりませんし、便秘解消だけでは体脂肪は減りません」(貴堂さん)
「長きにわたり医学的根拠を追求し、最新の運動理論を学んできたので、軽いノリで流行るダイエット法には警鐘を鳴らしたい思いが昔からあります。特に昨今、詐欺まがいの広告などから間違った情報がSNSで拡散するケースが多いので注意深くチェックします!」(坂詰さん)
「栄養学の基本をおろそかにした食べ方や“摂るだけダイエット”は長続きしないし、やり方次第では健康被害をもたらします」(貴堂さん)
痩せようとしてカラダを壊しちゃ元も子もない。飛びつく前に、一度は冷静になるのが正解。
取材・文/黒田創 イラストレーション/ホセ・フランキー
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売