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2020.04.08

トレーニング効果を高める! 糖質とタンパク質の摂り方

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糖質の摂り方に気を配ればトレーニングの質が向上する。いまこそ、食生活の見直しを。カリスマトレーナー、井上ジュニアさんに教えてもらった、糖質とトレーニングのいい関係。

トレーニングの「質」が変わる。

ボディメイクを狙った筋トレに欠かせない栄養素といえば、真っ先に挙げられるのはタンパク質。筋肉の原料になってくれるからだ。けれど、忘れてならない重要な栄養素がもう一つある。それは他ならぬ糖質である。

筋肉を効率的に鍛えるには、質の高いハードな筋トレが求められる。そんな高強度の運動のおもなエネルギー源となるのは、糖質。筋肉の2大エネルギー源は糖質と脂質だが、筋トレのような高強度な運動では糖質がより使われやすい。

そして筋トレはセット間のインターバル(休息)を短めに抑えた方が、筋肥大が促される。ショートインターバルで何種類もの筋トレを切れ目なく続けていると、思ったよりも多くの糖質がいる。糖質が足りないと十分な力が出せないため、トレーニングの質が下がる恐れがある。

トレーニング効果を高める! 糖質とタンパク質の摂り方

糖質は肝臓と筋肉にグリコーゲンという形で蓄えられる。その量は肝臓で70〜80グラム、筋肉で300グラムほど。このうち運動時のエネルギー源となるのは、筋肉のグリコーゲン。

グリコーゲンはブドウ糖に分解されて血中に出て血糖となり、筋肉でエネルギー源として利用される。筋グリコーゲンを満杯にして筋トレの準備を整えるには、1日3食で糖質をきちんと摂っておくべきなのだ。

筋トレ後は必ず、糖質とタンパク質を同時に。

トレーニーは運動後のタンパク質摂取には気を使うのに、糖質摂取には案外無頓着。でも、トレーニング後は糖質とタンパク質を同時に摂った方が、カラダ作りは加速しやすい。糖質とタンパク質を同時に摂ると、筋トレで失った筋肉のグリコーゲンが素早くチャージされ、筋肉のコンディションが良好に保てるからだ。

鍵を握るのは、膵臓が分泌するインスリンというホルモンインスリンは筋肉などに糖質(血糖)を取り込ませる。糖質が吸収されると、血液に入って血糖値が上がる。それに反応してインスリン分泌が増えるから、グリコーゲン合成が進むというワケ。

糖質にプラスしてタンパク質や脂質(肉類や魚類といったタンパク源には脂質も含まれる)を摂ると、消化管からホルモンが分泌される。高血糖下ではこの消化管ホルモンもインスリン分泌を促すので、筋グリコーゲンはより蓄積しやすくなる。

糖質のみではグリコーゲンは筋肉に貯まりにくい。
糖質単独より、タンパク質や脂質を一緒に摂った方が筋グリコーゲンの貯蔵量は増える。これは消化管ホルモンの働きによるが、血糖値が低いときはそのサポートは期待できない。
Ivy JL et al., J Appl Physiol, 93: 1337-1344, 2002

筋肉を肥大させるタンパク質合成にも、糖質とタンパク質の同時摂取は有効。インスリンは糖質だけではなく、筋肉へのタンパク質の取り込みも促してくれるからだ。加えてタンパク質を構成している必須アミノ酸は、筋トレ直後の筋タンパク質の分解を抑える働きを持っている。

糖質とタンパク質はどれくらい必要?

トレーニーに糖質とタンパク質はどの程度必要なのか。諸説あるので、ここではパーソナルトレーナーで、ボディメイクコンテスト出場者の栄養指導経験も豊富な井上ジュニアさんの助言に耳を傾ける。

通常は糖質やタンパク質の必要量は体重を基準とするが、それは考えてみるとおかしな話。同じ体重でも、その中身の体組成には差がある。筋骨隆々の70キログラムと、メタボ体型の70キログラムを同じように扱うのは乱暴すぎる。

そこでジュニアさんが基準とするのは、LBM(除脂肪体重)。LBMは体重から体脂肪を除いたもので、体脂肪率から求める。筋肉と体脂肪以外の骨や内臓の重みは大きく増減しないから、LBMはその人の筋肉量を反映している。表内の公式から体重70キログラムで体脂肪率が20パーセントなら、LBMは56キログラムと推定できる。

LBMの求め方
LBMは体重と体脂肪率から計算する。体脂肪計が手元にない場合、スポーツセンターやジムなどで体脂肪率を測っておこう。そしてLBM×2のタンパク質と糖質を1日で摂取する。コンテスト出場を狙うならLBM×3となる。

「糖質やタンパク質をいちばん求めるのは筋肉ですから、LBMからその摂取量を定めるのが合理的です。そして糖質とタンパク質は同量摂ると効果的。1日にLBM×2の糖質とタンパク質を摂ってください」

先の例に則するなら、56×2=112グラムの糖質とタンパク質を1日に摂るのが正解。自分にどのくらいの糖質とタンパク質が適量なのか、表内の公式を使って一度計算しておこう。

食事回数で分散させて摂るべし。

栄養素は一度にまとめて摂っても吸収率や利用率が下がって非効率。糖質とタンパク質はなるべく分散させて摂るのがポイントである。

糖質を一度に多く摂りすぎると血糖値が急上昇し、その後急に下がって血管にダメージが及ぶ。血糖値が大きく上下動すると酸化ストレスが生じて、それが血管を傷つけるのだ。血糖値の上がりすぎを避けるために、糖質は1回40グラム以内を目安とする。この上限量は、ご飯ならおにぎり大、食パンなら8枚切り2枚である。

糖質の大量摂取は無駄な体脂肪の蓄積も招く。糖質は肝臓と筋肉にグリコーゲンとして貯められるが、一度に摂りすぎると一部は体脂肪に変わり、脂肪細胞に溜まりやすい。

タンパク質の場合、1回20グラムまでは筋肉のタンパク質合成は右肩上がりに上がるが、1回40グラム以上摂っても筋肉のタンパク質合成は高まらない。そこで一度に摂るタンパク質量は20〜30グラムが基準。赤身肉や魚類ならだいたい1切れ(100グラム)だ。

前述のように体重70キログラムで体脂肪率20パーセントなら、糖質とタンパク質は1日112グラムずつ必要。1日3食+補食1〜2回で1回22〜28グラムとなる。計算が面倒なら、標準的な体型では糖質とタンパク質は1回30グラム×4回、または1回25グラム×5回と覚えておく。

取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 監修・指導/井上ジュニア(ICONIQ)

初出『Tarzan』No.783・2020年3月12日

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