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元気に歩くために! 正しい「歩き方」と「シューズの選び方」

「あおり運動」で足を強化する。

加齢でトラブルを起こしやすくなる足をどう強化するのか。手軽で効果的なのは、正しい歩き方をマスターすること。

「踵の外側で着地し、足の外側部分を通って力が加わり、最後に親指の付け根で蹴り出す。この“あおり運動”を心がけると、足を鍛えて変形が抑えられます」(アシックススポーツ工学研究所の市川将さん)

足の成長ぶりを“見える化”する
足の成長ぶりを“見える化”する。/「あおり運動」の効果を簡単に確認する方法がある。それは入浴後などに濡れた素足で珪藻土バスマットを踏むこと。そこに残る足形をチェック。足指まで接地し、土踏まずがはっきりしてきたら効果が出た証拠。浮き指などのチェックにも使えて便利。

ペタペタ歩きだと足を地面にただ置くだけになり、足指は使えない。そんな歩き方を続けていると、地面につかない浮き指も増える。あおり運動をすると足指がちゃんと使えるようになり、足の内在筋(始まりも終わりも足内部にある筋肉)が鍛えられて内側縦アーチも高まる。

ポイントはみぞおちから脚を前に振り出し、膝を伸ばして踵から着地すること。これでストライドが伸びやすい。さらに両肩を後ろに引いて背すじを伸ばし骨盤を立て、引くことを意識して腕を大きく振る。これで背骨を軸に両腕と両脚がリズミカルに動くから、ラクに歩ける。

「一般人に印象を聞いた私たちの調査で、この歩き方は誰が見ても若々しく、健康できれいに見えることがわかっています」

歩き方
赤色で力が強く加わっているところを示している。「あおり運動」では(1)踵から地面に着地し、(2)足全体が接地し、(3)親指の付け根で蹴り出す。これはヒトが裸足で歩くときに理想とされるウォーキング法である。

ランニングシューズではダメ。

元気に歩くにはウォーキング専用のシューズがいる。ランニングシューズがあるなら、それで十分だろうと思うのは間違い。なぜならランとウォーキングは、動きが異なるからだ。

ランは片足で交互に体重を支えながら行う運動。片足の踵で着地して、その足の爪先が離れるまでの間、地面から受ける地面反力を波形で示すと、蹴り出す瞬間に足裏全体に全体重が乗ったところ(ミッドスタンス)でピークが1つだけできる。

一方のウォーキングでは両足が地面から離れる瞬間がなく、地面反力の波形は足裏接地時と、前足に体重が乗った蹴り出し時という2つのピークを描く。

歩き方
ウォーキングの地面反力は足裏全体が接地するフットフラット、踵が地面から離れて前足に力が乗るヒールオフという2つの山がある。

こうした違いを踏まえて、シューズの中足部の作りを変えるべき。ランではミッドスタンスに体重の2〜3倍の衝撃が加わるから、中足部に硬い素材を入れて落ち込まないようにサポートする必要がある。ウォーキングでは2つのピークの間である中足部にはほとんど力が加わらないから、中足部はむしろ柔らかくし、あおり運動でのスムーズな重心移動を助けた方がいい。

速歩で健康作りを狙うなら足にフィットしたウォーキングシューズを買うことから始めよう。

アシックスのウォーキングシューズ
アシックスのウォーキングシューズは、踵が着地する方向に合わせて爪先で蹴り出せるように、踵部と前足部に斜めの溝を平行に施す。そして踵部から前足部までのあおり運動に応じて円滑な体重移動を助けるように、縦にも溝を施している。

取材・文/井上健二 イラストレーション/森拓馬 取材協力/市川将・楠見浩行(共にアシックススポーツ工学研究所)

初出『Tarzan』No.784・2020年3月26日発売

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