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2020年のラン事始め|脂肪燃焼に効く〈LSD〉を4つのフェイズで身につけろ!

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フェイズ1|週3〜4回歩いて運動を習慣化。生活活動も増やす

走るのが嫌いでこれまで運動を避けてきたタイプが、いきなり走るのはハードルが高すぎる。初めはモチベーションが高いから背伸びして頑張ろうとするが、身の丈に合わない試みは身につかない。

最初はハードルを下げ、週3〜4回20〜30分歩く。時間の余裕がある土日に両日とも歩くと決め、平日1〜2回歩く。狙いは運動習慣を身につけることだから、走りたくてもあえて2週間は歩くだけに留める(普通に走れるタイプは、このステージを飛ばして、下の〈フェイズ2〉から始めてOK)。

フェイズ1
〈フェイズ1〉は2〜4週間。スポーツウェアに着替え、ランニングシューズで歩く。着替えて運動するクセをつけるとランが始めやすい。

並行して日常生活でエネルギー消費量を増やす努力もお忘れなく。

1日に使うエネルギー代謝の約30%は通勤や家事のような日々の生活で使う生活活動。息が上がらないこれらの活動のエネルギー源はおもに体脂肪である。通勤時にひと駅分歩いたり、電車やバスで座席に坐らずに立ったり、ランチで少し遠くのお店まで足を延ばしたりすれば、生活活動が増やせる。

1回当たりで燃える体脂肪はタカが知れているが、毎日続けると塵も積もれば山となり、ダイエットの援護射撃となる。フェイズ2以降も生活活動を増やす工夫を。

フェイズ2|歩く走るを交互に。歩かずに30分走り続けられたら卒業

週3〜4回歩きながら、生活活動を増やしていると、2〜4週間で走るための準備が整ってくる。そこからはフェイズ2へ。息が切れない“ニコニコペース”を守り、歩くスピードを少しずつ上げるのだ。

マラソンより競歩の方が過酷とされることからもわかるように、スピードが時速7km前後になると、歩くより走った方が生理的にラクになる。両足が空中に浮いて着地する際の衝撃を推進力に変えた方が合理的だから、滑走路を走る飛行機が一定スピードに達するとふわりとテイクオフするように、自然にウォーキングからジョギングへ移行できるのだ。

とはいえハナからずっと走り続ける必要はない。辛く感じたらウォーキングに戻り、呼吸が落ち着いたらまたペースアップしてジョグへとテイクオフする。

フェイズ2
走るのが不得手なタイプでも、疲れたらいつでも歩けると思うとランニングに気楽に取り組める。そうこうするうちに30分走れる走力が身につく。

ウォーキングとジョグの繰り返しで1セッション30分動き続けるトレーニングを週3〜4回行っていると、体内で毛細血管が増えたり、酸素を介してエネルギーを作るミトコンドリアが増えたりするポジティブな変化が起こり、ランナー体質になれる。

その結果、ウォーキングよりジョグの時間がだんだん長くなる。1か月もすると30分間、足を止めないで快適に走り続けることができるようになるだろう。

フェイズ3|走る時間を延ばし、週1〜2回は60分LSDで走る

ニコニコペースで週3〜4回走れるようになったら、SNSでも胸を張って自慢できる立派なランナー。フェイスラインやお腹まわりといった気になる部分が絞れて、すっきりしてくるに違いない。

同時に体内では目に見えないランナー体質へのスイッチがさらに進み、1セッションで30分走り終わっても「もう少し走ってみようかな」と余裕が出てくるはず。そう思えるようになったら、スピードを上げないで笑顔で話せるペースを保ったまま、30分→40分→50分…と走る時間を段階的に延ばしてみよう。

最終目標はLSDの目安となる60分。走る時間が2倍になれば、単純にエネルギー消費も燃える体脂肪量も2倍になる。とはいえ、このフェイズではまだまだヒヨっこランナー。毎回60分走ろうとすると関節などカラダへのダメージが蓄積して故障する恐れもある。週3〜4回のうち、60分のLSDへの挑戦は週末を中心に1〜2回で十分。

フェイズ3
ニコニコペース以上にスピードアップしない代わりに、走る時間を延長するのが基本戦略。60分LSDは1セッションでクリアしないで、2〜3回に分割してもいい。

30分以上走るのにちょっぴり抵抗があるなら、一度に走らなくても大丈夫。40分走るなら20分×2回、50分なら30分+20分、60分なら20分×3でも30分×2回でもいい。走る機会が見つけられるなら、細切れに走った方がまとめて走るよりも多くの体脂肪が燃えるのだ。

起き抜けの朝ラン+夕飯前の夜ランと腹ペコで1日2回走れば、脂質燃焼効率はマックスになる(こちらの記事の3つめの項目を参照)。

フェイズ4|60分LSDの頻度を増やし、ガチゆるをプラス

週1〜2回の60分LSDがクリアできたら、贅肉が落ちて目標の体重と体脂肪率にかなり近づけているはず。理想達成まであとひと息。体重と体脂肪率が落ちるほど身軽になってランが俄然楽しくなり、トレーニングを進化させるモチベーションも高まる。最終の〈フェイズ4〉では2つのオプションから選ぼう。

1つ目のオプションはフェイズ3の延長線上。60分LSDの頻度を週1〜2回→週2回→週2〜3回と走力に応じて増やすのだ。前述のように必ずしも1セッションで一気に60分走らなくていい。平日は朝30分+夜30分、週末は60分1本勝負とスケジュールをにらみながら柔軟なプランニングを試みたい。

もう一つのオプションはこちらの記事の4つめの項目で取り上げた「ガチゆる」の実践。全力に近いガチな強度で走って糖質を涸渇させてから、LSDでゆるく走ると体脂肪の消費が促される。

フェイズ4
60分ランの頻度を増やす〈オプション1〉、ガチゆるを導入する〈オプション2〉を組み合わせたプログラム例。疲労蓄積を避けるため、3日連続して走らないこと。
【ガチゆるのやり方】ウォーミングアップ:7〜8分(1km)→ガチ:5分(1km)→2〜3分休憩→ゆる45分(4.5km)

やり方はこう。初めに1km(7〜8分)ほどウォーミングアップで準備を整えて、1km(5分)程度をガチで走って糖質を使う。2〜3分休んでミネラルウォーターで水分補給してから、仕上げに残りの45分前後はLSDを行うのだ。週3〜4回走るなら、そのうち最低1回は「ガチゆる」にトライしてみてほしい。

気分転換にいいとこ取りで2つのオプションを組み合わせるのも“アリ”。週2〜3回の60分LSDのうち「ガチゆる」を1〜2回入れよう。

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取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 監修/鍋倉賢治(筑波大学体育系教授)

(初出『Tarzan』No.735・2018年2月8日発売)

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