• リバウンドしたくないなら交感神経を刺激せよ!|脂肪について、本当の話をしよう(2)「自立神経と脂肪」
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2019.01.20

リバウンドしたくないなら交感神経を刺激せよ!|脂肪について、本当の話をしよう(2)「自立神経と脂肪」

京都大学名誉教授の森谷敏夫先生
森谷敏夫(もりたに・としお)/1950年、兵庫県生まれ。専門は応用生理学、スポーツ医学。京都大学名誉教授。京都産業大学、中京大学客員教授。アメリカスポーツ医学会をはじめ多数の学会で理事、評議員を務める。発表した論文は200本以上。

森谷先生の“白熱脂肪教室”、第2部である本記事のテーマは「自立神経と脂肪」。あなたがなかなか痩せられない原因は、自律神経にあるのかもしれません。

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(森谷先生の“白熱脂肪教室”、第1部はこちらから

第2部「自立神経と脂肪」

自律神経と脂肪

今回は自律神経と肥満の関係について話していきます。

1991年、アメリカで提唱された「Most Obesties kNown Are Low In Sympathetic Activity」という仮説があります。「多くの肥満者は交感神経の活動性が低い」という内容で、その頭文字からモナリザ仮説と呼ばれています。

交感神経は自律神経のひとつで、心拍数や血圧を上げたり、筋肉への血流量を増やしたり、瞳孔を開いたりする働きがあります。これとは逆に、心拍数や血圧を下げ、胃腸に血流量を増やし、リラックスした状態にもっていく働きをするのが、もうひとつの自律神経、副交感神経です。

交感神経は脂肪分解にも関係しています。食事をすると脳の満腹中枢が刺激されます。満腹中枢は交感神経の支配下にあるので、満腹感を感じると自律神経が活性化。アドレナリンというホルモンが分泌され、脂肪細胞に働きかけて脂肪の分解や燃焼が促されるのです。

自律神経活動と体組成には密接な関わりが
自律神経活動と体組成には密接な関わりが。 2002年7〜12月に東京医科歯科大学の更年期外来を受診した243人の患者の自律神経活動を計測したところ、活動性が低い人は高い人に比べてBMIも体脂肪率も高いという結果が出た。自律神経の働きが悪い=太る。
出典: Am J Physiol Endocrinol Metab 294: E726-E732. 2008.

食事制限で痩せるだけでは、脂肪分解能力は上がらない

ところが、こうしたメカニズムが作動しにくいのが交感神経の活動性が低い人々です。かつて、更年期外来の患者さんのデータをとってみたところ、平均値より自律神経の活動性が低い人は、体脂肪率もBMIも総コレステロールの数値も高いことが分かりました。

また、アメリカの生理学会の機関誌に掲載された、1年間に50kg減量した超肥満者を対象にした運動効果に関する論文があります。

それによると、長年肥満の状態にあった人は、体重を落としても筋肉の脂肪分解能力が普通の人の半分に満たないことが分かりました。

太っている人は膵臓からインスリンを分泌して脂肪を合成することはしても、脂肪を分解するシステムをほとんど動かすことがありません。交感神経を経由したアドレナリンの分泌が見られないのです。

ましてダイエット中は、エネルギーがマイナスの状態になり交感神経が働きません。

その結果、50kg体重を落としても脂肪を燃やす能力は低いままです。ところが、10日間運動をさせると筋肉の脂肪分解能力がたちどころに上がりました。これは筋肉内で脂肪を分解する酵素の活性が上がったということ。

筋肉が脂肪を分解する能力は、運動で向上する
筋肉が脂肪を分解する能力は、運動で向上する。 痩せている人、肥満者、1年で50㎏減量した肥満者の筋肉サンプルの脂肪分解能力を計測。減量した肥満者の能力は痩せている人の半分。が、運動後は分解能力がアップした。
出典: Am J Physiol Endocrinol Metab 294: E726-E732. 2008.

運動によって交感神経が刺激され、アドレナリンが分泌されて脂肪分解酵素が働く。カラダの中で起こる変化の中で一番早いのは酵素活性。お酒を飲む機会を増やすと、アルコールの分解酵素が増えるのと同じ理屈です。

これらの結果から言えることは、まず脂肪分解の能力を上げて臨戦態勢にしてからダイエットするのが効率的ということ。食事制限で体重だけ落としても、自律神経の活動性が低く、脂肪を分解できなければリバウンドするリスクは高いまま。

運動がいかに重要かということが、これでお分かりだと思います。

第3部に続きます第1部はこちらから

質疑応答

Tarzan ハイハイハイッ! 質問です!

森谷先生(以下、森谷) 質問者、他にいないの? しょうがないな、じゃあキミ、どうぞ。

Tarzan そのダイエットした超肥満者が行った10日間の運動ってどんなものだったんですか?

森谷 最大酸素摂取量の60%の運動を30分、毎日行ったそうです。

Tarzan 乳酸が出るか出ないかの運動ですね。僕、1日30分のジョギングが日課なんですけど、交感神経が活性化してるはずですよね。でも、腹が凹まないのはなぜなんでしょう?

森谷 それは、あまり頭がよくないやり方だから。

Tarzan うっ、といいますと?

森谷 こんな実験をしたことがあります。活動量計で被験者の1日の活動量を計測して、4つのグループに分類したところ、一番活動の種類の交代が頻繁にある人と、交代が一番行われていない人では前者の方がウェスト周径が6cm細いという結果になりました。

Tarzan ということは、えーと?

森谷 こうやって立つでしょ(いったん椅子に座って立ち上がる)。立った瞬間は交感神経働いてるのよ、呼吸も心拍数も上がるから。でも、そのシステムは1〜2分で定常状態になる。この後、ずっと立っていても交感神経は働かない。今度は座る。すると心拍を収めないといけないし血管を拡張させなきゃいけないから副交感神経が働く。だから頻繁に立ったり座ったりしている人の方が自律神経が働くということ。

Tarzan そうか! 同じ状態で長く過ごすということが問題なんですね!

森谷 自律神経基準で太る痩せるを考えたら、そういうこと。姿勢が変わると自律神経が刺激されます。だから30分同じペースのジョギングより、やるならインターバルです。

Tarzan むむぅ、不覚でした…。

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取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 取材協力/森谷敏夫(京都大学名誉教授)
(初出『Tarzan』No.756・2019年1月4日発売)

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