毎日の食事にホエイプロテインをプラス! 更年期こそ、豊富なたんぱく質摂取を。

いつまでも若々しく活動的でいたい。ならば、カギとなるのはたんぱく質摂取だ。なかでも優れた“ホエイたんぱく”の魅力に迫ろう!

取材・文/井上健二 撮影/吉松伸太郎 スタイリスト/川合康太

初出『Tarzan』No.907・2025年7月17日発売

教えてくれた人

藤田 聡(ふじた・さとし)/立命館大学 スポーツ健康科学部教授南カリフォルニア大学、テキサス大学、東京大学、立命館大学などで研究を行い、教鞭を執る。「筋トレと栄養」研究の第一人者。主な研究テーマは、運動刺激と栄養摂取による筋肥大のメカニズム解明。

筋肉や臓器などカラダの大半はたんぱく質から作られる。免疫を担う抗体や代謝を行う酵素も、たんぱく質製。だが、たんぱく質は貯められず、たんぱく質を作る20種のアミノ酸のうち、9種は体内で合成できない必須アミノ酸。ゆえに毎日欠かさず補うべきだ。

「ところが日本人の2〜3割は、最低必要なたんぱく質の目標量が摂れていません」(立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授)

たんぱく質不足で心配なのは、筋肉の減少。筋肉が減ると内臓脂肪が増えて生活習慣病のリスクが上がり、高齢者のサルコペニア(筋肉減少症)の誘因にもなる。

「運動不足や加齢でたんぱく質が筋肉などになりにくい〝同化抵抗性〟が生じる。運動しない人や中高年は、抵抗性に負けない多くのたんぱく質摂取が求められます」

更年期ではより積極的に摂りたいたんぱく質を補うのに最適なのが、牛乳由来の「ホエイたんぱく質」。その凄さをひもとこう!

加齢に伴う筋肉量の変化

除脂肪体重とは体重から体脂肪を除いたものであり、筋肉量と相関する。その除脂肪体重は30代をピークに右肩下がりで減っていく。 出典/Holloszy. Mayo Clinic Proceeding 2000

筋肉量が少ないと内臓脂肪が増える。

脚の筋肉量が少ない人ほど、内臓脂肪が蓄積しやすい。筋肉量が減ると代謝が落ちて内臓脂肪が増えやすく、内臓脂肪の蓄積によるメタボリックシンドロームの危険度が高まる。 出典/Yagi et al. Diabet & Met Syndrome 2014

そもそもホエイたんぱく質 (ホエイプロテイン)とは?

ホエイたんぱく質とは牛乳に含まれるたんぱく質の一種。牛乳は2種類のたんぱく質(ホエイたんぱく質とカゼインたんぱく質)があり、ホエイはヨーグルトの上澄みにできる液体に含まれるたんぱく質を指す。このホエイに含まれるたんぱく質を抽出し、粉末状にしたものがホエイたんぱく質。ホエイプロテインは牛乳から抽出される食品なのだ。

ホエイたんぱく質、3つの凄さ。

1.必要量が摂りやすい。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年度版)」で設定されているたんぱく質の1日の摂取目標量の下限値は体重1kg当たり1.2~1.3g。体重65kgなら1日に78〜84.5gのたんぱく質を摂る必要がある。さらに筋トレなど運動をしているなら体重1kg当たり1.6gとより多く必要。そこで役立つのが、ホエイたんぱく質。たんぱく質量が多く、低脂質でカロリー控えめだから、料理にも幅広く使える。

2.牛乳由来のたんぱく質の栄養価は高い。

たんぱく質を摂るなら、質にも気を配るべき。まず大事なのは、体内で合成できない必須アミノ酸をどの程度含むか。ホエイたんぱく質は理想的だ。加えてホエイたんぱく質はロイシンの充足率も高い。「ロイシンには筋肉の合成スイッチを入れる働きがあり、同化抵抗性はロイシンによるスイッチが入りにくくなって起こる。ロイシン豊富なたんぱく源が重要です」。

出典/Rutherfurd SM, Fanning AC, Miller BJ, Moughan PJ. Protein Digestibility-Corrected Amino Acid Scores and Digestible Indispensable Amino Acid Scores Differentially Describe Protein Quality in Growing Male Rats.

たんぱく源で異なるたんぱく質のクオリティ。

DIAASはアミノ酸消化吸収率を考慮したたんぱく質評価の指標。PDCAASはたんぱく質消化性を考慮した指標。どちらもホエイたんぱく質は高い。スコアが高いほど吸収効率が高く、クオリティが高い。PDCAASは最大1.0、DIAASは1を超えるスコアで評価される。

3.食生活に取り入れやすい。

筋肉などを作るたんぱく質は、分解と合成を繰り返す新陳代謝を行う。そのバランスを保つのに大切なのは、3食とも25〜35g前後のたんぱく質を摂ること。「1日のたんぱく質摂取量が同じでも、1食でもたんぱく質が足りないと筋肉量は減りやすい」。朝食と昼食はたんぱく質摂取が落ちやすいから要注意。いつでも手軽にたんぱく質を増量できるホエイたんぱく質を取り入れよう。

アメリカ産乳由来たんぱく質を選ぼう。

アメリカは世界最大のホエイ(乳清)生産国であり輸出国。アメリカの酪農や乳製品づくりの現場では、ずっと前から「人の健康」「地球環境」「健全な社会」を大切にする取り組みを続けている。1944年にアメリカにいた2500万頭の乳牛は、2007年にはその3分の1の数にまで減少したが、生乳(牛乳のもと)の生産量はなんと60%も増加。これは、アメリカの酪農家が牛にとって快適な環境をつくったり、飼料の質を良くしたり、牛の品種改良や牛舎の工夫など、さまざまな方法で努力してきたからこそ。その結果、2007年から17年の間に、生乳を作るのに必要な水の量は30%、使う農地の面積は21%、二酸化炭素の排出量は19%も減った。環境にやさしく、効率よく牛乳や乳製品をつくる方法が進んできている。

アメリカ産乳たんぱくで日常にプロテイン強化食を!

ホエイプロテイン卵サンド

※1食分

材料(2食分)

  • 食パン(8枚切り)
  • 4枚 粒マスタード5g
  • 【A】プロテインマヨネーズソース
    ・.ホエイプロテイン15g
    ・マヨネーズ40g
    ・牛乳18g
    ・米酢8g
    ・メープルシロップ4g
  • 【B】
    ・茹で卵5個
    ・塩2g
    ・めんつゆ10g
    ・ホエイプロテインマヨネーズ
    ・ソース全量

作り方

  1. 茹で卵を作っておく。Aをボウルに入れ泡立て器でよく混ぜ、ホエイプロテインマヨネーズソースを作る。
  2. 食パン4枚の内側に粒マスタードを薄く塗る。
  3. 茹で卵の殻を剝きBをすべてフードプロセッサーやミキサーにかけて滑らかにする。機械がない場合は、卵を卵黄と卵白に分け、卵黄とBをゴムベラで完全に混ぜ、刻んだ卵白と合わせる。
  4. 2の食パンのうち2枚に3の半量ずつをたっぷりと挟み、ラップをかけて冷蔵庫でよく冷やす。冷えたらカットして完成。
鶏そぼろのとろとろホエイプロテイン親子丼

材料(1食分)

  • 鶏挽き肉(ももミンチ)100g
  • 玉ネギ1/4個(50g)
  • 米油3g
  • 塩0.8g
  • 手鞠麩0.3g
  • ホエイプロテイン10g
  • 【A】
    ・水140g
    ・めんつゆ10g
    ・醬油10g
    ・砂糖5g
    ・みりん3g
  • 【B】
    ・めんつゆ2g
    ・水8g
    ・卵1個
  • ごはん180g
  • 大葉1枚

作り方

  1. 1.玉ネギを薄切りにし、Aの調味料を混ぜておく。手鞠麩は水で戻しておく。
  2. 2.鍋に油を引き、鶏挽き肉と玉ネギ、塩を炒め、鶏肉に火が通ったらAを加えて加熱する。煮立ったら弱火にして3〜4分煮る。
  3. 3.ボウルにBを入れよく溶かした後、ホエイプロテインを加え泡立て器でかき混ぜる。
  4. 4.2の鍋に3を加え、表面だけを箸で混ぜ、蓋をして好みの固さまで火を通す。ホエイプロテインが入っている卵はふわっと仕上がりやすい。
  5. 5.をごはんの上に乗せ、刻んだ大葉と手鞠麩を乗せて完成。
ホエイプロテインクラムチャウダー

※1食分

材料(4食分)

  • 【A】
    ・玉ネギ1個(250g)
    ・ニンジン1/2本(60g)
    ・マッシュルーム5個(35g)
    ・ジャガイモ1/2個(70g)
    ・ベーコン70g
    ・塩5g
    ・オリーブオイル5g
  • 無塩バター30g
  • 小麦粉10g
  • 牛乳200g
  • 水100g
  • アサリ殻つき230g(正味30g)
  • 【B】
    ・牛乳300g
    ・ホエイプロテイン40g
  • 塩3.5g
  • 粗挽きブラックペッパー少々

作り方

  1. アサリを塩水(分量外)に浸けて砂抜きしておく。野菜を1〜1.5cm角、マッシュルームを1/4、ベーコンを1cm幅にカットする。
  2. Aを鍋に入れてよく混ぜ、弱火で蓋をし、蒸し焼きにする。
  3. 玉ネギやジャガイモに火が通ったら、一度火を止めて、バターと小麦粉を入れて手早く混ぜる。
  4. 弱火で炒め、小麦粉の香りがするまで火を通したら、牛乳、水、水洗いしたアサリを加え、鍋底から混ぜながら、弱火で3〜4分煮立てる。
  5. ボウルにBを入れ、ホエイプロテインをよく混ぜ溶かしたら、4の鍋に加えて全体を混ぜ、塩で調味する。※ホエイプロテインの作用で鍋底が焦げやすいので注意。煮詰まってきたら牛乳を加えて調整する。
  6. 器に注ぎ、粗挽きブラックペッパーをかけて完成。
グルテンフリー&ホエイプロテインたこ焼き

※1食8個計算

材料(24個分)

  • 卵1個(55g)
  • 無調整豆乳170g
  • 【A】
    ・ホエイプロテイン42g
    ・水250g
    ・かつお粉10g
    ・醬油9g
    ・砂糖2g
    ・すりおろし生姜10g
  • 米粉78g
  • 米油など適量
  • 具材
    ・タコ120〜140g
  • トッピング・ソース
    ・お好みのソース

作り方

  1. タコをカットし、たこ焼きプレートを予熱しておく。
  2. ボウルに卵と無調整豆乳を入れ泡立て器でよく混ぜたら、Aを全て加えて、ホエイプロテインが溶けるまでよく混ぜる。
  3. 米粉を加えて、泡立て器で混ぜる。米粉のダマは問題ない。
  4. たこ焼きプレートに油を多めに入れ、3の生地の半量を流し込み、各穴にカットしたタコを入れる。残りの生地を上から流し込み、ふっくらした形になるよう調整する。
  5. 生地が少し固まってきたら、竹串などでひっくり返して丸く成形する。全体がきつね色になるまで回しながら焼く。
  6. たこ焼きの表面がカリッとしこんがり色づいたら、お好みでソース、マヨネーズ、青のり、かつお節などをトッピングして完成。
Information

アメリカ乳製品輸出協会
Instagram:@milkproteinusa.jp
Mail:usdecjapan@marketmakers.co.jp