• 食生活裁判・傍聴記:甘いものの暴食癖がある件について
FOOD
2020.01.15

食生活裁判・傍聴記:甘いものの暴食癖がある件について

内臓脂肪

脂肪の少ない和菓子ならちょっとくらい食べても内臓脂肪は溜まらない。そう思い込んでいる全国のスイーツ好きに警鐘を鳴らす。

ここは、内臓脂肪管轄・食生活支部「やめられない裁判」専門の裁判所法廷。前回の「 白飯がどうしてもやめられない」被告に引き続き、今から裁かれる被告は甘いものに目がない様子。ついつい過剰摂取してしまうその姿は、ひょっとしてあなたの分身かもしれない。

甘いものがやめられない“被告”B

裁判長 「甘いもの過剰摂取」という検察官の起訴状の内容に間違いありませんか?

被告B ええ、でも、あの、やめようと思えば、やめられると思うんですけど…。

検事 裁判長、被告人は「甘いもの過剰摂取」の常習犯で、今回の起訴は3回目です。

弁護士 いえ! 前回の起訴内容は「ケーキ過剰摂取」でした。今では油脂の多いとろけるプリンより焼きプリンを選ぶなど、被告人も更生しています。そして、今回の起訴内容は和菓子に関するものです。内臓脂肪蓄積の原因となる油脂は混入されていません!

被告B はい。過去の過ちから反省して、今ではもっぱら、おやつに和菓子を食べています。

弁護士 洋菓子のように油脂と合体していなければ、内臓脂肪の蓄積には繫がりにくいと考えられます。

検事 異議あり! 同じ甘いものでも和菓子を食べている分には無罪というわけではありません。問題はポーションにあります。裁判長、証拠の提出を要請します!

裁判長 許可します。

内臓脂肪
行きつけの和菓子店で食べたという証拠1のどら焼き、証拠2の大福。どちらもかなり大きなポーション。含まれている砂糖の量もハンパではない。

検事 被告人が足繁く通っている和菓子店から入手したものです。証拠1は2週間前に被告人が食べたどら焼きです。直径にして12㎝あります。証拠2は1週間前に口にした大福です。重量は130gです。これはいくらなんでも大きすぎるポーションです!

被告B あっ、くそー! 和菓子屋の親父め、チクったな!

裁判長 被告人は発言に注意してください。

検事 これほど大きいサイズの和菓子を口にすれば、代謝しきれるわけがありません。

弁護士 異議あり! それは決めつけです。被告人はフィットネスクラブに入会していて、定期的に通っているという事実があります。運動によって代謝されている可能性は高いと思われます。

検事 フィットネスクラブでは主に瞑想系のヨガのクラスに参加していることは調査済みです。弁護人は瞑想系のヨガで大福が代謝されると思いますか?

弁護士 うっ、よりによってヨガ? しかも瞑想系とは…。

検事 代謝されずに余った糖質は内臓脂肪として蓄積されてしまいます。しかも、被告人は必ず空腹時に和菓子店に現れ、店頭のイートインコーナーでむしゃむしゃ食べていたことが分かっています。

被告B 和菓子屋の親父めぇ! 親切そうにお茶まで出してくれたのに、余計なことをペラペラとー!

裁判長 被告人、それ以上汚い言葉を使うと退廷を命じますよ。

検事 食後、デザートとして適量の和菓子を口にするのなら、なんの問題もありません。食物繊維やタンパク質がすでに消化管に入っているので糖質の吸収が遅いからです。ところが、被告人のように空腹時に大きな和菓子を食べると、血糖値が急上昇して内臓脂肪の蓄積へとまっしぐらです。

裁判長 判決を言い渡します。被告人は有罪。懲役3か月、執行猶予6か月とします!

弁護士・被告B ガックリ。

内臓脂肪

裁判長 執行猶予の間、日中に甘いものを食べたくなったらフルーツを口にすることをすすめます。夕方以降、甘いものへの欲求は減ってくると思います。そして、和菓子が食べたいときは高級なものを少量にすること。私の知っている高級和菓子店を紹介しますね。

被告B 裁判長…ありがとうございます。もうあの、安くて大きな和菓子ばかり置いてある店には行きません!

総括:改めて問題視された和菓子の落とし穴。

焦点は大きすぎるポーションと食べるタイミング。脂肪の少ない和菓子ならちょっとくらい食べても内臓脂肪は溜まらない。そう思い込んでいる全国のスイーツ好きに警鐘を鳴らす事件であった。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 イラストレーション/森拓馬 取材協力/石川三知 (管理栄養士、Office LAC-U) 料理・スタイリング/近藤幸子(料理研究家、管理栄養士)

初出『Tarzan』No.779・2020年1月4日発売

Tarzan 公式アカウントから
最新情報をお届けします。

メンバーシッププログラムSTART! CLUB Tarzan