
教えてくれた人
山田 悟(やまだ・さとる)/北里大学北里研究所病院院長補佐、糖尿病センター長。慶應義塾大学医学部卒業。日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医。カロリー制限中心の食事療法から、緩やかな糖質制限食への大転換を図るパイオニア。医学博士。
目次
Q.そば|とろろそばor鴨南蛮そば?
A.鴨南蛮そば
血糖値IQがモロに問われるクエスチョン。低カロリーのとろろそばを選びそうになるが、正解は鴨南蛮そば。カロリーはとろろそばが低いけれど、カロリーを控えても血糖値アップは防げない。
「とろろもそばも糖質主体の食材なので〝糖質かぶせ〟となり、低カロリーでも血糖値を上げます」
そばは、十割そばなら平気と誤解する人もいるけど、小麦粉と同じくそば粉もでんぷん食品。何割そばでも、糖質過多となるのは必定だ。鴨南蛮では鴨から脂質とタンパク質が摂れ、血糖値の上がり方にブレーキがかけられる。麺を半量にすれば完璧。出汁には塩分が多いので、血圧に配慮して飲み干さずにできるだけ残そう。
Q.キャベツにかける調味料|中濃ソースorマヨネーズ?
A.マヨネーズ
定食店では、付け合わせにキャベツを出すところが多い。そんな店ではご飯を3分の1か2分の1に減らしてもらって糖質摂取を減らし、キャベツから食べ始めよう。 その際のお供は、マヨネーズ。大さじ1杯(12g)で0.5gと糖質量はわずかで、オイルファーストで血糖値の上昇が抑えられる。
食欲もセーブされるから、あとから食べるご飯は普段より少量でもお腹が満たせる。中濃ソースは原料に果物、甘味料、でんぷんを含み、大さじ1杯(18g)でマヨネーズの10倍に当たる5gほどの糖質を含む。山盛りのキャベツを、ソースをドバドバかけながら食べると、10g前後の糖質を摂ってしまうのだ。
Q.サラダ|シーザーサラダor春雨サラダ?
A.シーザーサラダ
シーザーサラダとは、ロメインレタス(またはレタス)を主体に、パルメザンチーズなどをトッピングしたもの。ドレッシングは卵黄やオリーブオイル、レモンやライムの搾り汁などを乳化させて作る。低糖質かつオイルリッチなので、血糖値は上がりにくい。つまり正解はシーザーサラダだ。
春雨サラダは、春雨、ハム、キュウリなどをゴマ油が香るドレッシングで和えたもの。さっぱりしているが、メイン具材の春雨はでんぷん食品。原料の緑豆、ジャガイモ、サツマイモなどのでんぷんをヌードル状に加工したもので、普通の麺類同様に糖質が多くて血糖値は上がりやすい。このクエスチョンは不正解者続出の予感!
Q.筋トレ中の鶏肉|サラダチキンor唐揚げ?
A.唐揚げ
名物司会者も筋トレマニアだったが、彼らの合言葉は「高タンパク・低脂質」。筋肉を作るタンパク質は摂りたいが、体型を崩す体脂肪は1gも付けたくないから脂質を拒絶する。でも、そのこだわりは裏目に出ることもある。
低脂質を追求してカロリーが足りなくなると、摂取したタンパク質が欠乏分を補うためにエネルギーとなり、肝心の筋肉に回らない恐れがある。その点では低脂質のサラダチキンより、脂質がより多い唐揚げに軍配が上がる。
「脂質を控えすぎると消費カロリーが1日300キロカロリー落ちるという論文もあります。脂質を適切に摂ると代謝が上がりにくく、むしろ太りにくいのです」
Q.おにぎり|塩むすびorチャーハンむすび?
A.チャーハンおむすび
カロリーしか眼中にないと、コンビニの塩むすび1個+緑茶といった食事をしがち。1食200キロカロリー前後と低カロリーだが、塩むすびには糖質が40g前後入っており、脂質とタンパク質がほとんど摂れないため、血糖値はうなぎ上り。するとインスリンがドッと分泌されて、食後高血糖&血糖値スパイクによる糖質疲労が心配。脂質が足りないため代謝が落ち、太りやすい体質になる。正解はチャーハンおむすび。糖質量30g程度で脂質とタンパク質も摂れるから、血糖値は上がりにくい。カロリーは塩むすびより高いけど、まだまだ控えめ。脂質とタンパク質が摂れる茹で卵、唐揚げ、冷や奴などを追加して。
Q.〆のご飯|塩ラーメンorステーキ?
A.ステーキ
お酒を適量楽しんだら、〆に何か食べたくなる。ラーメンで〆るという人は少なくなさそうだが、ラーメンは糖質も塩分も多いので血糖値と血圧がダブルで上がる。 一方、アメリカ統治下だった名残でステーキ店が多く、深夜まで営業している沖縄では、飲み会の最後はステーキで〆るという独特の文化が根付く。これが正解。
ステーキはほぼ糖質ゼロだし、脂質とタンパク質が多くて血糖値UPが防げる。主食をパスしても食欲は満たされるから、〆としては理想的と言えるかもしれない。とはいえ就寝前に食べすぎると寝付けなくなり、睡眠の質も低下する。飲み会は早めの時刻にスタートし、就寝3時間前までには〆よう。
Q.パスタ|ペペロンチーノorカルボナーラ?
A.ペペロンチーノ
クエスチョン5がクリアなら楽勝な問題。ペペロンチーノはオリーブオイル(オーリオ)、ニンニク(アーリオ)、唐辛子(ペペロンチーノ)で作るシンプルであっさりしたパスタ(正式名称はアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ)。
カルボナーラはオリーブオイルの他、卵、パンチェッタ(またはベーコン)、生クリーム、粉チーズの濃厚パスタだ。カロリーはカルボナーラの方が高いので、ダイエット界隈はペペロンチーノに軍配を上げそう。でも、濃厚なカルボナーラの方が脂質が倍以上多く血糖値は断然上がりにくい。
ただ麺の量は1人前だと糖質量が多すぎるので、シェアして半人前の量に留めておこう
Q.トンカツ|ロースorヒレ?
A.ロース
トンカツ好きは定番のロースカツを選ぶものだが、カロリー神話に毒されているとより「高タンパク・低脂質」のヒレカツをオーダーしたくなる。けれど、脂質をちゃんと摂った方が血糖値は上がりにくく代謝も落ちず、摂ったタンパク質が体内で筋肉などにスムーズに利用されやすい環境が整う。ロースが正解だ。
付け合わせのキャベツにはマヨネーズをかけて真っ先に食べ、トンカツを半分以上食べ終えたら、ご飯3分の1か2分の1を食べて〆る。トンカツにはレモンを搾り、カラシを付けて食べ、豚肉本来の美味しさをじっくり味わおう。