痩せたいなら逆に増やすべき脂質もある。青魚で内臓脂肪が減る理由
在宅時間が長くなり運動量が減ったのに伴い、増えてきた脂肪が気になってきたこの頃。いざ、食事を見直そうと意気込むダイエッターが真っ先に減らしがちなのが脂質だが、実は増やすべき脂質もあるって知ってましたか?
取材・文/井上健二 イラストレーション/三宅瑠人 取材協力/桑原弘樹(桑原塾、コンディショニングスペシャリスト)、河村玲子(管理栄養士、トレーナー)
初出『Tarzan』No.794・2020年8月27日発売
青魚で褐色脂肪細胞が活発化。内臓脂肪が減る!
摂りすぎている脂質は減らしたいものだが、痩せたいなら逆に増やすべき脂質もある。それは、オメガ3脂肪酸。なかでも青魚などの魚油に含まれるEPAとDHAだ。
「魚油を摂取すると代謝が上がり、痩せやすいことが最近わかってきました」(管理栄養士の河村玲子さん)
京都大学の研究によると、魚油を摂ると交感神経が活性化。単に体脂肪を貯めるだけの脂肪細胞(白色脂肪細胞)が、体脂肪を熱に変える褐色脂肪細胞に似たベージュ細胞へと変化。体脂肪の燃焼を促すという。
オメガ3の1日の摂取目安量は、約2g。サバの切り身やイワシ、サンマ1尾ほど(100g)でクリアできる。1日1回は青魚を食べよう。鮮魚が手に入らないなら缶詰で。サバ缶やイワシ缶なら、100gで2g以上の魚油が摂取できる。
100g当たりのEPAとDHAの含有量
EPA(mg) | DHA(mg) | |
---|---|---|
サバ(太平洋サバ・生) | 1800 | 2600 |
イワシ(缶詰・蒲焼き) | 1800 | 1400 |
イクラ(シロサケ) | 1600 | 2000 |
サンマ(生・皮付き) | 1500 | 2200 |
マイワシ(生干し) | 1400 | 1100 |
サバ(缶詰・味噌煮) | 1100 | 1500 |
ブリ(焼き) | 1000 | 1900 |
カツオ(秋獲り・生) | 400 | 970 |
オメガ3の供給源はサバ、イワシ、サンマといった青魚。日本人の肉食化は年々進み、魚介類の摂取量が肉類を下回るようになって久しい。もう一度上の表(出典/文部科学省・食品成分データベース)を参考に、魚が主菜の食事を取り戻そう。
魚嫌いはサプリから摂るのが手軽だが、その際はEPAが主体のものを選ぶようにしよう。
「EPAとDHAは長年ごっちゃにされてきましたが、まったく別物。EPAがより大事で、心臓と血管を守る優れた働きがあります。DHAは脳の健康にプラスですが、EPAから合成できるので、EPAの摂取を意識すれば大丈夫」(コンディショニングスペシャリストの桑原弘樹さん)