筋トレQ&A「筋肥大しやすい、しにくい部位はどこ?」

筋肉は魔法のようにムクムクと大きくはならない。が、基礎を守れていれば最速で肥大する。トレーニングで肥大しやすい筋肉と肥大しにくい筋肉を、日本体育大学運動器外傷学研究室・岡田隆先生に教えていただきました。トップ5形式で紹介します。

取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 取材協力/<a href="/tags/takashi_okada/">岡田隆</a>(日本体育大学運動器外傷学研究室)

(初出『Tarzan』No.739・2018年4月5日発売)

“前側にある筋肉”は大きくしやすい

本気で体型を変えたいなら、腹を括って筋トレに励むべき。

体重の40%ほどを占めるのは筋肉で、ボディラインを決める。筋肉が衰えると体型はたちまち緩み、重力に負けて贅肉が垂れ下がるのだが、筋肉に筋トレで喝を入れて肥大させると体型が締まって輪郭がシャープに絞れる。ランナーは「走った距離は裏切らない」と言うけれど、筋トレだって頑張った分だけ必ずご褒美が得られるのだ。

体型を左右するのは、体表にあるアウターマッスル(表層筋)。なかでも大切なのが、本記事で紹介する筋肉だ。筋トレの際は、いまどこの部分を鍛錬しているかをつねに意識しよう。

これらの筋肉にはトレーニングで肥大しやすい筋肉と、なかなか肥大しにくい筋肉がある。どちらも偏りなく鍛えると、360度どこにも死角がない理想ボディに近づける。

まずはここから鍛えよう。筋肥大しやすいTOP5

1位|大胸筋

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上半身の前面でもっとも大きく、胸の厚みを作っている筋肉。鎖骨、肋軟骨、胸骨(胸の真ん中にある平らな骨)から、上腕骨に向かって延びる。胸の動きではなく、肩関節の動きに関わる。

2位|三角筋

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肩をジャケットのパッドのように覆っており、発達すると肩幅が広くなり、逆三体型の頂点が際立つ。鎖骨と肩甲骨から上腕骨に向かって走る。肩関節の多彩な動きを助ける。

3位|上腕二頭筋

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上腕の内側にあり、力を込めると力こぶが生じて逞しい腕を強調。肩甲骨から肩関節と肘関節を跨ぎ、前腕の橈骨で停止する。肘を曲げる屈曲を担い、肩関節の屈曲も補助。

4位|大腿四頭筋

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太腿前側の鍛錬度を反映。大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋からなる。大腿直筋のみ骨盤、他の3つは太腿の大腿骨に始まり、膝蓋骨(膝のお皿)と下腿の脛骨に延びる。膝関節を伸ばし、股関節を曲げる。

5位|大臀筋

大臀筋

お尻の形を作っているビッグマッスル。鍛えると美尻になり、脚長に見せる。骨盤から太腿の大腿骨へ延びる。股関節の伸展(脚を後ろへ上げる動き)を行い、ランニングで活躍する。

鍛えにくいけど、実は重要。筋肥大しにくいTOP5

1位|上腕三頭筋

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上腕の外側にあり、上腕二頭筋とともに逞しい腕を演出。肩甲骨と上腕骨から、肩関節と肘関節を跨ぎ、肘(尺骨の肘頭)で停止する。肘を伸ばす伸展を担い、肩関節の伸展もアシスト。

2位|広背筋

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トレーニングすると後ろから見たとき、背中を広くシャープに見せてくれる。骨盤、背骨(腰椎と胸椎)、肋骨から、上腕の上腕骨へ延びる。肩関節のさまざまな動きに関わる。

3位|腹直筋&内・外腹斜筋

腹直筋

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お腹の正面を走り、真面目に鍛えるとお腹が割れて憧れの6パックになれる。骨盤と胸郭をつなぎ、骨盤の底の恥骨から肋軟骨とみぞおちの剣状突起へ延びる。腰椎を屈曲・側屈させる。

内・外腹斜筋

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脇腹でお腹を引き締める。外側の外腹斜筋は肋骨から骨盤と鼠径靱帯(腹部と脚の境目)、内側の内腹斜筋は骨盤と鼠径靱帯から肋骨へ延びる。腰椎の屈曲、側屈、回旋を担う。

4位|僧帽筋

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首すじから両肩に向かって広がるビッグマッスル。上半身に厚みを作る。頭蓋骨(後頭骨)と背骨(頸椎と胸椎)から、肩甲骨と鎖骨へ延びる。肩甲骨の多彩な動きに関与。

5位|脊柱起立筋&ハムストリングス

脊柱起立筋

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背骨(脊柱)に沿って走り、姿勢を整える。背骨を構成する椎骨をつないでおり、最長筋、腸肋筋、棘筋という3つのグループからなる。背骨を伸ばしたり、回旋させたりする。

ハムストリングス

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鍛えるとお尻と太腿の境界がはっきりして脚を長く見せる。骨盤の坐骨結節と大腿骨から下腿の脛骨と腓骨に延びる大腿二頭筋、坐骨結節から脛骨に延びる半腱様筋と半膜様筋からなる。股関節を伸ばし、膝関節を曲げる。