• 食生活裁判・傍聴記:お酒がやめられない件について
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2020.01.20

食生活裁判・傍聴記:お酒がやめられない件について

06-5

お酒がどうしてもやめられない人には、どんな意識改革が必要なのか。こと内臓脂肪を減らすことを考えたとき、飲酒にまつわる3つの条件が導き出された。

ここは、内臓脂肪管轄・食生活支部「やめられない裁判」専門の裁判所法廷。前々回の「 白飯がどうしてもやめられない」被告前回の「 甘いものがやめられない 」被告に引き続き、今から裁かれる被告はお酒をやめられない様子。ついつい過剰摂取してしまうその姿は、ひょっとしてあなたの分身かもしれない。

被告Cは、お酒がやめられない。

裁判長 起訴状の内容は「アルコール暴飲行為」です。間違いありませんか?

被告C 暴飲しているつもりはないんですが。まあ、はい。間違いありません。

裁判長 被告人はどんなお酒を飲むのですか?

被告C 大好きなのは焼酎の黒ホッピー割りです。もっと好きなのはハイボールです。

内臓脂肪

弁護士 被告人が足繁く通っている〈スナック猿〉のママの証言を得ました。それによれば、日本酒より焼酎、ビールよりウィスキーを好んで飲んでいるという事実があります。これらの蒸留酒には糖質が含まれていないので、余計なエネルギー摂取は回避できています。

検事 異議あり! 質も大事ですが量も大事です。被告人は1日にハイボールを4杯飲んでいます。1杯につきウィスキーが30mlとして、4杯で120ml。純アルコール量に換算すると約38g。厚生労働省の適正飲酒量からしても、これは明らかに飲み過ぎです!

弁護士 いいえ、被告が飲んでいるハイボールに含まれるウィスキーの量は1杯につき15mlです。4杯飲んでも純アルコール量は20g以下なので適正量です!

被告C ママが勝手にウィスキーをケチって割りものを多くするんです。でも、おかげで助かりました。

検事 異議あり! たとえ量が適正だとしても頻度の問題があります。被告人は毎日必ず〈スナック猿〉に出没し、焼酎の黒ホッピー割りかハイボールを飲んでいます。適正量でも肝臓には個人差があり、アルコールの処理能力は異なります。こう毎日のように飲んでいては、血中中性脂肪が増えて内臓に蓄えられてしまいます。

裁判長 被告人の肝臓のエックス線写真が証拠として提出されていますね。検事、説明してください。

検事 はい。こっちが私の肝臓のレントゲン写真です。比べると明らかに被告の肝臓が小さいことが分かります。

裁判長 検察官の肝臓が大きいという可能性はありませんか?

検事 私は人並みです!

弁護士 異議ありに異議あり! 〈スナック猿〉のママの証言によりますと、被告人が週に一度、木曜日だけ姿を見せないということが分かっています!

裁判長 なるほど、休肝日があるのですね。

内臓脂肪
被告Cの一週間

弁護士 はい。1日でも休肝日があるというのは重要なことです。逆に休肝日を3日とって、そうでない日にドカ飲みすることの方が肝臓には負担がかかり、中性脂肪も増えてしまいます。その点、1日の休肝日を設けて、他の日は適量飲酒という被告人の飲酒スタイルは非常に健全と言うしかありません。

裁判長 被告人、木曜日を休肝日に充てているというのは本当ですか?

被告C うう、本当です。毎週木曜はレース編み教室に通っています。

検事 なぜ、それを最初から言わなかったんですか!

被告C こんないい歳したおっさんがレース編みなんて恥ずかしくて言えませんでした。家族にも内緒にしてます。

裁判長 判決を申し渡します。被告人は無罪! 今後は高級なお酒を少量飲むよう努めてください。〈スナック猿〉のママに高級スコッチを入れるよう進言しておきますね。

被告C 裁判長、いや、それはちょっと…。

総括:飲酒にまつわる3条件はお酒の質、量、頻度。

飲むなら醸造酒より蒸留酒、純アルコール量にして20g程度。そしてなにより内臓脂肪の蓄積を防ぐには、最低でも週に1度の休肝日がマストであることなど、複数の条件が示唆された事件であった。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 イラストレーション/森拓馬 取材協力/石川三知 (管理栄養士、Office LAC-U) 料理・スタイリング/近藤幸子(料理研究家、管理栄養士)

初出『Tarzan』No.779・2020年1月4日発売

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