筋トレをしていても思うように効果が実感できなかったり、トレーニング後に疲れやすいと感じているようなら、タンパク質・糖質・アミノ酸の摂り方を工夫することで改善をするかもしれない。
目次
① 血中アミノ酸濃度を落とさないように心掛ける。
筋肉が衰えると疲れやすい。筋トレで筋肉を増やして疲れないカラダを作るなら、もちろんタンパク質の摂取を重視すべき。筋肉はタンパク質で作られるからだ。ここまでは常識以前の話。
今後はアミノ酸濃度にも注目したい。タンパク質は20種のアミノ酸からなる。筋肉などのタンパク質は分解と合成を繰り返し、遊離したアミノ酸は体液中を漂う。体タンパクを作らないこのアミノ酸の集まりを遊離アミノ酸プールという。
「アミノ酸プールのなかでも、体内で合成できない9種の必須アミノ酸の濃度が下がると、筋肉の合成を分解が上回り、筋肉は落ちやすくなります」(コンディショニングスペシャリストの桑原弘樹さん)
プール中の必須アミノ酸濃度が下がるのは、食間などの空腹時。プロテインや必須アミノ酸全部入りのEAAといったサプリで、筋肉の分解を防ごう。プロテインなら1回20g、EAAは6gが目安。
必須アミノ酸が含まれるのは、例えばこんなサプリ。
② 筋トレに必須の糖質の摂り方を工夫しよう。
糖質はエネルギー源。グリコーゲンとして貯蔵される。だから筋グリコーゲンが減ると、筋トレが満足にこなせない。加えて糖質を摂って血糖値が上がると、インスリンが筋分解を抑制。合成を促す。
食事で魚や肉のタンパク質と、白米の糖質を一緒に摂るように、筋トレ後のプロテインタイムでも同様に、糖質を摂るべき。題はその量だ。一般的に筋トレ後はタンパク質と糖質を1:3で摂るべしとされる。タンパク質が20gなら、糖質は60g。糖質は1g4キロカロリーなので240キロカロリーの摂取となり、カロリー過多が心配。太ると疲れやすくなる。
「筋トレ直後の糖質は、ブドウ糖などの単糖類が10〜20gあれば、血糖値を素早く上げて筋肉の分解を抑えてくれます」(桑原さん)
それだけでは失ったグリコーゲンの補塡には足りないので、直後の食事で糖質をちゃんと摂ろう。
③ オフ日の栄養摂取こそ、筋肉を育てる。
トレーニングをしている日に、プロテインやEAAをしっかり摂っているのなら、オフ日の栄養補給にもきちんと向き合うべき。ボディビルダーは毎日のように鍛えているが、一般のトレーニーは週2〜3回ペースが大半だろう。オフ日の方が多いのだから、そこでの栄養補給に無頓着なのはもったいない。やっぱり大切なのは、タンパク質とアミノ酸の摂取だ。
筋トレ直後は疲労で筋力が落ち、2〜3日の休養を経て筋力は筋トレ前より高まる。この間、筋肉の合成力は高まっている。休養中に筋肉は太く強く生まれ変わるのだから、その間もタンパク質とアミノ酸を多めに摂っておくべき。
「重要なのは朝食。朝食抜きだとお昼まで筋分解が続いて疲労します。朝食で卵や牛乳などからタンパク質を摂り、血中アミノ酸濃度が下がる食間にEAAかプロテインを摂りましょう」(桑原さん)
④ 筋トレの栄養補給はイントラワークアウトと運動前後が常識に。
タンパク質に限らず、栄養素は摂取してから体内に吸収されるまでに時間がかかる。筋トレ後に慌てて摂るのではなく、先手を打ってあらかじめ摂取するのが賢い。食後満腹状態で筋トレをする人はまずいない。食間か食事前にトレーニングする場合が大半だから、まずは筋トレ前にEAAを6gほど摂り、アミノ酸濃度を高める。筋トレ中にもアミノ酸を摂取。
「筋トレ中の飲み物をイントラワークアウト・ドリンクといいます。そこで摂りたいのは分岐鎖アミノ酸のBCAAです」(桑原さん)
BCAAとは、必須アミノ酸の一種であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称。筋肉を使うほどBCAAは消耗し、筋肉の分解が進んで疲れを招く。それを防ぐため、4g程度のBCAAを吸収が早いイントラワークアウト・ドリンクで摂る。ロイシンには筋合成のスイッチを入れる働きもある。
BCAAが含まれるのは、例えばこんなサプリ。
⑤ タンパク質量のパーソナルベストを見つける。
タンパク質は摂るタイミングだけでなく、絶対量にも気を配る。筋肥大してカラダを絞り、疲れにくい体質になるのが目的なら、一体どのくらいのタンパク質が必要なのか。これには諸説ある。
「一般的に体重1kg当たり1.6gで十分とされますが、トレーニング強度に応じて2.0〜2.5gは摂った方がいい」(桑原さん)
タンパク質の摂取量は本来、体重ではなく筋肉量を基準に考えるべき。筋肉量を正確に知るのが難しいため、次善の策として体重が基準となっている。そのせいで、摂取目安量に幅が出やすい。
確実なのは、自分で試してパーソナルベストを見つけること。体重1kg当たり1.6gから始め、2.5gまでの間で筋肉の成長がいちばん自覚できる量を見つけよう。一度に利用できるタンパク質は最大約40gだから、食事+サプリで5〜6回に分割して摂りたい。