Q7. 風邪をひきやすい人とひきにくい人の違いとは?
A. 免疫力というより、喉の粘膜のバリア機能の問題。
免疫の経験値が同じはずの同年代でも、毎年のように風邪をひく人もいれば、何年も風邪と無縁なタイプもいる。この差はどこから来るのか。
どうやら風邪のひきやすさは免疫の差というより、喉の粘膜のバリア能力の差によるものらしい。
風邪の多くはウイルスが喉の粘膜に取り付いて発症する。粘膜に適度な潤いがあるとウイルスは弾かれやすいし、潤いの元となる粘液にIgA抗体という抗ウイルス物質が含まれており、風邪の感染をブロックしてくれる。
日本の冬は空気が乾燥しているためウイルスは長生きするし、喉も乾燥して粘膜が乾きやすくなっている。粘膜が乾いているとIgA抗体は働きにくく、ウイルスは細胞内に直接入り込み、すぐさま増殖を始めてしまうのだ。
風邪をひきやすい人は、マスクで加湿する、加湿器を適度に使うといった対策を取り、粘膜の潤いを逃がさないようにしたい。
PROFILE
河本宏(かわもと・ひろし)/1961年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学ウイルス・再生医科学研究所副所長血液細胞の分化過程を解明する傍ら、iPS細胞技術を用いた治療用再生T細胞の作製研究も進める。免疫学者ロックバンド〈Negative Selection〉リーダー。今回趣味のイラストで免疫を優しく解説。